県立明石公園の樹木伐採とリノベーション計画について

令和3年第2回定例会12月議会(12月8日(水)) 質問3項目め

○議員(丸谷聡子)

3項目めは、県立明石公園の樹木伐採とリノベーション計画についてです。

県立明石公園では、景観や石垣保護の名目で、2018年から毎年多くの樹木が伐採されています。兵庫県に確認したところ、2018年度292本、2019年度313本、2020年度683本、2021年度は630本伐採されることになっており、このうち400本の伐採が既に終わっています。4年間の合計は1,918本、うち石垣保護のための伐採が1,210本、それ以外が708本です。石垣保護とは直接関係ない樹木も多く伐採されており、あちこちに残る切り株の風景に、ここまで伐採しないといけないのかと唖然とします。小学校の環境学習で、1年を通して観察していたモッコクの木も伐採されてしまいました。公園側に協力をお願いし、快諾頂いて、名札もつけていたのにです。昨年度も別の小学校で同じようなことがありました。いずれも石垣には影響のない場所にあった樹木でした。また、絶滅危惧種の生育を損なう伐採もありました。明石公園の野草を研究されている方が事前にお願いしていたのにもかかわらずの伐採でした。市民の皆さんからも、石垣を守るための伐採とのことですが、石垣から離れた細い木まで切られていて、少しやり過ぎではないでしょうか。木々が切られて殺風景になっているのを見ると寂しくてたまりません。年月を経て育った木と、木とともに生きる様々な生き物がいなくなってしまうことに不安さえ覚えます。また、明石公園の豊かな緑が気に入っていたのに、次々と木が伐採されて驚いています。石垣の保全は理解しますが、度を超えています。明石公園はとても自然豊かな場所で、子供たちが自然に触れられる貴重な場所でもあります。明石城の景観を守るためにも、剪定だけでよい樹木は伐採せずに残してほしいなど、これは私のところに届いているほんの一部の声ですが、このような声からも、明石公園の価値の1つに、400年の長い歳月の間に石垣や公園の歴史によって育ち、守られてきた身近な自然や生態系があることが分かります。伐採した樹木は再利用できないかとの御意見も多く聞いていますが、再利用のための無料配布をしたのは2018年度のみで、2019年度からは伐採した樹木は全て産業廃棄物として処分しているそうです。このたび、明石公園の身近な自然環境を次世代につないでいくことを願って活動している複数の市民が、兵庫県知事宛てに、必要以上の樹木伐採で明石公園の貴重な生態系が脅かされているとして、伐採の中断と計画の見直し、明石公園全体の整備計画についてもSDGsを基軸とした新しい発想で、今ある自然を生かしたパークマネジメントを県民とともに考え、実行してほしいなどを提案する要望書を出されました。

明石公園は、目の前に明石駅があり、車椅子やベビーカーでも気軽に行ける公園でありながら、豊かな生態系が残っている、こんな都市公園は日本全国どこを探してもありません。明石公園の所管は県ですが、市内の小学校、幼稚園、保育園の子供たちも環境学習や自然遊びのフィールドとして多く利用するなど、本市の子供たちをはじめとする市民にとっても大事な公園です。そこで3点お聞きします。

1点目、本市は生物多様性戦略において、明石公園をまとまりのある自然が残る地域拠点として選定し、生物多様性の保全・回復を推進していくとしていますが、生物多様性の観点から、今回の伐採にどのように関わっているのか、認識を問います。

2点目、県の情報公開請求で得た資料によりますと、今年度、東堀・南堀側の土塁上や箱庭の樹木伐採も計画されています。また、土塁の樹木伐採をするために重機を入れる方策として、藤見池埋立てなども検討されています。藤見池は、明石市制がスタートとした約100年前に造られたとの記録があり、明石市民にとって大切な文化遺産で、これらが損なわれる可能性もあります。本市は、文化財保護の観点から、今回の伐採にどのように関わっているのか認識を問います。

