令和3年第1回定例会6月議会 一般質問(要旨)

かけはしSDGs 丸谷さとこ 令和3年第1回定例会6月議会 一般質問(要旨)

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(丸谷からの1回目の質問)

  • 大久保北部の里山をはじめとする明石の緑のあり方について
  • 大久保北部遊休地への土砂受入について

本年3月議会において、NEXCO西日本から、神戸西バイパス延伸事業により発生する土砂を、大久保北部遊休地に受け入れて欲しいとの提案があったと報告がありました。市は効果と課題を検証し、受け入れの可否について検討を進めるとの考えを示していますが、提案があった大久保北部遊休地一帯は、本市に唯一残された里山で、景観はもとより多くの希少種が確認されており、生物多様性明石戦略においても、まとまりのある豊かな生態系が残る拠点として位置づけられているところです。また、地下水脈などの水資源、水循環や、明石の豊かな海の生態系を保つためにも重要な役割を果たしているということは言うまでもありません。私は、このような明石の宝ともいえる大事な場所を潰して土砂を受け入れることはあってはならないと考えます。この6月2日には、二つの市民団体から土砂受け入れ反対とかけがえのない里山を生かした利活用を提案する要望書が市に提出されていますが、それらを踏まえた上で、この大久保北部遊休地の土砂受入についてどのように判断されるのか見解を問います。

  • 大久保北部のかけがえのない里山の今後の利活用について

土砂を受け入れて里山を手放すのではなく、里山の生物多様性拠点としての整備、野外活動や森の幼稚園、環境体験学習の場としての活用、キャンプ場や市民農園の復活など、コロナ下だからこその新しい発想で、里山の自然や景観を生かした利活用に積極的に取り組むべきだと考えますが市の見解を問います。

  • 本市の緑のあり方について

大久保北部の問題は、市内全体の緑のあり方や未来の子供たちにどんな明石の緑を残したいのか、市として明らかにすることの重要性を教えてくれました。新幹線車両基地問題についても、昨年JR西日本から、コロナで経済環境に多大な影響が出ているので、具体的な提案を延期したいという話が出たまま、市としての方向性は未だ何も示されていません。そんな中で大久保魚住間の農業振興地域一帯には、今年2月中旬から4月下旬にかけて、十数羽のコウノトリが飛来し、豊かな生態系があることを証明してくれました。また工場緑地のあり方についても、検討会や市民アンケートなどが進められていますが、この問題を考える上においては、ミクロで工場緑地だけを見るのでなく、まずは市として全体の緑のあり方についての明確な方向性を示し、その中での位置付けをはっきりさせ、緩和によって失われる緑は市が補うなどの対策も合わせて提案することが重要だと考えます。明石の暮らしやすい住環境や豊かな自然環境を未来に残すために、どこをどうすれば良いか、その利活用について検討し、施策展開をしてこそ、社会や経済も大きく回り始め、持続可能な都市になるのだと思います。それこそが SDGsの目指す世界です。そこで新幹線車両基地、工場緑地の問題についての現状と本市の緑のあり方の大きな方向性について見解を問います。

  • SDGs未来安心都市の象徴として、JT跡地を緑豊かな都市公園にしてはどうか

昨年8月に実施した「国土交通省コロナ危機を踏まえたに市民の日常生活の行動や意識の変化に関する全国アンケート調査(速報)」では、充実してほしい都市空間の第1位は、公園、広場、テラスなど、ゆとりのある屋外空間でした。アフターコロナにおいて市民が暮らしやすい都市を目指すためには、住宅地の中に緑豊かで市民が憩える都市公園などの屋外公共空間を作るという発想の転換も必要です。本市の緑のあり方の方向性もふまえ、SDGs未来安心都市の象徴として、例えばJT跡地を緑豊かな都市公園にしてはどうでしょうか、市の見解を問います。

(行政からの答弁)

(政策局長)

