持続可能な明石の農業の推進について

令和4年第1回定例会3月議会(3月3日(木)) 質問1項目め

○議員(丸谷聡子)

かけはしSDGsの丸谷聡子です。発言通告に従い、4項目質問いたします。

1項目め、持続可能な明石の農業の推進について5点質問いたします。

1点目、コロナ禍による外食産業の低迷により、主食用米の需要が減少し、2021年度の米の価格が下落したため、加古川市では緊急経済対策として、2022年度の主食用米の作付面積から10アールを引いた面積を対象に、10アール当たり5,000円を助成して農家を支援するという予算が提案されています。持続可能な農業の推進のためにも、加古川市と同様の支援が必要だと考えますが、認識を問います。

2点目、都市農地の計画的な保全を図るための生産緑地は、2017年の法改正により、最低面積が市の条例により300平方メートルまで引き下げることができるようになりました。また、2018年施行の都市農地の貸借の円滑化に関する法律によって、生産緑地の貸付けができるようになり、新規就農者も農地が借りやすくなりました。そこで、農業者の担い手不足という課題解決のためにも、生産緑地制度を早急に導入すべきと考えますが、見解を問います。

3点目、地球上で最悪の侵略的植物と呼ばれる特定外来生物の水草、ナガエツルノゲイトウは、小さな断片でも節や根が残っていれば、新たな芽や根が出て成長し、爆発的に繁茂することから、日本各地で農業被害が深刻化しています。本市も農地の水源となっている神戸市にある寛政池で3年前から確認されており、水利組合や専門家の皆さんの懸命な駆除作業で何とか水際で防いでいる状態です。それでも昨年は瀬戸川で大きな塊が確認されるなど、農地への侵入が懸念されています。深刻な被害を招かないためには、初期段階での駆除や防除が重要です。そこで、ナガエツルノゲイトウ駆除に特化した庁内横断的に使える独自財源の確保や河川で発見されたときの対応、近隣自治体との連携、専門家による指導など、より効果的な取組が必要と考えますが、見解を問います。

4点目、JR西日本から新幹線車両基地として提案のあったエリアは、近郊農業が行われている優良な農業振興地域です。SDGs未来都市あかしとして、新幹線車両基地は受け入れられないことをはっきり表明し、明石の農業は市が守る意志を示し、早急に棚上げになっている農業用水のパイプライン設置などを行うべきではないでしょうか、見解を問います。

5点目は、明石の都市農業のこれからについて。令和4年度施政方針で、農業経営、新規就農者への支援を行うとありますが、その予算はたった900万円余りです。しかも、市の単独予算は50万円。これは国の補助制度、経営者継承の支援の市の負担分で、それもたった1人分の予算しか計上されていません。これで課題解決につながるのでしょうか。とても本気で農業支援に取り組もうとしているとは思えません。この機会にSDGsを推進する本市としても、東京都練馬区のような市民生活と融合した農業政策や有機農業の推進など、農の持つ多面的な恵みに力点を置き、都市の農業を守り育てる先進的な取組が必要ではないでしょうか、見解を問います。

○緊急生活支援部長(上田貴弘)

緊急生活支援部長でございます。

私からは、議員御質問の1項目め、持続可能な明石の農業の推進について順次お答えいたします。

1点目の米価下落に対する支援ですが、加古川市の米支援事業につきましては、緊急経済対策として実施するものと伺っております。明石市では、これまでにも米については学校給食に地元産を利用するなど、安定的な供給先の確保に努めており、また、米よりも収益性の高い野菜生産も推進し、特にキャベツ、ブロッコリーについては、地域に合った品種選定のための比較試験や種子代の一部助成を行うなど、生産振興の形で支援しているところでございます。米に特化した支援につきましては、今後の取組の参考とさせていただきたいと考えております。

次に、2点目の生産緑地制度の導入についてでございますが、生産緑地制度は都市計画法に規定されている地域地区の1つで、農地の緑地機能に着目し、良好な都市環境の形成や持続的な農業経営を行う上で一定の有効な制度であると認識しております。しかしながら、生産緑地に指定されると、税制面で優遇される一方で、30年間の営農義務があるなど、土地利用が制限されることから、安定した制度運用が重要であると考えております。本市は、これまで、関係各機関との協議やアンケートの実施、国や学識者からの専門的なアドバイスを受けるなど検討を進めてまいりましたが、指定要件等で合意に至らず、制度導入には至っていない状況でございます。本市としましては、現在、9年連続して人口が増加している中、市街化区域内の開発需要も高く、限られた都市空間の中で効率的な土地利用が求められており、農地の保全と住環境の整備といった両者のバランスをとりながら施策を進める必要があると考えております。こうした状況も踏まえ、今後も引き続き農業関係者の声にも耳を傾けながら検討してまいりたいと考えております。

続きまして、3点目の特定外来種の水草、ナガエツルノゲイトウにつきましては、令和元年に明石市に受益がある神戸市西区の寛政池において初めて確認され、これまで専門家の指導の下、県、近隣他都市と情報交換しながら、主にため池協議会活動として駆除活動、流入流出対策を実施してまいりました。現在のところ、農業被害には至っておりませんが、一部河川への流出も確認しており、今後はさらに水路を介して農地への侵入、農業被害が発生するような最悪の場合を想定した対策が必要であると認識しております。これまで以上に農業者に対する情報提供、啓発を行うとともに、県、近隣自治体と十分連携し、専門家の指導を受けながら、より効果的な対策の実施を進めたいと考えております。そのために現在の補助金の活用に加えて、市においても必要に応じた財源確保を検討してまいりたいと考えております。

