自然環境を損なわない適正な地球温暖化対策の取組について

令和4年第1回定例会6月議会(6月20日(月)) 質問1項目め

○議員(丸谷聡子)

かけはしSDGsの丸谷聡子です。発言通告に従い3項目質問いたします。

1項目め、自然環境を損なわない適正な地球温暖化対策の取組について。

国は、昨年5月、改正地球温暖化対策推進法で、再エネの主力電源化を掲げました。しかし、今、日本各地で目に余る大規模発電施設開発のために、貴重な自然生態系が壊され、土砂災害、水害、景観被害など様々な問題が発生し、国民の命と暮らしが脅かされる事態になっています。

こうした問題に対して、国民の声を国や関係機関へ届け、自然環境の保全や、地域住民の安全・安心な生活と両立する再生可能エネルギーの推進を実現する制度をつくることを目的に、昨年7月、全国で活動している40団体、約3万人が連携して、全国再エネ問題連絡会を立ち上げました。私も所属団体の1つとして、先日、6月4日に東京で開催された第1回全国大会に出席し、各地域の当事者の方々から深刻な状況をたくさんお伺いしました。そもそも、森林やため池などの水源は二酸化炭素を吸収し、酸素を供給する源であるにもかかわらず、それを開発する行為は、2050年までにカーボンニュートラルを実現させると宣言した政策や地球温暖化対策の趣旨に反しています。一番の問題は、現行のFIT法、森林法、環境アセス法等、関連法令の不備で、そこを改善しない限り、再生可能エネルギー開発を止めることはできません。

そこで、さきに申し上げた、全国再エネ問題連絡会が声を上げたことを受けて、自民党の議員連盟「真の地産地消・地域共生型エネルギーシステムを構築する議員連盟」は、6月8日の総会で、全国各地で乱開発が問題化している現状を踏まえ、関係法令の改正も含め、早期に規制策を検討していくことを決めたとお聞きしています。

また、本年4月から、経産省、環境省、農水省、国交省の4省による有識者会議「再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会」も始まっています。本市においては、昨年度、再生可能エネルギー導入可能性調査を行い、その結果をもって、今年度は地球温暖化対策実行計画(区域施策編)改定に関する審議を行うため、地球温暖化対策推進部会を設置する予定と、先日開催された環境審議会で説明がありました。市域が狭く、水の流れでつながる生態系を有する本市においては、ため池や里山、緑地など、水の源の環境が壊れると、海の生態系にも大きく影響が及びます。そのため、地球温暖化対策実行計画の大前提として、里山やため池などの自然環境を損なわないことや、太陽光パネルの設置は人工物、つまり、一般住宅や事業所の屋根に設置することを明記しなければなりません。そこで、以下の4点について質問いたします。

1点目、昨年度実施した明石市再生可能エネルギー導入可能性調査結果について、見解を問います。

2点目、本年度改定予定の地球温暖化対策実行計画(区域施策編)には、自然環境を損なう太陽光パネルを設置しないことを明確に定めるとともに、アセスメント制度の導入や人工物への設置の促進など、実効性のある取組を進めるべきと考えますが、見解を問います。

3点目、一般住宅や事業所の屋根への太陽光発電設備導入を促進するため、PPA(電力販売契約)やソーラーマッピング(屋根台帳)を導入してはどうでしょうか。また、阪神7市1町と神戸市が実施している太陽光発電・蓄電池設備の共同購入事業に取り組んではどうでしょうか。見解を問います。

4点目、既存の公共施設には、太陽光発電をいち早く設置するべきと考えます。特に、学校や病院は、災害時の非常電源としても利用できることから、新設・改修施設はZEB(ゼロ・エネルギー・ビルディング)にするべきであると考えますが、市の見解を問います。

○環境部長(合田和央)

環境部長でございます。

御質問、第1項目めの自然環境を損なわない適正な地球温暖化対策の取組について、順次お答えいたします。

1点目の明石市再生可能エネルギー導入可能性調査についてでございますが、昨年度、国の補助事業を活用し、明石市内でどのくらいの再生可能エネルギーを導入できるポテンシャルがあるのかについて、太陽光やバイオマス、小水力など再生可能エネルギーの種類別に詳細な調査を行いました。調査の結果、電気として利用できる再生可能エネルギーのうち、約94%が太陽光発電で、次いで約6%がバイオマス発電であると推計されました。また、太陽光発電の設置場所別では、一般住宅及び大規模事業所が全体の約6割と最も大きく、次いでオフィスや店舗などの事業所・公共施設という結果が得られました。以上の調査結果を踏まえると、2050年二酸化炭素排出実質ゼロの実現に向けた短期・中期的な方向性としましては、太陽光発電を主軸とし、一般住宅や事業所を中心に再生可能エネルギーの導入を促進していくことが、最も効果的であると考えられます。

次に、2点目の自然環境を損なわない適正な地球温暖化対策実行計画(区域施策編)の改定と取組についてでございますが、今後の地球温暖化対策においては、再生可能エネルギーの最大限導入が必要ですが、一方で、導入の拡大に伴い、森林伐採や土地開発などに伴う災害や環境への影響が懸念されています。現在、一定規模以上の太陽光発電設備などの設置に当たっては、環境アセスメント手続や関係法令の規制がございますが、国においても、再生可能エネルギーの適正な導入について、さらなる対応を検討するため、本年4月、環境省・国土交通省・経済産業省・農林水産省合同の検討会による議論が始まっています。本市においても、今後、再生可能エネルギーの導入を推進していく上で、あかしSDGs前期戦略計画の1つの柱である、豊かな自然と共生し、自然と調和のとれたまちづくりを進めることが重要と認識しております。地球温暖化対策実行計画(区域施策編)の改定においては、国の検討会における議論の動向や、本市の環境審議会における意見等を踏まえ、自然と共生する再生可能エネルギーの導入の在り方について、検討してまいりたいと考えております。