 1点目の大久保北部遊休地への土砂受け入れについて

過去に約十億円を投じて取得した土地が手付かずのままであったことから、大久保北部の遊休地の利活用については市の長期的な課題として有効な方策を検討したところでございます。しかしながら、当該土地は道路との接道が乏しいこと、また民有地の混在により一団の土地となっていかないことなど、多くの課題があり、利活用が難しい状況となっておりました。そのような中、本年3月議会の総務常任委員会においてご報告いたしました通り、神戸西バイパス延伸事業に関連し、NEXCO西日本から工事で発生する土砂の大久保北部遊休地への受け入れ提案がありました。本市といたしましては、この提案を受けNEXCO西日本と協議を行ってきたところでございます。 

 NEXCO西日本は、提案当初、土砂受入の開始時期につきましては、令和4年度中からを希望し、具体的な時期までは未定としておりましたが、この度、本年4月になって初めて、令和4年4月からの土砂搬出が必須であるとの意向が示されたところでございます。本市といたしましては、土砂を受け入れるにあたって、市民の理解が必要なことから、土砂受け入れ可否等の判断に必要な、遊休地内に点在する民地権利者全員の同意や、環境調査、埋蔵文化財調査等を、令和4年度中にはできるようにスケジュールを検討しておりましたが、NEXCO西日本の意向である令和4年4月からのスケジュールでは、これらが難しいことになってしまっております。この結果、来年4月の土砂受け入れを希望するNEXCO西日本にとりましては、遊休地への土砂搬入にあたり、不確定要素が多く、リスクが大きいため、本市への提案を取り下げ、大久保北部遊休地以外で、受け入れ場所を探すとのことでございます。

 2点目の大久保北部のかけがえのない里山の今後の利活用について

1点目でご答弁申し上げました通り、遊休地への土砂受け入れはなくなりましたが、NEXCO西日本は神戸西バイパス延伸事業に必要な側道整備や公園、墓地境の書き換え、及び書き換えのための迂回路を整備し、整備後は市道として供用する予定となっております。これにより遊休地への道路アクセスの向上が見込まれ、利活用の可能性が広がると考えており、本市といたしましては、こうした道路アクセスの向上を踏まえ、引き続き遊休地の利活用について、まちづくりや地域の活性化の観点から自然環境との調和や生態系への配慮といった課題も整理しながら、幅広く調査検討を進めてまいりたいと考えております。

 3点目の本市の緑のあり方について

新幹線車両基地につきましては、昨年5月にJR西日本より、新型コロナウイルスによる社会経済情勢の変化により、経営環境にも多大な影響が出ており、車両基地の必要性については変わらないものの、車両基地等のプロジェクトについては、今後の情勢を踏まえスケジュール等を見直す可能性があるため、具体的な提案を延期したい旨の連絡があり、現在も引き続き社内で内部検討を進めておりますが、未だ提案できる状況ではないとのことでございます。

 工場緑地のあり方検討につきましては、昨年度3回にわたり検討会を開催しており、工場の現状における老朽化等の課題や、建て替えした場合の影響、工場緑地のあり方など幅広い視点で議論がなされております。また、検討状況を市民に周知しますとともに、検討会での参考とするため、広報あかし4月15日号におきまして、これまでの検討内容を紹介し、市民意見を募集したところでございます。

 本市の緑のあり方についてでございますが、本市は都会でありながら、海をはじめとして市南西部や北部を中心に、緑豊かな丘陵が広がるなど、恵まれた自然環境を有しております。また市街化区域においても、ため池や田園が広がるなど、のどかな景観も見られます。近年では、住みたい街の受け皿として、ため池や田園を転用した住宅開発等が進んでおります。今後も市民の方々が住みたいと思われるようなまちづくりを進めていく上で、都市としての利便性と自然環境との両立が重要な点になると考えております。つきましては自然環境の保全と都市開発との調和に配慮しますと共に、量だけではなく質の高さも考慮した、市民が身近に緑を感じ、安らぐような緑地や公園の整備等に努めて参りたいと考えております。