3点目、明石市として、今後、樹木の伐採についてどのように関わっていくのか。また、今年度、県が策定した明石公園のリノベーション計画には、環境学習での利用や、自然環境・生物多様性の保護・保全などの視点が盛り込まれていません。この質問を考えていたとき、阪神・淡路大震災当時、兵庫県知事だった貝原俊民氏の言葉が脳裏をよぎりました。県民と苦難を共にした島田沖縄県知事から、知事の責任は、県民の命に対してはもちろん、県土の一木一草にまで及んでいることを教えられたという言葉です。知事は県土の1本の樹木、1本の草まで責任を持たねばならない。このような思いを新しい知事にもぜひ受け継いでいただきたいと思いますし、本市も市内の一木一草に責任を持つ姿勢を示すためにも、主体的に市としての意見を伝え、県と連携していくことが不可欠だと考えますが、見解を問います。

○市民生活局長・豊かな海づくり部長(前田 豊)

市民生活局長でございます。

御質問3項目めの県立明石公園の樹木伐採とリノベーション計画について、1点目から3点目までまとめてお答えいたします。

本市では平成23年に、明石の生物多様性を保全・回復していくために取り組むべき方針を示した生物多様性あかし戦略を策定し、自然と人が共生するまち“あかし”を未来の子どもたちにを基本理念とし、50年後の目指す姿として、生物多様性に配慮した暮らし、水・緑のネットワークの形成等の実現に向け、施策の推進に努めているところでございます。明石公園につきましては、生物多様性あかし戦略において、まとまりのある自然として位置づけており、豊かな生態系が形成されているとともに、絶滅危惧種が多く生息・生育している場所であると認識しております。一方、このたびの県立明石公園での樹木伐採等の箇所につきましては、明石城跡として文化財保護法上の史跡名勝天然記念物に指定されている区域内にあり、樹木伐採や池の埋立て等、その現状を変更し、またはその保全に影響を及ぼす行為をしようとするときは、文化庁長官の許可を得ることが義務づけられております。

市の役割といたしましては、明石城跡において現状変更を行おうとする者が作成した申請書類を文化財担当で受付け、書類の不備がないかの確認を行い、県の文化財課を経由して文化庁へ進達することとなっております。また、市及び県が文化庁へ進達する際には、申請に係る行為について文化財保護の観点から意見を付すこととなっており、最終的には、これらの意見を参考に文化庁が許可の判断を行うこととなっております。ここで市が付すことのできる意見につきましては、あくまでも文化財保護の観点からのもので、文化庁においても同様の観点から許可をするものでございます。このたびの樹木伐採に係る現状変更等の許可申請については、既に明石公園の整備計画でも予定されており、文化財保護の対応もされていたことから、特に意見を付すことなく進達をしております。

次に、県立都市公園リノベーション計画につきましては、15ある県立都市公園について、開園後相当期間が経過し、施設の老朽化や社会情勢の変化が進む中、時代の変化に的確に対応し、それぞれの公園が持つポテンシャルを発揮することができるよう、有識者らから成る検討委員会での協議を経て、リノベーションに関する方針や方策を定めたものでございます。中でも明石公園など3公園については、重点的に取り組むとされており、それぞれ分科会を設置して検討が進められてきました。本市からも、地元市を代表し、都市局長が分科会委員として参画し、今春に明石公園リノベーション計画として取りまとめたものでございます。同計画では、樹林地に関して石垣周辺と石垣より北側の2つのエリアに分けて書かれており、前者については、景観や石垣への影響を考慮し、それらを保全するための定期的な除伐や剪定が、後者については、手入れ不足や単一樹木が繁茂し、生物多様性が低い状況を踏まえ、生物の多様性を高めるとともに利用しやすい森とするため、落葉樹林への転換を目指した間伐等が今後の対応方針として書かれております。市といたしましては、明石公園は明石市民にとって貴重な都会のオアシス、憩いの場であり、また、豊かな自然を活用した体験教育が可能な貴重な場所であると認識しているところでございます。今後、同計画に沿って、兵庫県により明石公園のリノベーションが進められることになりますが、市といたしましても、環境保全、文化財保護、公園管理の観点から、関係部署間の情報共有や連携を密にしながら、機会を捉えて意見を述べるなど、できる限り関わってまいりたいと考えております。御理解賜りますようよろしくお願いいたします。