次に、3点目の一般住宅や事業所の屋根への太陽光発電設備導入の促進についてでございますが、一般住宅への太陽光発電設備の導入については、市内において年間平均して400から500件のペースで導入が進んでいますが、普及のさらなる加速化を図るため、今年度から、主に新築住宅を対象とした太陽光発電設備も含めたゼロエネルギー住宅、いわゆるZEHへの補助や、既存住宅を対象とした太陽光発電設備の補助を開始したところでございます。

また、事業所への導入促進につきましては、自家消費用の太陽光発電設備の設置補助制度を今年度、創設する予定であり、その制度設計にはPPAモデルと言われる電力会社などの第三者が事業所に無償で太陽光発電設備を設置し、その電力を事業所が購入する手法も補助対象となるよう検討しております。ソーラーマッピング(屋根台帳)につきましては、自分の家や建物が太陽光発電の設置に適しているかどうかなどについて、地図上で簡単に確認できるため、太陽光発電の導入検討に役立つツールであるとは認識しております。東京都や名古屋市などで導入されておりますが、システムの導入や維持管理には多額の経費も必要となります。近年では、メーカーなど民間が提供する無料の太陽光発電診断ツールも充実していることから、太陽光発電の設置促進に当たり、そのような民間のツールの利用や、県の再生可能エネルギー相談支援センターなど、公的な専門相談窓口の活用などについても、市民や事業者に対して周知してまいりたいと考えております。

共同事業購入につきましては、太陽光発電などの設備の購入を希望する市民を自治体が取りまとめて一括購入することにより、スケールメリットを生み出し、市場価格より安い値段で購入できると言われております。新たな導入支援の仕組みとして、神戸市と阪神7市1町が連携して取組を始められたところであり、その取組状況や実績・効果について情報収集を行い、本市の設置補助事業の効果とも比較しながら、市民にとってよりよい導入支援ができるよう、さらなる検討をしてまいります。

4点目の市内の公共施設への再エネ、ZEB(ゼロ・エネルギー・ビルディング)の導入についてでございますが、住宅や事業所に再生可能エネルギーの導入を進めていく上で、まずは行政自ら公共施設に率先して再生可能エネルギーの導入を進めていくことは重要であると認識しております。国においては、2030年までに設置可能な公共施設の50%に太陽光発電の設置を目指す方針を掲げていることから、本市においても、今年度、国の補助事業を活用し、一定規模以上の公共施設を対象に、太陽光発電の設備が設置可能な施設の調査を行ってまいります。また、新築や改修の公共施設のZEB化については、施設の設計上の制約やコスト面などの課題も踏まえ、検討していく必要があると考えておりますので、よろしく御理解賜りますようお願いいたします。

○議員(丸谷聡子)

それでは、再質問させていただきます。

1項目めの2点目ですけれども、今後、地球温暖化対策実行計画、部会を設置して改定していくということですけれども、さきに同じこの温暖化の質問をされた議員の答弁の中で、脱炭素先行地域の応募についての答弁の中に何度も、設置する部会の中にエネルギー業者に入ってもらって検討を進めるという答弁がありました。それを聞いた市民の方から御心配の声が届いております。エネルギー事業者といっても様々あると思います。まさか先ほど私が申し上げたような、全国で乱開発と言われる自然環境を損なうような、そういう発電業者であるとか、問題を起こしている事業者を入れることがあってはならないと思いますし、それにより自然環境を壊すような再エネ導入が促進されることがあってはならないと思いますけれども、大丈夫でしょうか。

○環境部長(合田和央)

環境部長でございます。

このたび、環境審議会のほうに設置いたします地球温暖化対策の推進部会では、主にエネルギーや温暖化の政策全般の方向性であるとか、考え方について、エネルギー事業者さんから御意見を頂き、審議をお願いしたいと考えております。そのため、エネルギー政策を幅広い視点で捉えられるノウハウとか、経験を持つ事業者さんに参画をお願いしたいと考えておりますので、よろしく御理解賜りますようお願い申し上げます。

○議員(丸谷聡子)

ぜひ、市民、大変関心の高い問題ですから、特定のエネルギー業者の意見に引きずられるようなことがないように、きちっとやっていただきたいと思います。そして、先ほど申し上げたように、全国で再エネという乱開発が起こっています。明石では、里山、ため池、自然環境を壊すような再エネは導入しないという方向であるということを再確認させてください。

○環境部長(合田和央)

環境部長でございます。

再生可能エネルギーの導入に当たりましては、本年4月に策定いたしました第3次明石市環境基本計画におきまして、地域や自然と共生した再生可能エネルギーの導入推進を図るとしておりますので、自然環境や生態系への配慮が必要と考えております。よろしく御理解賜りますようお願い申し上げます。

○議員(丸谷聡子)

ぜひお願いしたいと思います。そういう意味では、3点目、4点目に質問させていただいた、人工物に設置するという考え方は非常に大事だと思います。調査結果においても、一般住宅とか、事業所がということでしたので、ソーラーマッピングはなかなか費用がかかるということでしたが、都道府県単位ぐらいで広域でやったらコストが下がると思いますので、ぜひその辺、県にも働きかけていただきたいですし、共同購入についても、7市1町の中に入れていただけるように働きかけていただけたらと思います。