 4点目のSDGs未来安心都市の象徴として、JT跡地を緑豊かな都市公園にしてはどうか

ご提案の都市公園も一つの考えと認識しておりますが、JT跡地と公共公益施設用地につきましては、大久保地区はもとより本市のまちづくりの方向性や、公共公益施設の在り方を踏まえた上で、様々な角度から幅広く検討を進める必要があると考えておりますので、ご理解賜りますようよろしくお願いいたします。

(再質問)

(丸谷議員)

 大久保北部遊休地への土砂受入については、NEXCO西日本から、本市への提案の取り下げがあったということですね。これは正式に取り下げが決定したということで良いでしょうか。

(政策局長)

 NEXCO西日本から取り下げるということがありましたので、今のところそれ以上ないと思っております。

(丸谷議員)

 まずは良かったと思いますが、これで安心してはいけないと思っています。

今後、このかけがえのない里山を守っていくための利活用をどう進めていくか、明石市として具体的に考えていかないといけないと思っています。そこで、お聞きします。この地域には、明石の大切にしたい生き物、明石市レッドリストに選定されている生き物っていうのは何種類ぐらいいるんでしょうか。

(環境部長)

 希少種についてのご質問でございますが、大久保北部の遊休地に生息する希少種数については把握しておりません。少し広い範囲になりますが、松陰地区及び松陰新田地区におきましては、過去の文献や本市の自然環境調査等におきまして67種の希少種が確認されております。

(丸谷議員)

 里山ってあの辺一帯で生態系が成り立っていますので、その一帯で明石の希少種が67種というご答弁がありました。レッドリストに挙げられてる種は全部で277種ですから、市内の希少種の約4分の一がこの地域の里山で暮らしているということが分かるということですよね。環境部長に再度お聞きしますが、明石の里山の自然といえばここほど生物多様性に富んだ場所はないと思うのですが、いかがでしょうか。

(環境部長)

 この地区は、多様な生物の生息する場所でございます。生物多様性あかし戦略におきまして、先程議員からもご指摘がございましたが、まとまりのある自然が残る地域と位置づけている地区と認識しているところでございます。

(丸谷議員)

 明石としても大事な場所だということで、市の方も認識されているという前提です。生き物っていうのは、一種だけで生きているわけではありません。その地域の環境や生態系のつながりによって絶妙なバランスが保たれて、成り立っているものです。

一度この生態系や自然環境を崩してしまったら、二度と元に戻らない、そういうものです。だからこそコロナ後の社会ニーズに合ったグリーン・リカバリーの拠点として、先ほど提案させていただいたような様々な取り組みを市民の力もお借りして、できることから始めるべきだと私は考えています。

そこで市長にお聞きします。

大久保北部のこともそうです、新幹線車両基地のこともそうですけど、提案者ありきで、受身の姿勢だと私は感じるんですが、もっと能動的に市として、この緑や豊かな生態系をどう考えるか、ビジョンをしっかり示して、市自らが施策展開していくべきだと思います。そういう意味では、今回、本市の緑のあり方として、大きな方向性を示していただきました。これは一歩前進だと私は思っています。その中で「自然環境の保全」とか、「緑の質の高さ」とか、「市民が身近に緑を感じられる整備」などのキーワードが出ましたが、今後明石は緑を手放すのではなく、守るべきところは守る、新しく作り出すところは作り出すというような発想で、具体的な取り組みを進めていただきたいと思いますが、市長のお考えをお聞かせください。

(副市長)

