大久保北部の里山をはじめとする明石の緑のあり方について

令和3年第1回定例会6月議会(6月16日(水)) 質問1項目め

○議員(丸谷聡子)

かけはしSDGsの丸谷聡子です。発言通告に従い4項目質問いたします。

1項目めは、大久保北部の里山をはじめとする明石の緑のあり方について4点質問いたします。

1点目は、大久保北部遊休地への土砂受入れについて。本年3月議会において、NEXCO西日本から神戸西バイパス延伸事業により発生する土砂を大久保北部遊休地に受け入れてほしいとの提案があったと報告がありました。市は、効果と課題を検証し、受入れの可否について検討を進めるとの考えを示していますが、提案があった大久保北部遊休地一帯は本市に唯一残された里山で、景観はもとより多くの希少種が確認されており、生物多様性あかし戦略においても、まとまりのある豊かな生態系が残る拠点として位置づけられているところです。また、地下水脈などの水循環や明石の豊かな海の生態系を保つためにも重要な役割を果たしているということは言うまでもありません。私は、このような明石の宝とも言える大事な場所を潰して土砂を受け入れることはあってはならないと考えます。この6月2日には2つの市民団体から、土砂受入れ反対とかけがえのない里山を生かした利活用を提案する要望書が市に提出されていますが、それらを踏まえた上で、この大久保北部遊休地の土砂受入れについてどのように判断されるのか、見解を問います。

2点目は、大久保北部のかけがえのない里山の今後の利活用について。土砂を受け入れて里山を手放すのではなく、里山の生物多様性拠点としての整備、野外活動や森のようちえん、環境体験学習の場としての活用、キャンプ場や市民農園の復活など、コロナ禍だからこその新しい発想で、里山の自然や景観を生かした利活用に積極的に取り組むべきだと考えますが、市の見解を問います。

3点目は、本市の緑のあり方について。大久保北部の問題は、市内全体の緑の在り方や未来の子供たちにどんな明石の緑を残したいのか、市として明らかにすることの重要性を教えてくれました。新幹線車両基地問題についても、昨年、JR西日本からコロナで経済環境に多大な影響が出ているので、具体的な提案を延期したいという話が出たまま、市としての方向性はいまだ何も示されていません。そんな中で、大久保、魚住間の農業振興地域一帯には、今年2月中旬から4月下旬にかけて10数羽のコウノトリが飛来し、豊かな生態系があることを証明してくれました。また、工場緑地の在り方についても、検討会や市民アンケートなどが進められていますが、この問題を考える上においては、ミクロで工場緑地だけを見るのではなく、まずは市として全体の緑の在り方についての明確な方向性を示し、その中での位置づけをはっきりさせ、緩和によって失われる緑は市が補うなどの対策も併せて提案することが重要だと考えます。明石の暮らしやすい住環境や豊かな自然環境を未来に残すために、どこをどうすればよいか。その利活用について検討し、施策展開してこそ、社会や経済も大きく回り始め、持続可能な都市になるのだと思います。それこそがSDGsの目指す世界です。そこで、新幹線車両基地、工場緑地の問題についての現状と、本市の緑の在り方の大きな方向性について見解を問います。

4点目、昨年8月に実施した国土交通省コロナ危機を踏まえた市民の日常生活の行動や意識の変化に関する全国アンケート調査速報では、充実してほしい都市空間の第1位は、公園、広場、テラスなどゆとりのある屋外空間でした。アフターコロナにおいて、市民が暮らしやすい都市を目指すためには、住宅地の中に、緑豊かで市民が憩える都市公園などの屋外公共空間をつくるという発想の転換も必要です。本市の緑の在り方の方向性も踏まえ、SDGs未来安心都市の象徴として、例えばJT跡地を緑豊かな都市公園にしてはどうでしょうか、市の見解を問います。

○政策局長(横田秀示)

政策局長でございます。

私からは、御質問の1項目め、大久保北部の里山をはじめとする明石の緑のあり方について、順次お答えいたします。

まず、1点目の大久保北部遊休地への土砂受入れについてでございますが、過去に約10億円を投じて取得した土地が手つかずのままであったことから、大久保北部の遊休地の利活用については、市の長期的な課題として有効な方策を検討したところでございます。しかしながら、当該土地は道路との接道が乏しいこと、また民有地の混在により一団の土地となっていないことなど多くの課題があり、利活用が難しい状況となっておりました。そのような中、本年3月議会の総務常任委員会において御報告いたしましたとおり、神戸西バイパス延伸事業に関連し、NEXCO西日本から工事で発生する土砂の大久保北部遊休地への受入れ提案がありました。本市といたしましては、この提案を受け、NEXCO西日本と協議を行ってきたところでございます。NEXCO西日本は提案当初、土砂受入れの開始時期につきましては令和4年度中からを希望し、具体的な時期までは未定としておりましたが、このたび、本年4月になって初めて、令和4年4月からの土砂搬出が必須であるとの意向が示されたところでございます。本市といたしましては、土砂受入れに当たって、市民の理解が必要なことから、土砂受入れ可否等の判断に必要な遊休地内に点在する民地権利者全員の同意や環境調査、埋蔵文化財調査等を令和4年度中にはできるように、スケジュールを検討しておりましたが、NEXCO西日本の意向である令和4年4月からのスケジュールでは、これらが難しいことになってしまっております。この結果、本年4月の土砂受入れを希望するNEXCO西日本にとりましては、遊休地への土砂搬入に当たり、不確定要素が多くリスクが大きいため、本市への提案を取り下げ、大久保北部遊休地以外で受入れ場所を探すとのことでございます。

