重層的支援体制整備事業について

令和3年第1回定例会6月議会(6月16日(水)) 質問2項目め

○議員(丸谷聡子)

2項目めは、重層的支援体制整備事業についてお伺いします。

このたび、社会福祉法が改正され、地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を構築するために、新たに重層的支援体制の整備が位置づけられ、本市も取り組むとしていることから、以下の3点について質問をします。

1点目、令和4年度より重層的支援体制整備事業移行を前提として、どのような準備を進めていくのか。また、市民に対してはどのように周知をしていくのか見解を問います。

2点目、この事業は行政内部の計画策定に加えて、地域全体の関係者による計画策定が求められています。策定スケジュール、体制の構築、市民参画手続等はどのように進めていくのか見解を問います。

3点目、本市は3年前から地域総合支援センターにおいて先行的に福祉まるごと相談に取り組んでいますが、重層的支援への円滑な移行を行う上で、支援拠点としての地域総合支援センターが担う役割は大変重いと考えます。移行に向けての地域総合支援センターの課題とその解決策について見解を問います。

○理事(総合支援担当)・福祉局長(佐野洋子)

理事兼福祉局長でございます。

私からは、御質問2項目めと3項目めをお答えをいたします。

2項目めの重層的支援体制整備について、まず1点目及び2点目についてでございますが、重層的支援体制整備事業では、相談者の属性や相談内容にかかわらず包括的に相談を受け止める包括的相談支援事業、地域資源等を活用して社会的つながりの回復やはざまのニーズに対応する参加支援事業、属性を超えて交流できる居場所づくりや住民同士の顔の見える関係性の育成支援等を行う地域づくり事業の3つの支援を柱として、さらに課題が複雑化、複合化した事例等に関して、関係者や関係機関の役割を整理し、支援の方向を示す多機関協働事業、自ら支援につながることが難しい人に対して関係性の構築に向けて支援するアウトリーチ等を通じた継続的支援事業を加えた5つの事業を一体的に実施することにより、地域住民の複雑化、複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を整備することとされております。

これらは、一から新たな事業を立ち上げるというものではなく、市や関係機関の相談窓口、地域における居場所や交流拠点、地域団体や事業所等の支援機関、それらが参加する様々な会議体やネットワークなどの既存資源を活用し、相互に連携させて市全体で一体的に支援していく仕組みを改めて構築していくものです。本市におきましては、以前より保健・医療・福祉関係機関の連携により、要援護者等の個別支援や地域課題への対応を行ってまいりました。平成30年度以降は、地域総合支援センターを福祉まるごと相談窓口と位置づけ、高齢、障害、子供、生活困窮など、幅広い分野の相談対応を行い、各支援機関とのネットワーク構築を進めているほか、国の補助金を活用し、地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制構築のモデル事業として、多機関協働事業を先行実施してまいりました。

また、こども食堂やみんな食堂、ふれあい・ミニケアサロン、地域支え合いの家、自主グループやシニア活動等の住民主体の通いの場など、地域における居場所づくりや気づきの拠点の整備、多世代・多様な住民の交流などが活発に行われているところです。これら今まで実施してきた取組を踏まえ、令和4年度の重層的支援体制整備事業への移行に当たりましては、地域における包括的な支援体制の構築を一層進めていくために、地域における関係機関等との間で地域課題や理念、目指すべき方向性等について認識の共有を図り、その中でそれぞれが果たすべき役割や支援の実施体制、連携の方法等について、明確に示していくことが重要となります。そのため、策定が義務づけられている重層的支援体制整備事業実施計画にこれらのことを記載して周知していくほか、地域福祉計画に重層的支援体制整備事業を位置づけることにより、地域福祉計画策定過程を通じて関係機関や地域住民等への周知啓発や意見の聴取に努めていきたいと考えております。

続きまして3点目、支援拠点としての地域総合支援センターの課題についてでございますが、複合的な課題を抱えている世帯への支援につきましては、福祉まるごと相談の窓口である地域総合支援センターをはじめ、介護、障害者福祉、子供、生活困窮、保健医療等の所管部署や関係機関等の連携によるチームアプローチを行っているところでございます。地域総合支援センターにつきましては、事業開始から3年が経過して認知度が進む中、支援の件数は増える傾向にありますが、地域から評価の声をお聞きする一方で、センター職員の対応について厳しい御意見を頂くこともございます。重層的支援体制整備事業への移行に当たりましては、複合的な課題を解きほぐし、関係機関につなぐ際に必要となる課題解決力やコーディネート力、また地域との関係性を深め、より早期に課題を把握する力等をさらに高めていく必要があると認識をしております。重層的な支援体制をしっかりと機能させていくことは、ヤングケアラーやダブルケア、8050問題など、複合的な課題を抱える市民への支援の向上につながるものであり、センターの運営を担う市社会福祉協議会と共に力を入れて取り組んでまいります。

○議員(丸谷聡子)

最後に、重層的支援についてお聞きします。その世帯が抱える全ての課題に対応するということなんですけれども、ケアマネジャーさんの負担が増えるのではないかというふうに心配のお声も聞いてます。また、地域総合支援センターでの役割ということで、人材育成、人材確保がすごく重要になってくると思うんですが、その辺りのところの見解をお聞きしたいと思います。

○理事(総合支援担当)・福祉局長(佐野洋子)

理事兼福祉局長でございます。

おっしゃっていただいたようにケアマネの方の立ち位置といいましょうか、役割が変わるということでは決してございませんで、重層的支援につきましては、そういったケアマネさんが関わった家庭について、それ以外にお困り事がないかということを見つけていただいて、それをしっかりとつないでいただく。そういったことがつなげるような環境をしっかりと、まち全体でつくっていくというものでございますので、ケアマネさんの立ち位置が変わるものではございません。ただ、やっぱり関係者みんなで、そういった共通認識をして取り組むことが必要でございますので、これからも人材育成といいましょうか、そういったまちの取組について、関係者のみならず住民の方も含めまして、様々なところで啓発し、また人材育成についても力を入れて取り組んでまいりたいと考えております。

以上でございます。