 副市長の宮脇でございます。先に私の方から、所管する副市長として、考え方等を述べさせていただきたいと思います。政策局長等、これまでの市会での答弁がありましたとおり、明石は海を始め、豊かな自然にも恵まれた非常に住みやすいまちであると考えております。まちづくりの観点から、やはりこの住みやすさ、市民の方が引き続き住み続けたいと思う環境をいかに守って作っていくか、それが大事だと思っております。その中の一つの重要な要素が、自然環境であるかなあというふうに思っております。ただ一方で、住み続けたいまちの受け皿としての住環境等の整備、利便性、利便施設等の整備、これもしっかりと計画的にしていかなければならないかなというふうに考えております。こうした中で1回目答弁でも局長が申し上げましたとおり、開発と自然の保全との調和、これをいかにしっかり守っていくか、例えば今お話ありました大久保北部の遊休地、里山という風に言われてますが、本当に豊かな自然というのは認識しております。ただ今の状況、入って行こう思ったら入っていけますけども、なかなか市民の方が気軽に入って行くことも難しいような状況、これがこのままでいいのか、私は正直もったいないなと思っております。この土地について交通の利便性も上がることから、他の議員さんのご意見では、テクノパーク等の開発面と合わせた活用もどうかといったようなご意見も伺っております。こうした色々なご意見がある中で、本当に市にとって市民にとって、自然というものも一つの重要なテーマとしつつ、どう活用していっていいか、これが重要なこれからの課題かなという風に思っております。

(市長)

 議員ご指摘のテーマでありますが、議員の会派名、かけはしSDGs、SDGsにも関係すると思うんですけど、まさにSDGsというのは経済と環境と社会こういった三側面をしっかりと見据えながらですね、一緒にやっていきましょうと、いつまでもという持続可能性をキーワードにしているわけでありますので、まさにそういった観点から様々なご意見があるテーマでありますので、まさにいかに市民の合意を得ていくかというテーマであろうと思います。ちなみに私自身はご覧のとおり、漁師のせがれでありまして、海の近くで育ちました。幼い頃から親父やおじいちゃんからですね、海が駄目になっていくという話を聞かされておりました。どういうことかと言うと、どんどん開発が進み、人間の都合で開発するわけですけど、その結果、魚が減っていってるということであり、その問題が今まさに、豊かな海釣り大会を直前にしておりますけど、やはり明石の海が細くなっている、というか貧しくなっている、これって全部繋がってますので、当然山の栄養分が流れて、プランクトン、エビやカニ、貝、そしてタコとか、みんな繋がってますのでね、人間の目からだけもの見るんではなくて、あらゆる生き物の目から多様的に見ていく必要もあると私は考えております。

いずれにしても、よくよく議論のいるテーマだと思っております。

(丸谷議員)

 子育て世代のお母さん達も、自然豊かなゾーンを市民の誇りとして残していくことをすごく希望されてますので、そういうこともこれから考えてください。すごくいい場所です。入りにくいっておっしゃいましたけど、一回行ってください。十分入れる場所です。

2.重層的支援体制整備事業について

この度、社会福祉法が改正され、地域住民の複雑化、複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を構築するために、新たに重層的支援体制の整備が位置づけられ、本市も取り組むとしていることから、以下の3点について質問いたします。

① 令和4年度より重層的支援体制整備事業移行を前提としてどのような準備を進めていくのか、また市民に対してはどのように周知をしていくのか、見解を問います。

② この事業は行政内部の計画策定に加えて、地域全体の関係者による計画策定が求められています。策定スケジュール、体制の構築、市民参画手続き等とはどのように進めていくのか見解を問います。

③ 本市は3年前から地域総合支援センターにおいて、先行的に福祉まるごと相談に取り組んでいますが、重層的支援への円滑な移行を行う上で、支援拠点としての地域総合支援センターが担う役割は大変重いと考えます。移行に向けての地域総合支援センターの課題と、その解決策について見解を問います。

(行政からの答弁)

(理事兼福祉局長)