次に、2点目の大久保北部のかけがえのない里山の今後の利活用についてでございますが、1点目で御答弁申し上げましたとおり、遊休地への土砂受入れはなくなりましたが、NEXCO西日本は神戸西バイパス延伸事業に必要な側道整備や公園墓地橋の架け替え及び架け替えのための迂回路を整備し、整備後は市道といて供用する予定となっております。これにより、遊休地への道路アクセスの向上が見込まれ、利活用の可能性が広がると考えており、本市といたしましては、こうした道路アクセスの向上を踏まえ、引き続き遊休地の利活用について、まちづくりや地域の活性化の観点から、自然環境との調和や生態系への配慮といった課題も整理しながら、幅広く調査検討を進めてまいりたいと考えております。

次に、3点目の本市の緑のあり方についてでございますが、まず新幹線車両基地及び工場緑地の在り方検討の状況といたしまして、新幹線車両基地につきましては、昨年5月にJR西日本より、新型コロナウイルスによる社会経済情勢の変化により経営環境にも多大な影響が出ており、車両基地の必要性については変わらないものの、車両基地等のプロジェクトについては、今後の情勢を踏まえ、スケジュール等を見直す可能性があるため、具体的な提案を延期したい旨の連絡があり、現在も引き続き社内で内部検討を進めておりますが、まだ提案できる状況ではないとのことでございます。

また、工場緑地の在り方検討につきましては、昨年度3回にわたり検討会を開催しており、工場の現状における老朽化等の課題や建て替えした場合の影響、工場緑地の在り方など、幅広い視点で議論がなされております。また、検討状況を市民に周知しますとともに、検討会での参考とするため、広報あかし4月15日号におきまして、これまでの検討内容を紹介し、市民意見を募集したところでございます。

次に、本市の緑のあり方についてでございますが、本市は都会でありながら、海をはじめとして、市南西部や北部を中心に緑豊かな丘陵が広がるなど、恵まれた自然環境を有しております。また、市街化区域においてもため池や田園が広がるなど、のどかな景観も見られます。近年では、住みたいまちの受皿として、ため池や田園を転用した住宅開発等が進んでおります。今後も市民の方々が住みたいと思われるようなまちづくりを進めていく上で、都市としての利便性と自然環境との両立が重要な点になると考えております。つきましては、自然環境の保全と都市開発との調和に配慮しますとともに、量だけではなく質の高さも考慮した、市民が身近に緑を感じ、安らぐような緑地や公園の整備等に努めてまいりたいと考えております。

最後に4点目のSDGs未来安心都市の象徴として、JT跡地を緑豊かな都市公園にしてはどうかとの御質問についてでございますが、御提案の都市公園も1つの考えと認識しておりますが、JT跡地の公共公益施設用地につきましては、大久保地区はもとより、本市のまちづくりの方向性や公共公益施設の在り方を踏まえた上で、様々な角度から幅広く検討を進める必要があると考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。

○議員(丸谷聡子)

それでは、再質問させていただきます。

1項目めの1点目、大久保北部遊休地への土砂受入れについては、NEXCO西日本から本市への提案の取下げがあったということですね。これは正式に取下げが決定したということでよいでしょうか。

○政策局長(横田秀示)

政策局長でございます。

NEXCO西日本から取り下げるということがありましたので、今のところそれ以上ないと思っております。

○議員(丸谷聡子)

まずはよかったと思いますが、これで安心してはいけないと思っています。今後、このかけがえのない里山を守っていくための利活用をどう進めていくか、明石市として具体的に考えていかないといけないと思っています。そこで2点目に入るんですけれども、この地域には明石の大切にしたい生き物、明石市レッドリストに選定されている生き物というのは何種類ぐらいいるんでしょうか。

○環境部長(石角義行)

環境部長でございます。

希少種についての御質問でございますが、大久保北部の遊休地に生息する希少種数については把握しておりません。少し広い範囲になりますが、松陰地区及び松陰新田地区におきましては、過去の文献や本市の自然環境調査等におきまして67種の希少種が確認されております。

以上でございます。

○議員(丸谷聡子)

あそこの地域だけというわけじゃないですけど、里山ってあの辺一帯で生態系って成り立っていますので、その一帯で明石で希少種が67種という、今御答弁ありました。このレッドリストに上げられている種というのは全部で277種ですから、市内の希少種の約4分の1がこの地域の里山で暮らしているということが分かるんですよね。環境部長に再度お聞きしますけれども、明石の里山の自然といえば、ここほど生物多様性に富んだ場所はないと思うのですが、いかがでしょうか。

