工場緑地面積に係る条例制定について

令和3年第2回定例会12月議会(12月8日(水)) 質問1項目め

○議員(丸谷聡子)

かけはしSDGsの丸谷聡子です。発言通告に従い、4項目質問いたします。

昨年12月24日に、明石市工場緑地のあり方検討会第1回目が開催されて以来、本日まで5回の検討会が開催されています。私は5回全て傍聴させていただき、非常に活発な議論が積み重ねられていく過程や、その空気感を肌で感じてきました。そして、5回目では、経済・社会・環境の3側面から持続可能なまちづくりを進めるネット・ポジティブ・インパクトや、地域との連携など、SDGs未来都市・明石にふさわしい、本市オリジナルの提案に向けて一定の合意が見られ、いよいよ答申としてまとめられそうな段階に来ているのではないかと感じています。そこで、市として、どのような条例を制定していこうとしているのか、現在の進捗状況と今後の予定についてお聞かせください。

○政策局長(横田秀示)

政策局長でございます。

私からは、御質問の1項目め、工場緑地面積率に係る条例制定について、及び4項目めの大久保北部の里山を生かした有効活用について、順次お答えいたします。

最初に、御質問の1項目め、工場緑地面積率に係る条例制定についてお答えいたします。

まず、工場緑地のあり方検討会の進捗状況についてでございますが、工場緑地面積率の緩和につきましては、産業界から市内産業のさらなる活性化を図るため、緩和の要望を受けており、昨年12月市議会におきまして、明石商工会議所からの請願が賛成多数により採択されたところでございます。本市としましては、この採択を踏まえつつ、一方で、工場の緑地は市民生活に影響を及ぼすため、市民の理解を十分に得る必要があることから、学識経験者をはじめ経済団体、環境団体、そして市民・地域代表によって構成する明石市工場緑地のあり方検討会を設置いたしました。検討会の開催状況につきましては、昨年12月に検討会を設置以降、これまで5回の会議を開催しております。とりわけ、本年は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言が度々発出されるなど、全庁挙げて感染症対策業務に最優先で取り組むため、会議の開催を延期せざるを得ない時期もございましたが、工場緑地の検討の必要性を十分に認識しておりましたので、一部、オンライン会議を導入するなど、可能な限り会議の進捗を図るよう努めてきたところでございます。

次に、検討会の審議内容についてでございますが、特定工場を取り巻く現状として、老朽化による工場の建て替えや設備投資の必要性、労働環境の改善、雇用の維持確保など、特定工場が抱える課題への対応の必要性について共通認識を図っております。また、緑地の持つ多面的な機能を踏まえた工場緑地に関連する課題といたしまして、緑地の保全や緑化の推進、CO2の吸収機能、生物多様性の保全、公害等による生活環境への影響防止、防災・減災対策などに加え、地域コミュニティーの強化など、幅広い視点で議論を賜り、都市緑地としての緑の重要性や地域の課題解決に向けた取組など、地域と企業が一体となって、まちづくりを進める必要についても共通認識が図られたところでございます。こうしたこれまでの検討状況を踏まえまして、10月7日に開催した第4回検討会におきましては、特定工場の現状や課題に対応しますとともに、市民生活への影響を鑑み、工場と周辺環境との調和や緑地の持つ機能を踏まえ、環境への配慮が必要であることから、工場緑地面積率を条件付で緩和する方針が決定され、対象地域といたしましては、二見人工島だけではなく、市街地も含めた市内全域となったところです。さらに、緩和の条件といたしまして、開発等による緑地や生態系への影響を回避、復元した上で、さらに代償措置を行うことで、全体の影響をプラスにするネット・ポジティブ・インパクトという考え方を取り入れ、制度設計を進めていくことになりました。

次に、11月29日に開催した第5回検討会において審議されました明石市版ネット・ポジティブ・インパクトについては、SDGsの理念である環境・経済・社会の3側面に総合的に取り組むことで、相乗効果を生み出していくといった、まさにSDGs未来安心都市・明石として、三方よしの取組となっております。制度としましては、3つの大きな柱をポイントとしております。1つ目の柱は、経済面の取組として、工場敷地の利活用でございます。工場の建て替えや設備投資を行うことで、生産性の向上や労働環境の改善、雇用の維持確保、地域経済の活性化を図ることとしております。

次に、2つ目の柱は、環境面の取組として、良質な緑地の敷地外への確保であります。工場緑地については、都市緑地としての重要性や工場と周辺地域との調和を促進する観点から、緩和される緑地面積と同等以上の緑地を工場の敷地外に確保するものとしております。なお、緑地については、ガイドラインに基づき緑の量や適正な配置を求めるなど、緑の機能を高める取組を誘導することとしております。また、自社で緑地を確保できない場合には、市が整備する緑地等に対する負担金や緑化の寄附を求めることといたしております。

さらに、3つ目の柱は、社会面の取組として、地域貢献、地域課題解決のための地域との協定締結であります。特定工場に対し、良質な緑地の確保や地域貢献・地域課題解決に資する取組についての行動計画書の作成と報告を求めますとともに、工場と工場が立地する小学校区まちづくり協議会との間で協定を締結することといたしております。

検討会からは、この制度に対し、市民の声をしっかり反映したよい制度であるといった意見や、緑地の機能を高めるため質と量を確保するのはとてもよいとの意見、地域協定は参画・協働・情報の共有といった地域のまちづくりにおける重要な要素を盛り込んだ内容となっているといった意見、また、市の施策の一環として緑化を進める観点から、市も企業とともに緑化等を支援する制度を創設しないかといった意見、企業が既に取り組んでいる地域貢献の取組についても制度の中で生かしていきたいといった意見などを頂き、明石版ネット・ポジティブ・インパクトについては、検討会の全員の理解を得ることができております。

次に、検討会における今後の予定についてでございますが、次回の検討会を12月末までに開催し、検討会としての最終の意見の取りまとめを行う予定としております。ついては、今後、市といたしましては、検討会での検討結果を最大限に尊重した上で、頂いた報告内容に基づき、これらを制度化するため、速やかに市民参画手続であるパブリックコメントを実施し、令和4年3月市議会への条例提案に向けまして、取り組んでまいりたいと考えております。

○議員(丸谷聡子)

それでは、再質問させていただきます。

1項目めですけれども、市長にお聞きしたいと思います。工場緑地のあり方検討会、私も全て傍聴させていただいた感想なんですけど、それぞれの立場から委員の皆さん、意見を言い合って、次に、互いの意見に耳を傾けて、折り合いをつけていく。これぞまさに合意形成のプロセスをすごくお手本のように踏んでいるなと思って、感心して拝見させていただいていました。市長、特に4回目、5回目に御出席されていて、5回目ではスピード感を持って次回で結論を出してほしいというような御意見もされていましたし、間もなく出る結論について、先ほどの答弁でも最大限尊重する、またパブコメをやるというふうな答弁もありました。いま一度、市長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○市長(泉 房穂)

率直な印象ですが、私、第4回と第5回はフル参加させていただきまして、議員御指摘のとおり、大変充実した議論で最終的に結論も一致しましたので、それぞれお立場が違うにもかかわらず、一定の方向性を打ち出していただいたという点については、本当にいい議論だと思っています。あと、年内には最終回が行われますので、市長の立場の答弁としては、お願いした立場ですから、検討会の結論を最大限尊重するという立場だというお答えになろうかと思います。

○議員(丸谷聡子)

私も、この本当に三方よし、社会も経済も環境もよくなるという、明石にふさわしい条例になるなというふうに期待をしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。