2項目めの重層的支援体制整備について

1点目及び2点目について、重層的支援体制整備事業では、相談者の属性や相談内容にかかわらず、包括的に相談を受け止める包括的相談支援事業、地域資源等を活用して、社会的つながりの回復や狭間のニーズに対応する参加支援事業、属性を超えて交流できる居場所づくりや住民同士の顔の見える関係性の育成支援等を行う地域づくり事業の三つの支援を柱として、さらに課題が複雑化・複合化した事例等に関して、関係者や関係機関の役割を整理し、支援の方向を示す多機関共同事業、自ら支援に繋がることが難しい人に対して関係性の構築に向けて支援するアウトリーチ等を通じた継続的支援事業を加えた五つの事業を一体的に実施することにより、地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を整備することとされております。これらは一から新たな事業を立ち上げるというものではなく、市や関係機関の相談窓口、地域における居場所や交流拠点、地域団体や事業所等の支援機関、それらが参加する様々な機会やネットワークなどの既存資源を活用し、相互に連携させて市全体で一体的に支援していく仕組みを改めて構築していくものです。本市におきましては、以前より保健・医療・福祉関係機関の連携により、要援護者等の個別支援や地域課題への対応を行ってまいりました。平成30年度以降は、地域総合支援センターを「福祉まるごと相談窓口」と位置付け、高齢・障害・子供・生活困窮など幅広い分野の相談対応を行い、各支援機関とのネットワーク構築を進めているほか、国の補助金を活用し、地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制構築のモデル事業として、多機関協働事業を先行実施して参りました。また「子ども食堂」や「みんな食堂」「ふれあいミニケア・サロン」「地域支え合いの家」自主グループやシニア活動等の住民主体の通いの場など、地域における居場所づくりや気づきの拠点の整備、多世代・多様な住民の交流などが活発に行われているところです。これら今まで実施してきた取り組みを踏まえ、令和四年度の重層的支援体制整備事業への移行にあたりましては、地域における包括的な支援体制の構築を一層進めていくために、地域における関係機関等との対話で地域課題や理念、目指すべき方向性等について認識の共有を図り、その中でそれぞれが果たすべき役割や支援の実施体制、連携の方法等について、明確に示していくことが重要となります。そのため策定が義務付けられている重層的支援体制整備事業実施計画に、これらの事を記載して周知していくほか、地域福祉計画に重層的支援体制整備事業を位置付けることにより、地域福祉計画策定過程を通じて、関係機関や地域住民等への周知・啓発や意見の聴取に努めていきたいと考えております。

 3点目、支援拠点としての地域総合支援センターの課題についてでございますが、複合的な課題を抱えている世帯への支援につきましては、福祉まるごと相談の窓口である地域総合支援センターを始め、介護・障害者福祉・子供・生活困窮・保険医療等の所管部署や関係機関等との連携によるチームアプローチを行っているところでございます。地域総合支援センターにつきましては、事業開始から3年が経過して認知度が進むなか、支援の件数は増える傾向にありますが、地域から評価の声をお聞きする一方で、センター職員の対応について厳しいご意見をいただくこともございます。重層的支援体制整備への移行にあたりましては、複合的な課題を解きほぐし、関係機関につなぐ際に必要となる課題解決力やコーディネート力、また地域との関係性を深め、より早期に課題を把握する力等を、さらに高めていく必要があると認識をしております。重層的な支援体制をしっかりと機能させていくことは、ヤングケアラーやダブルケア、8050問題など、複合的な課題を抱える市民への支援の向上につながるものであり、センターの運営を担う市社会福祉協議会ともに力を入れて取り組んで参ります。

(再質問)

(丸谷議員)

 重層的支援について

その世帯が抱える全ての課題に対応するということですが、ケアマネージャーさんが負担が増えるのではないかとご心配の声も聞いています。

また地域総合支援センターでの役割ということで人材育成、人材確保がすごく重要になってくると思うのですが、この辺りの見解をお聞きします。

(理事兼福祉局長)

 おっしゃっていただいたようなケアマネの方の立ち位置というましょうか、役割が変わるということでは決してございませんで、重層的支援につきましては、そういったケアマネさんが関わった家庭について、それ以外にお困りごとがないかということを見つけていただいて、それをしっかりとつないでいただく、そういったことが繋げるような環境をしっかりとまち全体で作っていくとうものでございますので、ケアマネさんの立ち位置が変わるものではございません。ただやはり関係者みんなで共通認識をして取り組むことが必要でございますので、これからも人材育成と言いましょうか、そういったまちの取り組みについて関係者のみならず住民の方も含めまして、様々なところで啓発し、また人材育成についても力を入れて取り組んで参りたいと考えております。

