地球温暖化対策として効果的な建築物の断熱などエネルギー 消費性能向上の取組について

令和3年第2回定例会9月議会(9月16日(木)) 質問2項目め

○議員(丸谷聡子)

2項目めは、地球温暖化対策として効果的な建築物の断熱などエネルギー消費性能向上の取組について伺います。

近年、全国各地で甚大な被害をもたらす風水害が発生しており、気候変動問題は人類共通の喫緊の課題となっています。こうした中、国は昨年10月、2050年までに脱炭素社会の実現を宣言し、本年5月には改正地球温暖化対策推進法で、パリ協定の目標や、2050年カーボンニュートラル宣言が基本理念として位置づけられました。さらに、このたびの第6次エネルギー基本計画(素案)においても、徹底した省エネによるエネルギー消費効率の改善が明記されました。また、令和3年4月1日施行の建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律改正では、地方公共団体の条例による省エネ基準の強化がうたわれています。こうしたことから、これからの地球温暖化対策として、まずはエネルギーを使わない。ゼロエネルギーを目指す。そのためには、建築物のエネルギー消費性能を向上し、省エネを徹底すること。それでも足りないところについては、建築物に設置する再生可能熱やエネルギーで賄うという考え方が重要であるということが明らかになっています。つまり、これからの地球温暖化対策は、山の斜面やため池など、自然環境や住環境に悪影響を与えるような太陽光パネル設置や風力発電などの再生可能エネルギーを安易に導入するのではなく、建築物のエネルギー消費性能向上に取り組む。まずは断熱、次に気密、その次が窓の外側に可動式のカーテンなどを設置して太陽の光をコントロールする日射コントロール、そして換気、通風設備を整えた上で、最後に再生可能熱やエネルギーで賄うという省エネ、ゼロエネルギーという考え方で進めるということが最も効果的であるということです。今後はこのような考えを柱に、気候非常事態宣言を行った明石市として、持続可能なまちづくりを進めていくことが重要であると考えることから、3点質問をいたします。

1点目、建築物の断熱の推進について。ゼロエネルギーという考え方や断熱の推進を現在策定中の環境基本計画にも明記し、地球温暖化対策実行計画の柱に据えていくべきと考えます。また、今後は国の法改正に伴い、省エネ基準を強化する条例制定も必要ではないでしょうか、認識を問います。

2点目、公共施設における断熱対策について。既存施設の断熱改修を積極的に行うことに加え、新設する施設はゼロエネルギーを基本とし、全ての公共施設の建築物において断熱対策を講じるべきだと考えますが、市の見解を問います。

3点目、一般住宅におけるゼロエネルギー及び断熱の促進について。市民への啓発はもとより、その促進のために国のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)導入費用助成などへの上乗せ助成や、消費エネルギー削減に有効な窓の断熱改修に対しての費用助成などをしてはどうでしょうか、見解を問います。

○環境部長(石角義行)

環境部長でございます。

私からは、第2項目めと第3項目めの御質問にお答えいたします。

まず、御質問第2項目め、地球温暖化対策として効果的な建築物の断熱などエネルギー消費性能向上の取組について、順次お答えいたします。

1点目の建築物の断熱の推進についてでございますが、建築物のCO2削減対策については、省エネルギー性能の高い設備の導入や、太陽光発電などの再生可能エネルギー設備の導入など様々な手法がございますが、建築物そのものの断熱性能を高める手法も重要であると認識しております。それらの手法を組み合わせることにより、建築物のゼロエネルギー化を目指すことが、2050年カーボンニュートラルの実現に向けては大変有効でございます。国においても、ゼロエネルギーの建築物の普及を促進していくこととしており、2030年までに新築の建築物のゼロエネルギー化実現を目標としております。2020年に気候非常事態宣言を表明し、2050年までにCO2排出量と吸収量の均衡を取る実質ゼロを目指す本市といたしましても、こうした国の動きも踏まえ、住宅や建築物のゼロエネルギー化を図る方向性について、現在策定中の環境基本計画に位置づけるとともに、建築物の断熱を含む具体的な取組についても、来年度改定を予定している地球温暖化対策実行計画の策定において、環境審議会の御意見を踏まえ、検討してまいります。また、建築物のエネルギー消費性能の向上を図るため、大規模非住宅建築物のエネルギー消費性能基準への適合義務の創設等を目的としました法律として、平成29年4月に建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律が施行され、令和3年4月の法改正では、基準適合義務建築物が中規模非住宅建築物に拡大されました。現在、2025年度を目途に基準適合義務を住宅に拡大することも検討されており、これらの経緯も踏まえながら条例制定について調査研究してまいります。

2点目の公共施設における断熱対策についてでございますが、市役所のCO2削減の取組方針としまして、地球温暖化対策実行計画(事務事業編)において、施設の大規模改修や設備更新の際に、断熱性能の向上について検討することとしております。また、本年6月に公表された国の地域脱炭素ロードマップにおいて、新築の公共施設等については2030年までに率先してゼロエネルギー化を目指すことが示されております。今後、本市におきましても、新たに建設する施設や大規模改修を行う施設では、国の支援措置等を含めた費用対効果や適性を検討し、断熱性能の向上も含め、ゼロエネルギー化に向けた取組を進めてまいります。

3点目の一般住宅におけるゼロエネルギー及び断熱の促進についてでございますが、住宅のゼロエネルギーを促進していくためには、まずはゼロエネルギーの考え方や必要性について、市民の皆様にしっかりと御理解頂くことが必要と考えており、その具体的な方法や効果を含め、意識向上につながる啓発に取り組んでまいりたいと考えております。加えて、住宅のゼロエネルギー化を図るための支援方策につきましても、国のゼロエネルギー住宅購入に対する補助への上乗せや、窓の断熱改修に対する補助など、他の自治体における事例も参考としながら、本市における効果的な手法について検討してまいります。

○議員(丸谷聡子)

次に、建物断熱について、これも市長に伺います。これから本当に環境部局だけではできないんですよ。建物、公共施設、まちづくり全体のことになっていくんですね。こういう横断的な取組って、やっぱり担当部署がないとやれないんです。例えば、宝塚市では地域エネルギー課というのもありますし、吹田市では環境政策室の中に10名ほどのエネルギー担当の職員がいるというふうにお聞きしています。本市も、本当に気候非常事態宣言をして、こういう対策を真剣にやっていくんであれば、こういったしっかりとした専門部署を立ち上げる必要があると思うんですが、いかがでしょうか。

○副市長(和田 満)

副市長の和田でございます。

当然、明石市が進めています施策の中で環境問題、大事な最重要課題というふうに思っています。ただ、そういう施策を進めるのにどういった体制、人員がいいかというのは、今後、また次年度に向けて検討してまいりたいというふうに考えております。

○市長(泉 房穂)

今、特に環境の問題、大変重要であると認識をしており、丸谷議員、熱心にこの間も御提案頂き、感謝申し上げます。そういった中で、明石市はまさにSDGs未来安心都市を掲げ、経済と社会と環境、この3側面、しっかりと意識しながら、まちづくりをしていきますので、そういった観点から、環境についてのテーマが必ずしも十分に明石市、既にできているかと言われれば、それはまだまだできることはいっぱいあると思いますので、今日頂いた提案も含めまして、組織体制も強化を図る方向で対応していきたいと思います。

○議員(丸谷聡子)

しっかり強化していただきたいと思います。建物断熱をすればヒートショックで亡くなる方が、もう本当に激減しているという他市の事例もありますので、健康や福祉の面でも効果があると思いますので、ぜひそういった意味で、しっかりした体制をお願いしたいと思います。