議案第72号、明石市住民投票条例制定のことについて

令和3年第2回定例会9月議会(9月16日(木)) 質問1項目め

○議員(丸谷聡子)

かけはしSDGsの丸谷聡子です。発言通告に従い4項目質疑、質問いたします。

1項目めは、議案第72号、明石市住民投票条例制定のことについて、4点質疑いたします。

1点目、なぜ本9月議会に突然、提案されたのか。この条例は誰のためのものなのか。明石市住民投票条例の制定の目的について見解を問います。

2点目、平成27年10月、明石市住民投票条例検討委員会の答申どおりの内容で条例素案のパブリックコメントを行っています。そのときの広報あかしでは、署名要件が8分の1になった経緯などが分かりやすく説明されていました。ところが、その2か月後に提案された条例案は、パブリックコメントで1件の異論もなかった署名要件が6分の1に変えられており、そのときの驚きは今でも忘れられません。次に提案された2回目の条例案では、署名要件は8分の1と答申どおりでしたが、定住外国人への請求資格及び投票資格の付与については認めないこととしており、3回目の今回は、署名要件、外国人の投票資格の付与という重要事項の2点共が変更されています。軽微な修正であればともかく、条例の骨幹を担う重要事項を2つも変更するのであれば、当然、市民への丁寧な説明や意見を聴く責任が市にはあると考えますが、見解を問います。

3点目、署名要件は、検討委員会において最重要事項として最も長い時間をかけて議論を尽くして導き出したものです。当初は、10分の1と6分の1の選択肢しかなく、意見が二分していましたが、常設型の住民投票といっても法的拘束力を持たない尊重義務を課すだけのものであり、法的拘束力を持つ市町村合併のための合併協議会の請求要件と同じ6分の1ではハードルが高過ぎるとの判断から、当初なかった8分の1という選択肢を見出し、委員全員の一致で決定した経緯があります。住民投票条例は、市民参画の要ともなる極めて重要な制度です。市民がいざというときに使える条例でなければ意味がない、それが8分の1を決断した検討委員会委員全員の思いだったはずです。しかし、今回、またなぜ6分の1に変更してしまったのでしょうか、見解を問います。

4点目、住民投票条例検討委員会の答申の重みについてです。住民投票条例検討委員会は、通常の諮問機関とは異なり、議会が承認した明石市住民投票条例検討委員会条例に基づき設置された委員会でした。私は当時、一市民でしたが、分野型市民活動団体の代表として委員に任命され、この検討委員会の議論に加わらせていただきました。それまでも、県や市の諮問機関の委員を経験していましたが、それらとは全く違う大きな責任を背負っているという重圧と、議会からも注視されているという緊張感の中で毎回発言をしておりました。そして、1年2か月にわたって11回の委員会での議論、検討委員会が企画し開催した市民フォーラムなど、委員一人一人が学び、考え、熟議を繰り返し、ようやく導き出したのが113ページにも及ぶ答申書でした。委員には議員経験者も2名入っており、当時市民でした私としては、議会の意向も十分網羅された非常に重い答申だとの受止めをしておりました。ですから、答申を出したときには、こんなにころころ重要事項を変えられて、何度も上程されることになるとは夢にも思いませんでした。市長は、この検討委員会が出した答申の重みをどのように考えておられるのでしょうか、認識を問います。

○市長(泉 房穂)

私のほうからは、丸谷議員御質問のうちの1項目め、住民投票条例に関するテーマにつきまして御答弁申し上げます。

もう既に御答弁申し上げましたとおり、市長といたしましては、その前提としての明石市におけるまちづくりの憲法的な位置づけのある明石市自治基本条例をとても大事なものだと市長としては認識をしております。その条例の中の第14条において、繰り返しになりますが、1項において住民投票を市長は実施しなければならないと規定されており、市長としての立場は、住民投票請求があれば、実施すべき立場にあり続けております。もっとも、3項において具体的な条件等につきましては、別に条例に定めると規定されておりますので、その条例が制定されなければ実際の手続に乗りませんので、市長としては、もう住民投票を市民の皆様から請求があったとしても手続に乗らない状況でありまして、そういった観点から、ぜひ住民投票条例の制定をという形でお願いをしている立場でございます。

加えまして、今の自治基本条例は、私が市長に就任する2011年の前の年の2010年の4月に施行でございますので、私はそれを受けて市長に就任したわけでありますが、市長に就任した後、私としてはしっかりと住民投票条例をつくらなければいけないものだという認識の下に検討会をお願い申し上げ、非常に熱心な御議論を賜り、数々ある論点の中で一定の結論を見出していただいて、答申を賜ったわけでありまして、市長としてはその答申を最大限に尊重すべきものであるという立場であり、加えて、私個人の意見といたしましても、その答申に何ら異論のある立場ではございません。もっとも、多くの議員の皆様から御指摘頂いていますように、やはり地方自治における原則としては、やはり地方議会、二元代表制のまさに市民の代表である議会の御判断というのは当然でございますので、住民投票との位置づけをどうするかというのは非常に大きなテーマであり、当然のことながら、このテーマについて議会の多くの皆様の御賛同を得る中で条例をつくらなきゃいけない立場でございまして、答申のとおりで制定頂けるのであれば、私自身は何の異論もございませんので、丸谷議員に置かれましても、そういったお立場であるのであれば、議員3名以上で修正動議を出すことは可能でありますので、議員3名以上で修正動議を御提示頂くなどして、御自身のお立場に立った形の制定を目指していただくのも1つかと私は考えております。

