市民参画と協働で拓く新しい公共の取組について

令和4年第1回定例会6月議会(6月20日(月)) 質問2項目め

○議員(丸谷聡子)

2項目めは、市民参画と協働で拓く新しい公共の取組について。

私は、昨年12月議会において、明石市市民参画推進会議が5年間開催されていない、速やかに委員を委嘱し、市民の声を広く聞きながら、ジェンダー平等や多様性、デジタル化など、社会情勢に合わせた条例の見直しが必要であると申し上げました。今年度、新しい委員が委嘱され、市民参画条例の見直しをすることになると思いますが、私は、市民参画はパブコメや市民説明会だけでは不十分であると思うことから、この間、調査研究で得た知見を基に、一歩進んだ市民参画と協働で拓く新しい公共の取組について、3点質問をいたします。

1点目は、無作為抽出の手法を用いた市民参画の取組についてです。守山市や福知山市などは、無作為抽出の手法を用いた市民参画の取組を実施しています。現在、本市ではジェンダーについても検討がなされていますが、無作為抽出であれば、男女比のバランスもとれ、幅広い年齢層の参加も可能になり、多様な市民が参画する機会を創出できる手法として有効であることが実証されています。本市も新庁舎の建て替えなど、市の基本的な政策及び施策の企画立案段階において、統計的手法に基づいた無作為抽出で選んだ多様な市民の意見やアイデアを反映してはどうでしょうか、見解を問います。

2点目は、市民提案型協働事業制度の導入についてです。先日、豊中市の市民提案型協働事業制度について視察させていただきました。市と市民公益団体等が一緒に取り組むことで、ダイレクトに地域課題を解決するこの制度を取り入れたことにより、市民力も高まり、市職員の意識改革にもつながり、市民も行政も醸成されるという成果が上がっているそうです。市民に一番身近な基礎自治体は、トップダウンとボトムアップのバランスが大事です。ぜひ、本市も象徴的なボトムアップの事業として、市民提案型協働事業制度を導入してはどうでしょうか、見解を問います。

3点目は、分野型市民活動の支援の在り方についてです。分野型市民活動の支援や協働において最も重要なことは、情報の共有と発信のサポート、人件費などの財政支援です。情報の共有については、行政と対等に協働するための情報を届けること、情報発信においては、市民活動団体が弱いところを市が担うなどの支援が必要です。また、財政支援については、市民活動団体のステップアップや、SDGs推進のまちづくりを進めていくための助成金事業において、人件費などの対象外経費になっているものも多くあります。一方、豊中市では、事業に係る団体スタッフの人件費も助成の対象としています。持続可能な活動のためには、豊中市のように人件費も助成対象とするなど、市内で活動されている分野型市民活動団体の声を丁寧に聞いて、ニーズに合った改善や見直しが必要だと考えますが、見解を問います。

○政策局長(高橋啓介)

政策局長でございます。

御質問の2項目め、市民参画と協働で拓く新しい公共の取組についての1点目、無作為抽出の手法を用いた市民参画の取組についてお答えいたします。

本市では、平成23年4月に市民参画条例を施行し、全ての市民に参画の機会が保障され、市民との情報共有・信頼関係の下、市政に多様な市民の意見を反映するべく、市民参画の推進に取り組んでおります。市民参画条例第7条には、市民参画手法として、意見公募、審議会等、意見交換会、ワークショップ、公聴会、政策公募といった6つの手続を列挙するほか、その他の市民参画手法として、アンケート、ヒアリング、モニター、フォーラム、市民会議などの多種多様な手法や、新たな市民参画手法などを実施することができることとしております。中でも、審議会等を開催するに当たっては、多様な意見を反映させるため、女性比率を高めることはもとより、高校生などの若者や高齢者、障害者、外国籍の方など、より幅広い方に参加頂いております。また、意見聴取等においては、パブリックコメントに加え、地域説明会の開催や意見箱の設置、高齢者大学や女性団体、学生等を対象とした懇談会の開催など、より多くの意見を頂くために様々な工夫を凝らしております。加えて、本年1月からは、パブリックコメントにおいて、手話動画による意見の受付を順次行っているところでございます。さらに、この間、ジェンダー平等の実現や多様性の尊重など、社会情勢も大きく変化してきたこと、また、本年4月に施行された、あかしインクルーシブ条例に基づき、より多様な当事者の参画が求められることなどを踏まえ、本年度、市民参画推進会議を開催し、条例の内容や運用状況の検証等を行うこととしております。

御提案のありました無作為抽出の手法も含め、他市での取組事例なども参考に、より市民が主体的に参画でき、多様な市民の声を市政に反映できるよう、市民参画推進会議において、現状の検証や必要な取組の検討等を行ってまいりたいと考えておりますので、よろしく御理解賜りますようお願いいたします。

