自然にもやさしいまちづくりについて

令和3年第1回定例会3月議会(3月3日(水)) 質問2項目め

○議員(丸谷聡子)

2項目めは、自然にもやさしいまちづくりについて。

新年度予算案の基本的な考え方として、SDGs未来安心都市を掲げる本市としては、当然のことではありますが、ようやく自然にもやさしいまちづくりが重点施策として掲げられていることは、大変喜ばしいことです。しかし、一方で、自然にやさしいまちづくりの本質を十分理解し、正しい認識で施策展開しなければ、耳触りのよいキャッチコピーで終わり、道を誤ることになりかねません。そこで、新年度の主な取組に挙げられている以下の5点について質問をいたします。

1点目、明石の恵まれた自然環境が後世にしっかりと受け継がれるよう、人にも自然にもやさしい持続可能なまちづくりを推進するとの方針が出されていますが、明石の恵まれた自然をどのように認識しているのか、見解を問います。

2点目、豊かな海づくりとマイボトル普及の推進について。私たちが便利に使用してきたプラスチック製品がごみとなり、大量に海に流れ、このままでは2050年には魚よりも多くなるという深刻な状況があります。ペットボトルが分解されるまでに450年もかかることや、プラスチックの添加剤が食物連鎖の中で濃縮されていくことで、人体に悪影響を与えることも分かってきました。本市の目指す豊かな海づくりは、海洋プラスチックごみの問題を避けては通れない課題です。課題解決の一番の早道は、一人一人の行動変容です。その点で、マイボトル普及の推進は、大量消費社会からの脱却という意味でも有効であり、環境教育とSDGs教育を一体的に行うことで一層効果が上がると考えます。しかし、その割にはマイボトルに関する予算はたったの60万円しか計上されていません。これで一体何ができるのでしょうか、重要施策とは名ばかりの状態です。効果のある取組をどのように推進していくのか、見解を問います。

3点目、地域循環共生圏構築に関する検討について。地域循環共生圏とは、地域の自然環境など地域の資源を最大限活用し、自立・分散型の社会の形成を目指すものですが、本市が取り組もうとしている地域循環共生圏の検討は、再生可能エネルギーに特化したもののように見受けられます。本来の地域循環共生圏は、明石市全体の地域資源を掘り起こし、そのポテンシャルを明らかにしなければ意味はありません。再生可能エネルギーに絞って活用を検討してしまうと、市域が狭く、自然が生活に密着している本市においては、生態系や住環境を壊す誤った検討をしてしまうことにもなりかねないことから、極めて慎重な取組が必要です。そもそも、自然や生態系を壊すエネルギーは再生可能エネルギーとは言えません。この点について、十分な配慮がなされるのか。また、特化せず、広く地域資源の掘り起こしをすべきと考えますが、見解を問います。

4点目、自然観察ゾーン、(仮称)自然観察センターの設置について。大蔵海岸に計画されていますが、どのような施設なのでしょうか。また、生物多様性の拠点としての機能を有するのでしょうか。自然の生き物との出会いは、その生態や不思議を語れる人に教えてもらわないと気づかないことも多いです。ぜひ、自然観察インストラクター登録制度を導入するなど、明石の自然体験・環境教育の拠点にしてはどうでしょうか。また、安全面の配慮は万全なのでしょうか、見解を問います。

5点目、明石の大切にしたい生きもの(明石市レッドリスト)の周知について。ガイドブックを作成するとのことですが、子供たちへの環境学習の教材としてだけでなく、大人も明石の大切にしたい生き物の価値を知り、地域住民とともにこの価値を共有し、守っていくことにつなげることが重要です。どのようなものを作成し、活用、周知、守るための行動につなげていくのか見解を問います。

○環境部長(石角義行)

環境部長でございます。

私のほうからは、御質問第2項目めの、自然にもやさしいまちづくりについて、1点目、2点目、3点目及び5点目についてお答えいたします。

1点目の自然にもやさしいまちづくりへの認識についてでございますが、第2次明石市環境基本計画において、目指す環境像の基本方針に、自然共生社会の実現を掲げるとともに、つなごう生きもののネットワーク生物多様性あかし戦略を策定し、身近な場所で生き物が暮らし、自然と人が共生するまちとなるよう、豊かな生態系のネットワークづくりを目指しております。明石の恵まれた自然は、穏やかな瀬戸内海を臨む美しい海岸線をはじめ、ため池群や田園地帯、里山林などにおいて、多様な生物を育んでおります。このすばらしい環境を守り、次世代に引き継ぐことが重要と認識しております。