このテーマにつきまして、非常に大きなテーマなので、あえてお伝えしますけれど、大きく論点が3つありまして、1つは投票資格者に定住外国人を含むか否かの論点が1つ目。2つ目が署名要件でありますが、8分の1なのか、6分の1なのか、また、違うのかという署名要件の問題が2つ目。3つ目が、いわゆる署名に際して押印、印鑑を押す必要があるかないかの論点。この3つの論点が非常に大きな論点として議論されてまいりました。この間の議論の中で、その3つの論点につきまして、私の理解としては、定住外国人を含めるべきでないという強い御意見を頂き、加えて、署名数は8分の1ではなく6分の1だという強い御意見も頂きという中で、悩ましい問題としてきたわけでありますが、3つ目の論点についての、いわゆる押印につきましては、このたび9月1日付から国においても地方自治法の改正によりまして、署名時においての押印は不要という整理がなされましたので、答申の3つのうちの押印不要につきましては、答申どおりの内容にて今回、御提示している状況でございます。

1つ目の論点の定住外国人を含むか否かの論点につきましては、いわゆる他の自治体を見ますと、現状、こちらの調べによりますと、定住外国人を含める自治体が37自治体、含めない自治体が28自治体となっておる状況でありまして、両方割れている状況だと思っておりまして、この点につきまして定住外国人を含むというお立場から修正動議を御提示頂き、それで可決頂くことについて何ら異論はございません。2つ目の住民の署名数につきましても割れておりまして、大事なテーマなので、あえてお伝えしますが、3分の1以上という形のところも12自治体あります。4分の1以上が9自治体。5分の1以上というのも10自治体。6分の1以上が実は一番多くて、28自治体が6分の1なんですね。答申の8分の1以上というのは数は実はまだ少なくて2自治体であります。さらに、より緩和された10分の1以上が4自治体という状況でありまして、全国的な状況を見ますと、6分の1以上が28自治体で、最も他の自治体において採用されている、住民投票条例をお持ちの自治体において最も多いのが6分の1であります。明石市の答申は8分の1でありますので、繰り返しお伝えしてますが、私は8分の1に何の異論もありませんが、ここは全国的な状況を見ながら、議会において御議論頂くべきことかと思っております。

議員のほうからいろいろ御意見頂くこと自体はごもっともなんですが、私の立場としては、条例をおつくりいただかないことには、市長としての責任を果たせない状況であり、それをいつも、まさに違憲状態といいますか、明石市の憲法的な立場の自治基本条例を守れていないことについて、ある意味、法律家でもある私の立場としては、違反状態をいつまでも看過し難い中で、今回、改めて署名要件について不要とされたこのタイミングにおいて、御提示申し上げた。せめて答申の3つのうち、せめてそのうちの1つの押印不要だけでも、しっかりとした検討委員会の結果を踏まえたいという思いでございます。あとの2つの外国人を含むか否かと署名要件数につきましては、多種多様な御意見は恐らく議員の皆様にもおありだと思いますので、何とぞ、その辺り調整といいますか、御議論頂きまして、どこかに着地頂き、制定をしていただきたいと強く願う立場でございます。よろしくお願い申し上げます。

○議員(丸谷聡子)

それでは、再質問させていただきます。

1点目、住民投票条例ですけれども、市長から御答弁頂きましたけれども、ちょっと御答弁頂いていないところがあるように私は思います。今回、骨幹を担う重要事項を2つも変更しての提案なんですけれども、当然、パブコメって平成27年にやったきりなんですが、きちっとやっぱり市民に、なぜこういったものを出すのかということを説明したり、意見を聞くという責任は市側にあると思いますし、また、議員のほうにボールを投げられているような発言が見受けられるんですけど、議員もこの改選後、新しくなった方もたくさんおられますから、やっぱり市当局としてしっかり議員にも説明するであるとか、検討するとか、意見を聞くとか、そういった丁寧な提案の仕方ってあったんじゃないかと思うんですけれど、いかがでしょうか。

○市長(泉 房穂)

繰り返しになりますが、私自身としては、検討会の答申の結論に何の異論もありませんので、そのとおり可決頂けるのであれば、もう全くそれに何の異論もありません。もっとも、繰り返しお伝えしますけど、条例につきましては、原則として議会においての議決が前提となりますので、そうなってきた場合、議決頂けない提案をしたのでは制定に至りませんので、この間頂いた議会からの御意見を踏まえて、本議会での制定を最優先するという観点から、今回の提案に至った経緯でございます。もっとも、繰り返しお伝えしますように、議員でかなりこのテーマは大きく意見が異なっておりますので、だからこそ、まさに二元代表制の議会にて集約を図る、つまり、審議を経て一定の着地を図っていくのが議会の役割だと私は思っておりますので、繰り返しお伝えしますけど、丸谷議員におかれましては、仲間を増やして御自身のお考えなさるような、ちゃんと内容の修正動議を可決するようにするのが丸谷議員の責任だとあえてお伝え申し上げます。

○議員(丸谷聡子)

それは私が考えることで、市長に言われることではないと私は思っておりますので、お言葉をお返ししたいと思います。市長もそれほど答申どおり出したいと、本当に本気の思いがおありであれば、その思いをもっともっと議員にも市民にも伝えていただきたいと思うんですね。そういう思いが私は感じられないと思いますし、現時点では6分の1というのは容認できませんし、これ以上やりとりしてても同じでありますので、私の意見をお伝えさせていただいて、次に移らせていただきたいと思います。