○市民生活局長(石角義行)

市民生活局長でございます。

私からは、御質問第2項目め、市民参画と協働で拓く新しい公共の取組についての2点目、3点目についてお答えいたします。

まず、2点目の市民提案型協働事業制度の導入についてでございますが、市民提案型協働事業は、市民が提案する事業を市と協働で取り組むことにより相乗効果を発揮し、地域社会の課題解決や、新たな市民サービスを創出していくことを目的としており、豊中市をはじめ複数の自治体が実施しております。市民提案型協働事業の効果としましては、市民ニーズに合った的確な事業が実施されることに加えて、市民活動団体と市の信頼関係の構築に役立つものと考えられます。双方で提案事業の実現方法を協議し、事業を実施する過程において様々な気づきが得られ、考え方やスキルを学び合うことができます。その結果として、市職員の意識改革が進むことも期待されます。また、市民活動団体にとっては、さらなる市との協働の機会となり、団体のステップアップにもつながることから、市民活動団体との協働を進める上で、有効な事業と認識しております。

しかしながら、一方で、市民提案型協働事業を行っている中核市のアンケートを見ますと、同事業について、事業実施までに時間や手間がかかる、市民活動団体と市職員との協働事業に対する考え方の違いから事業がうまく進まなかった、事業終了後、協働の関係性を継続することが難しいといった課題が挙げられております。また、豊中市では、平成16年度から協働事業市民提案制度を実施していますが、実施件数が近年低迷しており、平成30年度から令和3年度までは、提案件数はあるものの、実施の可否を決める協議の結果、実施件数がない状況が続いておりました。そのため、制度の見直しに3年間かけた上で、今年度から新たな制度で実施しており、その成果についてはこれからであるとお聞きしております。これらの状況から、本事業実施に当たっては、協働できる事業の考え方や協働の形態など、市民活動団体と市職員の協働に対する認識を深めることや、事業開始前の協議の在り方、事業期間をどうするかなど、十分な制度設計が必要と考えております。他都市の事例や市民活動団体の皆様の御意見もお聞きしながら、市民主体のまちづくりに向け、市民活動団体とのさらなる協議に寄与する事業について探ってまいります。

次に、3点目の分野型市民活動の実施の在り方についてでございますが、本市が進める市民主体のまちづくりを進める中、自治会やまちづくり協議会などの地縁型市民活動と、特定の分野に特化した活動などを行っている分野型市民活動が共に地域や社会課題に対して活発に活動していくことが、大変重要だと考えています。本市ではこれまで、分野型市民活動に対して、活動場所の支援、活動に対する相談、団体の情報発信の支援、財政的な支援などを行っております。活動場所の支援といたしまして、ウィズあかしでの打合せや活動に無料で利用できるフリースペースの設置、コミセンでの公益活動に対する施設使用料の減免などを行っております。団体の設立支援や団体運営の悩み相談など、活動していく上での様々な課題に対して、コミュニティ創造協会が中間支援組織として様々な相談に対応するとともに、各種の助成金情報の提供なども行っております。団体の情報発信の支援といたしましては、様々な市民の活動を紹介するホームページ、まちナビAKASHIでの団体情報や活動情報の発信、チラシなどを設置するためのラックの設置、ユーチューブに開設しておりますウィズあかしちゃんねるでの登録団体の紹介動画の公開など、様々な広報手段を設けているところでございます。財政的な支援につきましては、代表的なものとして、活動などに対する補助金、協働で事業を実施する場合などの委託料がございます。これらの基本的な仕組みにつきましては、原資が公金であることから、統一したルールの下で実施し、第三者から見て透明性が必要とされます。また、それぞれの補助金の詳細に関しましては、その目的、規模、実施内容及び期間などにより、個別に判断するものであると考えます。特に人件費や備品費などにおきましては、それぞれの団体が団体運営の中で負担すべきものと、事業実施の中で負担すべきものとの分別が必要となることから、補助金の目的や事業内容などを考慮の上、判断するべきものと考えております。

このように、分野型市民活動に対しましては様々な支援を行っておりますが、SNSを使った広報のやり方を教えてほしいでありますとか、市民活動団体への助成金などの情報提供をもっと行ってほしい、地縁団体との交流の機会をもっと増やしてほしいなどの意見もお聞きしており、改善できるところがあることも認識しております。今後は、より市民の方々が利用しやすくニーズに合った制度となるように、活動者の声や他市の状況も参考にしながら、これまで以上のよりよい制度設計に向けて改善を続けていきたいと考えておりますので、よろしく御理解賜りますようお願いいたします。