次に、4点目の新幹線車両基地として提案のあったエリアの農業振興についてでございますが、これまで議会において説明させていただきましたとおり、2019年12月に、JR西日本より本市に新幹線車両基地及び新駅のイメージに関する資料1枚が提出され、さらにこれらに関する具体的な提案を市へ行う旨の意向が示されていたところでございます。その後、新型コロナウイルスの感染拡大により、JR西日本の経営環境に多大な影響が出ていることから、車両基地の検討は一旦中断しており、市への具体的な提案ができる状況にはなく、先行きも見通せない状況であると、JR西日本より聞いているところでございます。市としましては、車両基地については全くの白紙の状態ではございますが、今後、改めてJR西日本からの具体的な提案などの動きがありましたら、議会へ御報告、御相談させていただきたいと考えております。また、こうした状況におきまして、地域の農業者の皆様より、今後の見通しに係る御心配のお声もお聞きしているところでございますので、今後、JR西日本からの具体的な提案についての情報提供や、地域の農業者の皆様から農業用水のパイプライン設置も含めた御意見をお聞きするなど、丁寧な対応に努めてまいりたいと考えております。

最後に、5点目の明石の都市農業のこれからについてですが、本市農業の大きな課題としては、全国同様、担い手の不足と高齢化があります。本市の立地から、サラリーマンなど他産業への就業機会に恵まれており、小規模な兼業農家が多いこと、農作物の価格低迷による収益不足と資材費の高騰等により経営環境が良好とは言えないことなどから、結果として、担い手の減少、高齢化を招いているものでございます。対策として、まず、地域の担い手となる認定農業者や新規就農者の育成・支援を進めております。また、地域の実情を勘案し、集落単位で農業を営む集落営農組織の設立支援も進めております。さらに、利用権設定による農地の貸し借りを促し、耕作放棄の防止を図るとともに、農地の集約を進めることで効率的な営農を推奨、指導しております。市民生活と融合した農業政策といたしましては、地産地消を推進しており、小学生の子供やその保護者、市民を対象に、米、スイートコーンなどの農作物の植付け・収穫体験などを行っております。また、自然や農と触れ合いたいという市民のニーズに応えるため、地元営農組合や農業協同組合などの民間の活力を有効に活用し、市民農園を開設しようとする取組を中心に後方支援を行っております。具体的には、県やひょうご農林機構の農園開設支援策などを活用し、農業委員会との調整や市民への広報活動などを行っておりますが、さらなる取組を進めてまいります。これらに加えて、農業への人材の一層の呼び込みと定着を図るため、新規就農者を支援する取組を進めたい考えでございます。今後も引き続き、持続可能な農業の推進に向けて努めてまいりたいと考えておりますので、御理解のほどよろしくお願いいたします。

○議員(丸谷聡子)

それでは、再質問させていただきます。あまり時間がありませんので、1項目めの持続可能な農業について、市長のお考えをお聞かせ頂きたいと思います。

ナガエツルノゲイトウの対策については、前向きな御答弁を頂いたんですけれども、主食用米への緊急経済支援であるとか、生産緑地制度の導入、そして、この新幹線車両基地の問題ですね、特に前向きな御答弁はありませんでした。SDGsを市の柱にする明石市が誇る農業というのをどう考えていくかということがすごく大事だと思います。新幹線車両基地を持ってくれば、それこそ市長の言われるSDGs違反にもなりかねませんので、ぜひ明石市には新幹線車両基地は要らないということをこの場ではっきり表明していただけないでしょうか。

○市長(泉 房穂)

丸谷議員の再度の御質問になりますが、先ほど担当のほうでかなり丁寧な答弁を申し上げた認識であります。車両基地については全くの白紙です。JRのほうから提案という話がありましたが、撤回されておられますので動きはありません。動きがあり次第、また議員の皆様に状況の変化をお伝えしたいというスタンスですので、私のほうから別に車両基地が来てほしいと思ったことはありませんので、すみません、白紙です。

それから農業についても、私も関心ないわけじゃなく、私は漁師の子ですけど、やっぱり明石市は農業も漁業も盛んなまちですから、しっかり応援していきたいと強く思っております。ただ、答弁ありましたが、明石の場合はどちらかというと近郊農業的な部分がありまして、それこそ清水のイチゴとかスイートコーンとか、いろいろ知恵を絞って付加価値を高めるような農業にも力を入れておりますので、その辺り、しっかりと今後も検討して、御提案頂ければ、しっかりと対応を考えていきたいと思っております。御理解よろしくお願い申し上げます。

○議員(丸谷聡子)

新幹線車両基地に関しては、本当に受け身というか、向こうから何か言ってきたら対応しますというような、そういう姿勢で、いい案であれば市も受けるというような、そういうニュアンスにも聞こえますので、しっかりSDGsを柱にした明石市として、どう選択していくかというのを今後、しっかり考えていただきたいと思います。