次に、2点目の豊かな海づくりとマイボトル普及の推進についてでございますが、海洋プラスチックごみには、ペットボトルなどの使い捨てプラスチックが多く含まれていることから、海洋プラスチックごみ問題の解決に向けては、マイボトルを普及させることにより、ペットボトルの使用を減らしていく必要があると考えております。マイボトル普及に当たっては、単にマイボトルを配布するだけではなく、市民にマイボトルを実際に持っていただくことをきっかけとしまして、プラスチックごみの削減についての意識向上等、環境教育につながるような啓発の取組が重要であると考えており、来年度行われる豊かな海づくり大会プレ大会を契機としまして、関係機関とも連携し、海洋プラスチックごみ問題とマイボトルの効果的な普及啓発の手法について検討してまいります。

次に、3点目の地域循環共生圏構築に関する検討についてでございますが、本市は昨年3月に、気候非常事態宣言を行い、2050年に二酸化炭素排出量実質ゼロを目指すと表明したところであり、この目標を達成するためには、今後、再生可能エネルギーの最大限導入を図りつつ、CO2を削減していくことが不可欠と認識しております。このため、来年度の地域循環共生圏構築に関する検討事業においては、地域資源の1つである再生可能エネルギーの活用を軸としまして、市域における再生可能エネルギーの導入ポテンシャルの調査、導入のメリット・デメリットに関する情報収集、効果的な普及方策に関する検討などを実施することを予定しております。また、普及方策の検討に当たっては、生態系や住環境への影響についても十分に配慮する必要があると認識しており、地域循環共生圏の考え方を踏まえ、地域の環境や社会と共生した再生可能エネルギーの新たな普及方策について検討をしてまいります。

最後、5点目の明石の大切にしたい生きもの(明石市レッドリスト)の周知についてでございますが、平成30年度に、明石市において危機的な状況にある動植物を選定したリスト、明石市の大切にしたい生きもの(明石市レッドリスト)を作成しております。作成したリストは、希少種の種名、カテゴリーのみが記載されたものであり、どんな動植物か市民には分かりにくいことから、図鑑のような写真やイラストを用い、一目で分かるよう工夫した電子版のガイドブックの作成を考えております。作成後には、誰でも、いつでも閲覧できる市のホームページに掲載し、広く啓発することを考えております。また、小学生対象の環境学習、市民向け出前講座、各種団体が主催する自然に触れ合うイベント等において、電子版から印刷したものを配布する予定でございます。明石市の希少種の価値を地域住民等と共有し、自然環境を守る機運を高めることにより、保護・保全の活動へとつながると考えております。今後、さらに周知するため、有効な活用方法について検討してまいりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。

○都市局長(東 俊夫)

都市局長でございます。

2項目めの、自然にもやさしいまちづくりについての4点目、自然観察ゾーン、(仮称)自然観察センターの設置の御質問にお答え申し上げます。

自然観察ゾーン及びセンターを整備する大蔵海岸の西地区は、人工干潟の磯浜やヨットの白い帆をイメージいたしました休憩所を整備しており、松林内の散策や自然との触れ合いを楽しめる公園として御利用頂いているところでございます。昨年からのコロナ禍の中で、屋外である海岸や公園の利用者は増えており、改めて家族の絆や子供たちが外で遊ぶことの大切さを認識する機会となりました。そこで、大蔵海岸西地区に自然観察ゾーン等を設置し、大蔵海岸の当初の整備目的でもある、海との触れ合いを通じて、より多くの方々に自然の中で遊び、学び、喜びを体験していただこうとするものでございます。具体的な内容といたしましては、磯浜内に人工的なタイドプールを設置し、センターでは網やバケツ、ライフジャケット、箱眼鏡などの観察資材を無料で貸し出し、子供たちや家族連れが手ぶらで気軽に磯浜周辺に生息する生き物の観察など、磯遊びを楽しめるようにするとともに、図鑑や絵本など、自然に関する図書をセンターに置き、子供たちが海の豊かな自然や環境に関心を持ってもらうきっかけづくりの場、幅広い世代の学びの場としても活用頂けるようにいたします。