3. ヤングケアラーへの支援について

ヤングケアラーとは家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面でのサポートなどを行っている子供や若者のことです。このほど異例の早さで厚生労働省と文部科学省の共同プロジェクトチームがまとめたヤングケアラーへの支援策についての報告書が公表されました。本年3月議会で、私の質問に対し本市も具体的な支援策について、組織横断的に検討を行う会議体を設置して、全庁挙げて早急に支援に取り組んでいくとの答弁がありましたが、その後の進捗状況と具体的な支援策について見解を問います。

(行政からの答弁)

(理事兼福祉局長)

ヤングケアラーへの支援について

令和3年第1回定例会3月議会にて答弁いたしました通り、本市におけるヤングケアラーに係る課題の解決や支援の検討を行うため、福祉局、こども局、教育委員会事務局、明石保健所といった庁内関係部署に、地域総合支援センターや子供財団等の関係機関を加えた検討会を立ち上げ、5月に第1回の会議を開催いたしました。会議では、国が実施した全国規模の実態調査の結果や厚生労働省及び文部科学省によるプロジェクトチームの主な論点・課題等を説明した上で、本市のヤングケアラーにかかる気づきや支援の状況について、学校やスクール・カウンセラー等の教育部門における取り組み及び子どもセンターや要保護児童対策地域協議会等の子供部門における取り組みについて、具体事例も交えながら、各担当部署から報告をいただき、全員で共有をいたしました。その上で市全体及び各部署・各機関で実施していく具体的な取り組みや支援策等について、各所属において検討を行っており、ヤングケアラーの概念や存在についての周知・啓発、気づきのための明石市独自のチェックシートの作成、既存制度では対応できない狭間のニーズに対して、その実情に合わせた柔軟な運用等の提案がございました。次回以降の会議で取りまとめて行く予定としておりますが、支援策等の取りまとめにあたりましては、ヤングケアラーである子供本人のみならず家族全体を支援するという視点を徹底し、早期の発見を目指すことや子供の声を聞くこと、柔軟な支援に繋ぐことなどを重視していきたいと考えております。取りまとめた内容のうち年度内に実施可能なものについては可及的速やかに着手し、新たな予算が必要な取り組みや調整を要する事項については、来年度以降の実施を目指して、制度設計や予算化を進めてまいりたいと考えております。

4. 新型コロナワクチン接種のリスク管理について

① ワクチン接種予約の課題と改善策について

65歳以上の高齢者のワクチン接種予約において、予約開始日以前にかかりつけ医で予約が取れていたことについて、私の方にも複数の市民の方から疑問の声が届きました。そこでその際、担当部長にお尋ねしたところ、市はその行為を認めているというような発言がありました。しかし今本会議では、ルール違反、不公平な対応との答弁があり、私はこの違いに大変戸惑っています。また接種券と一緒に送られてきた文章には、電話とインターネットによる予約の仕方についての説明は書かれていますが、かかりつけ医で予約できることは一言も書いていません。一方で、接種できる医療機関名と電話番号は明記されており、ある病院では一日中電話が鳴り続けて大変だったそうです。さらに医療機関で直接予約が取れることを口伝えで知った市民が、医療機関に押し寄せ、長蛇の行列ができている光景も目の当たりにしました。なぜこのようなことになったのでしょうか。私は、かかりつけ医にお願いし、基礎疾患などがあり感染リスクの高い方を優先的に接種できる仕組みは良い事だと思いますし、否定するものではありません。ただ、かつてない迅速かつ適正な判断が求められる状況だからこそ、市民が混乱しないよう、正しく情報を公開し、市民に伝える必要があったと思います。このようなことが二度と起こらないよう改善策を講じることと、今回起こった公正を欠く事態を市民にきちんと説明する責任があると考えますが、市の見解を問います。