○環境部長(石角義行)

環境部長でございます。

この地区は、多様な生物の生息する場所でございます。生物多様性あかし戦略におきまして、先ほど議員からも指摘がありましたが、まとまりのある自然が残る地域と位置づけている地区と認識しているところでございます。

以上でございます。

○議員(丸谷聡子)

明石としても大事な場所だということで、市のほうも認識されているという前提ですけれども、生き物というのは、その種類1種だけで生きているわけではありません。その地域の環境であるとか生態系のつながりによって、絶妙なバランスが保たれて成り立っているものです。一度この生態系や自然環境を崩してしまったら、二度と元に戻らない、そういうものです。だからこそコロナ後の社会ニーズに合ったグリーンリカバリーの拠点として、先ほど提案させていただいたような様々な取組を、市民の力もお借りして、できることから始めるべきだと私は考えています。そこで市長にお聞きしたいんですが、大久保北部のこともそうです、それから新幹線車両基地のこともそうですけど、提案者ありきで、受け身の姿勢だなというふうに私は感じるんですが、もっと能動的に市としてこの緑や豊かな生態系をどう考えるか、ビジョンをしっかり示して、市自らが施策展開していくべきだと思います。そういう意味では、今回、本市の緑の在り方として大きな方向性を示していただきました。これ一歩前進だと私は思ってます。その中で、自然環境の保全とか、緑の質の高さとか、市民が身近に緑を感じられる整備などのキーワードが出ましたが、今後、明石は緑を手放すのではなく、守るべきところは守る、新しくつくり出すところはつくり出すというような発想で、具体的な取組を進めていただきたいと思いますが、市長のお考えをお聞かせください。

○副市長(宮脇俊夫)

副市長の宮脇でございます。

先に私のほうから所管する副市長として、考え方等を述べさせていただきたいと思います。

本当にこれまでも、最初1回目、政策局長等から、これまでの議会での答弁がありましたとおり、明石は海をはじめ豊かな自然にも恵まれた非常に住みやすいまちであると考えております。まちづくりの観点から、やはりこの住みやすさ、市民の方が引き続き住み続けたいと思う環境をいかに守ってつくっていくか。それが大事だと思っております。その中の1つの重要な要素が自然環境であるかなというふうに思っております。ただ一方で、住み続けたいまちの受皿としての住環境等の整備、利便性、利便施設等の整備、これもしっかりと計画的にしていかなければならないかなというふうに考えております。こうした中で、1回目答弁でも局長申し上げましたとおり、開発と自然の保全との調和、これをいかにしっかり守っていくか。例えば今、お話ありました大久保北部の遊休地、里山というふうに言われてますが、本当に豊かな自然というのは認識しております。ただ、今の状況、入っていこうと思ったら入っていけますけども、なかなか市民の方が気軽に入っていくことも難しいような状況、これがこのままでいいのか、私は正直もったいないなと思っております。この土地について、交通の利便性も上がることから、ほかの議員さんの御意見では、テクノパーク等の開発面と併せた活用もどうかといったような御意見も伺っております。こうしたいろいろな御意見がある中で、本当に市にとって、市民にとって自然というものも1つの重要なテーマとしつつ、どう活用していっていいか、これが重要なこれからの課題かなというふうに思っております。

以上でございます。

○市長(泉 房穂)

議員御指摘のテーマでありますが、議員の会派名、かけはしSDGs、SDGsにも関係すると思うんですけど、まさにSDGsというのは、経済と環境と社会、こういった3側面をしっかりと見据えながら、一緒にやっていきましょうと。いつまでもという持続可能性をキーワードにしているわけでありますので、まさにそういった観点から様々な御意見があるテーマでありますので、まさにいかに市民の合意を得ていくかというテーマだろうと思います。ちなみに、私自身は御案内のとおり漁師のせがれでありまして、海の近くで育ちました。幼い頃からおやじやおじいちゃんから、海が駄目になっていくという話を聞かされておりました。どういうことかというと、どんどん開発が進み、人間の都合で開発するわけですけど、その結果、魚が減っていっているということであり、その問題が、今まさに豊かな海づくり大会を直前にしておりますけど、やはり明石の海が細くなっているというか、貧しくなっている、これ全部つながってますので、当然、山の栄養分が流れてプランクトン、エビやカニ、貝、そしてタコとか、みんなつながっていますので、人間の目からだけ物を見るんじゃなくて、あらゆる生き物の目から多様的に見ていく必要もあると私は考えております。いずれにしても、よくよく議論の要るテーマだと思っております。

以上でございます。

○議員(丸谷聡子)

子育て世代のお母さんたちも、すごくそういう場所を、自然豊かなゾーンを市民の誇りとして残していくことをすごく希望されていますので、そういうこともこれから考えてください。すごくいい場所です。入りにくいとおっしゃいましたけど、一回行ってください、十分入れるいい場所です。