○議員(丸谷聡子)

3項目めですが、明石公園の樹木伐採についてです。先ほどの御答弁の中で生物多様性の観点から今回の伐採にどのように関わっているのかということについての御答弁がなかったように思いますが、御答弁お願いいたします。

○環境部長(石角義行)

環境部長でございます。

明石公園の樹木の伐採に関しましては、伐採前の時点で兵庫県や兵庫県園芸公園協会からの情報等を得ることができなかったため、環境部門としましては関わっておりません。今後は、答弁にありましたように、関係部署間の情報共有や連携を密にしながら、機会を捉えて意見を述べるなど、できる限り関わってまいりたいと考えております。よろしくお願いします。

○議員(丸谷聡子)

環境部局のほうに、こうやって多様性戦略できちっと取り決めているにもかかわらず、情報が入っていなかった。一方で、私は今回の質問で初めて知って驚いたんですけど、この県のリノベーション計画に都市局長が分科員として出席されていたということですので、その際に、明石公園は本市の生物多様性戦略において重要な拠点になっているということを言及していただけたのかどうか、お聞きしたいと思います。

○都市局長(東 俊夫)

都市局長でございます。

丸谷議員の再度の質問にお答え申し上げます。先ほどの答弁にありましたように、私、明石公園の分科会の委員として出席をしておりました。ただ、コロナの影響もありまして、検討委員会そのものがなかなか開けなかったということもありますが、主に分科会の中では、当時話題になっておりましたアリーナの整備の可能性でありますとか、それから明石公園の一番の特徴であります明石城といった史跡、それから既存のスポーツ施設をどうやって生かしていくのかというところに重点を置いた議論がされておりましたので、大変申し訳ありませんが、生物多様性についての議論についてはありませんでしたので、私が言及する機会もなかったということでございます。

以上でございます。

○議員(丸谷聡子)

この明石公園というのは、絶滅危惧種だけで、確認されているだけで92種類というふうに聞いております。今回、分科会があって、市も関われたんですけれども、意見が伝えられなかったということはすごく残念です。こういう庁内での連携というのはすごく大事だと思いますが、一方、県に対しては、機会を捉えて意見を述べるとか、できる限り関わるとか、かなり消極的な答弁だったんですね。ぜひ、県に対しても積極的に、市としての意見を言える、前向きな話合いができる、連携ができる環境をつくっていただきたいんですが、市長、その辺り、御意見をお聞かせいただきたいんですが、よろしくお願いいたします。

○市長(泉 房穂)

明石公園の樹木伐採などに関する再度の御質問でございます。率直に私もむちゃくちゃ切っているなという印象を持っています。経緯、若干、私の記憶によりますと、井戸知事を明石の再開発ビルにお迎えしたときに、ちょうど明石市制100周年、築城400年の記念の前でありました。そのときに、再開発ビルの窓から明石城のほうを御案内申し上げたときに、井戸知事が明確に、横におる者に全部切れと。すごい指示をなさいまして、私、びっくりしたのをよく覚えております。すごいことを言うなと思って、お城の壁が全部見えるように、全部木を切れと。極めてクリアに強い口調で明確な指示を出されたので、よく覚えておりまして、その後、樹木の伐採が順々に始まっていったと私は認識をしており、さすが知事の力はすごいなという思いでございます。

もっとも、やはり明石公園というのは、明石市民にとって大変重要な憩いの場所でもありまして、そこに鳥も住んでおりますし、虫も住んでおりますので、その中での生態系とのバランスの中でどうするかは、大変重要なテーマだと思っております。何分、県立の公園なので、明石市としては一定限界はございますけど、やっぱり明石市民にとっても重要な公園ですので、機会を捉まえまして、その辺り、御相談したいと思います。特に年明けに県知事に協議を申し入れますし、その際に恐らく、県立図書館や市立図書館の跡地の問題も議論になりますので、広く明石公園についてもいろいろ話す機会もあろうかと思いますので、状況次第でありますけども、大事な公園ですので、連携して頑張っていきたいと思います。