議員御指摘の生物多様性を柱といたしました環境学習の拠点となるような取組につきまして、本市は海岸やため池など、すばらしい自然環境に恵まれ、ウミガメやコウノトリなど、貴重な生き物をはじめ、多くの種や生態系を育まれており、その環境を保護し、後世に伝えることが重要であることは認識しております。また、子供たちが自然への興味を深めていくには、様々な体験や気づきが重要であることから、専門知識を有した自然観察インストラクターによる学びを体験してもらうことは、大変有意義な取組ではございますが、まずは事業のスタートを切らせていただき、ソフト、ハードの両面から段階的にアップグレードを検討してまいりたいというふうに考えております。

最後に、安全面についてでございますが、磯浜も水域を有する海岸であり、自由使用が原則となっております。しかしながら、現在も公園利用者の安全を確保するため、遊泳禁止などの一定のルールを設けた上で御利用頂いております。特に、磯浜は視覚的にも実際よりも浅く見えやすく、加えて大きな石が配置されて滑りやすくなっている所もございますことから、様々なリスクがございます。タイドプールを含めた水域内の利用は潮が引いた安全な時間帯のみとしたり、また低学年児童までは保護者の同伴を求めたりするなど、新たなルールを設けることが必要であると考えております。自然観察ゾーン等の運営開始に当たりましては、同様の施設を既に運用しております大阪府の、せんなん里海公園などの状況も参考にしながら、こうしたルール設定とともに、公園内警備を強化し、さらに利用実態に応じて適宜、安全対策をしっかりと検討し、万全を期してまいりたいというふうに考えております。本市の目標であるSDGs未来安心都市の実現に向けまして、質の高い教育をみんなに、海の豊かさを守ろうなど、SDGsの目標に沿って、人にも自然にも優しい持続可能なまちづくりにつながるような取組を、関係機関と認識を共有しながら進めてまいりたいと思っておりますので、よろしく御理解賜りますようお願い申し上げます。

○議員(丸谷聡子)

2項目めですけれども、自然にもやさしいまちづくりについて、1点目、すばらしい認識の御答弁を頂きました。今、環境部長が認識されている御答弁の内容を、庁内も、市民も、市全体で共通の認識にしていかないといけませんので、ぜひその辺、これからしっかり取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○環境部長(石角義行)

環境部長でございます。

先ほど御答弁させていただいたような、夢の実現に向けて、市内、庁内及び市民等、情報共有して、何ができるのか、まずはできることから始めたり、これからのビジョンを語り合ったり、そういうことをしてまいりたいと考えております。

以上でございます。

○議員(丸谷聡子)

そういう意味では、市民と共有する面という点では、3点目の地域循環共生圏を一緒に市民と考えていくというのは、非常に大事なことだと思います。そういった認識の上でやっていくということで、今回、再生可能エネルギーに特化したのは、国の補助メニューがこれだからというようなことなのかもしれませんけれども、ぜひそれならば、まずは市民と一緒に地域循環共生圏、地域資源を掘り起こすようなワークショップを行うことで、先ほどの認識も深めていくこともできると思いますし、そういった取組ができないかと思いますがいかがでしょうか。

○環境部長(石角義行)

環境部長でございます。

市民を巻き込んでワークショップという御提案でございます。地域資源の掘り起こしに関しましては、そういった市民に参加していただくワークショップも手法の1つと考えておりますので、必要性や新型コロナウイルス感染対策を含めまして、検討してまいります。

以上でございます。

○議員(丸谷聡子)

ぜひ、そういった市民を巻き込んだ形で、明石の地域資源の掘り起こしをしっかりしていただきたいと思いますし、その自然を壊すような再生可能エネルギーの検討というのは、絶対にやめていただきたいと思いますので、本会議の場でしっかりお伝えさせていただきたいと思います。

それで、4点目の自然観察センターの設置なんですけれども、私は、環境部局に対して、こういう拠点をつくってほしいというふうに、ずっと申し上げてきたんですけど、今回、都市局のほうから、このような取組が出てきたということで大変驚いています。とてもよい取組だと思いますし、ぜひいい形で進化させていっていただきたいんですけれども、今後、環境部局との連携というのはしっかりやっていかないといけないと思うんですけど、その辺りいかがでしょうか。

○都市局長(東 俊夫)

都市局長でございます。

再度の御質問にお答え申し上げます。先ほども答弁で申し上げましたように、せんなん里海公園におきましても、磯浜とは別に、しおさい楽習館という楽習館を設置をして、そこで学習活動等を行っております。そういった取組の中では、やはり言われましたように都市局だけではなかなか進まない部分もありますので、先ほど申し上げましたように、しっかり関係部局と意識を共有しながら取り組んでまいりたいと考えております。

以上でございます。