② ワクチン接種時の過誤防止対策について

他市ではワクチン接種時に同じ注射器を2回使用した、生理食塩水で薄めるのを忘れて原液を接種したなどの過誤が散見されます。また、接種券がなくても本人確認できれば接種が可能であることから、日にちを空けずに2回目を接種したり、3回以上摂取したりということもあるようです。本市は、このようなことが起きないような対策はできているのでしょうか。一昨日、本市においても、空の注射器を使用したというようなことがあったようですので、今後についてしっかりした対策と見解を問います。

③ ワクチン接種による差別防止について

ワクチン摂取を希望しない市民が差別されることがないよう、どのような対策を講じていくのか見解を問います。

④学校でのワクチン集団接種について

神戸市は学校での集団接種を検討するとの報道がありました。市内の保護者の方から「アレルギーなどがあり接種を見合わせたいが、集団接種になるといじめの対象にならないか」と心配の声をお聞きしています。すでに本市は実施しないとの答弁がありましたが、他の多くの自治体が実施したり、国から学校での集団接種を推奨するような方向性が出たりしても、実施しないということでよいでしょうか、見解を問います。

(行政からの答弁)

(感染対策局長)

1点目、ワクチン接種予約の課題と改善策について

5月20日から電話およびインターネットでワクチン予約の予約受付を開始いたしましたが、一部の医療機関で事前に予約を受けていたという状況がございました。事情も分からずに予約を待ち望んでいた市民の方にとっては不公平な対応であったと認識をしているところでございます。事実判明後、早々に医療機関への事前周知に課題があったと考え、市医師会を通じてルールの徹底をするよう注意喚起を行ったところでございます。今後は医療機関での個別接種につきましても、市で予約状況を把握するなど、市民の皆様に不公平感が生じないように改善をするとともに、予約の仕方につきましても、市民の皆様により丁寧な広報に努めて参ります。

 2点目、ワクチン接種時の過誤防止対策について

議員からありましたように、本市におきましても先日、集団接種会場において、注射器にワクチンを充填しないまま接種を行った可能性がある事案が発生をいたしました。謝って接種した市民の方には深くお詫びを申し上げるとともに、再びこのような事の無いようワクチンの希釈と注射器への充填については、作業工程を点検する看護師を新たに配置する他、接種の前に注射器に接種液が充填されてることを再度確認するなど、再発防止を徹底しているところでございます。加えて、他の集団摂取会場とも、今回の事案をしっかり共有するとともに、改めてチェック体制の確認や業務マニュアルの周知徹底を図ったところでございます。安全安心を前提に、引き続きより丁寧に円滑なワクチン接種に努めてまいります。

 ワクチン接種による差別防止について

ワクチン接種は摂取による予防の効果のメリットと副反応のリスクの双方について十分なご理解をいただいた上で、本人の御意思で接種いただく任意接種であり、強制的なものではございません。また体調の問題などで摂取できない方もいると伺っており、ワクチン接種をしていない方にその理由を問いただすことはもちろん、ワクチンを接種していないことに対する誹謗中傷や不利益な取扱いを行うなど、差別的な行為を決して許されるものではありません。本市では本年4月に「明石市新型コロナウイルス感染症の患者等に対する支援及び差別禁止に関する条例」を施行しており、嫌がらせなどを受けた方が気軽に相談できる窓口として「コロナ差別相談窓口」を開設するなど、差別や偏見、誹謗中傷が行われないような環境づくりに取り組んでいるところでございます。今後も引き続き、ワクチン接種を加速化していることと併せまして、広報誌やホームページ等を通じて、ワクチン接種に関する正しい知識や正確な情報の発信に努めてまいります。

 学校での集団接種について

学校での集団接種につきましては、希望される児童への接種の機会が増え、一斉に摂取することで集団の予防効果が期待できますが、一方で打ちたくない児童やアレルギー等の関係で打つことのできない児童が仲間外れになるなど、不利益を被る恐れがあり、学校生活に与える影響が非常に大きいと考えております。加えてワクチンによる身体への長期的な影響が明確になっていない点もふまえ、本市といたしましては現時点で児童対象とした集団接種を実施する予定はございません。