県立明石公園の自然環境保全の在り方について

令和4年第1回定例会6月議会(6月20日(月)) 質問3項目め

○議員(丸谷聡子)

3項目めは、県立明石公園の自然環境保全の在り方についてです。

まず初めに、なぜ樹木伐採について専門家や市民が声を上げたのか、時系列でお伝えしたいと思います。明石公園は、明石駅前の都心部に位置するにもかかわらず、城址が400年残されてきたことで守られてきた、豊かな生態系が残された全国でも極めてまれな都市公園です。ところが、築城400年を契機に、2018年から文化財保全と歴史的景観の維持向上を目的として、樹木伐採が始まりました。4年間の伐採本数は、1,687本で、2018年度301本、2019年度313本、2020年度683本、2021年度は630本伐採の予定のうち390本が伐採、240本は中断をしております。ただ、当初は石垣保護や景観向上のための伐採は、文化財の保全の観点からやむを得ないものと、声を上げるという動きは全くありませんでした。しかし、2020年以降、伐採本数が倍増し、石垣保護や景観向上とは関係のない伐採も見られるようになりました。そして、昨年10月、市内小学校の子供たちが環境学習で1年間観察をしていたモッコクの木が、突然、根元から伐採されてしまいました。兵庫県園芸・公園協会も環境学習エリアとして、公園利用者に周知する看板をつけていましたし、子供たちも木に名札をつけており、石垣には影響がない樹木だったので、まさか伐採されるとは夢にも思いませんでした。そこで、どうしてこのようなことが起こったのか、園芸・公園協会や県に説明を求めたことが全ての始まりでした。既にこの時、絶滅危惧種の生育を損なう伐採もあり、複数の市民や団体から、何とかしなければいけないのではないかとの声が上がっていました。また、公園を利用されている市民からも、石垣から離れた細い木まで切られてやり過ぎではないか。石垣の保全は理解するが、度を超えているなどの声が聞こえるようになっていました。また、この時点で情報公開請求をして出てきた資料から、伐採を決めるプロセスに様々な課題や間違いがあることが明らかになりました。

このような状況を受けて、明石市公園で活動している市民や団体で問題意識を共有し、明石公園の自然を次世代につなぐ会を立ち上げ、昨年11月18日に、県に伐採を中断し、計画を見直してほしい、公園整備について今ある自然を生かした活用方法を考えてほしいと要望書を提出しました。担当課長からは、皆さんの意見を聞いていきたいと回答がありましたが、その後、伐採は止まる気配はありませんでした。そのため、昨年12月議会で伐採計画を見直すために市が動くべきという私の質問に対して、知事と協議すると市長からの御答弁があったことから、本年1月29日に、明石市長にも要望書が提出されました。また、子育て中の母親や大学生が、明石公園の緑を考える会を立ち上げ、2月5日に緊急オンラインフォーラムを開催するとともに、オンライン署名を実施し、3週間で2万857人分を集め、2月22日に要望書と共に県知事に提出をしています。同日、日本野鳥の会ひょうごも伐採計画の中止を求める要望書を県に提出し、野鳥への影響調査を始めました。

こうした複数の団体が声を上げる中で、4月3日には、明石公園の自然を次世代につなぐ会主催で、明石公園の未来を考えるシンポジウムが開催され、兵庫県公園緑地課も来賓として出席し、明石市長にも御報告を頂き、170名を超える参加者の熱い視線の中で、自然と歴史と人が共生する希少な公園として次世代につないでいくことの重要性を確認し、自然豊かなみんなの公園を目指す確かな道筋を共有しました。その翌日、4月4日、兵庫県知事の明石公園視察が1時間半にわたって行われ、視察後の記者会見で、石垣保全のために議論を積み重ねてきたが、情報発信や地元との合意形成に反省点があったとし、年度内の伐採計画の中断、県立都市公園のあり方検討会(仮称)を設置し、明石公園部会を設けて、地域住民や自治体、有識者等の幅広い意見を反映する明石市プロジェクトチームとも連携すると表明されました。知事から示された資料には、今までになかった県立都市公園の在り方として、一番初めに、自然環境保全の在り方を検討するということが明記されていました。これが樹木伐採に至った一連の流れです。このような経緯を踏まえて、本日2点お聞きいたします。

1点目、本年4月1日に設置された明石公園に関するプロジェクトチームの推進状況と、自然環境保全や過剰な樹木伐採について、市民や専門家の声をどのように聞き、反映していくのかお聞きします。

2点目、兵庫県とは具体的にどのような連携をしていくのか、見解を問います。

○プロジェクト部長(小柳美枝子)

プロジェクト部長でございます。

御質問3項目め、県立明石公園の自然環境保全の在り方について、順次お答えさせていただきます。

1点目の明石公園に関するPT(プロジェクトチーム)の進捗状況でございますが、先般御答弁申し上げましたとおり、県立明石公園は、歴史や豊かな自然が残る市民の身近な憩いの場である一方、行き過ぎた樹木伐採やボート料金の値上げなど、市民利用に関する様々な課題が生じていることから、地元市として、市民にとって望ましい公園の在り方について検討をするため、明石公園に関するプロジェクトチームを本年4月に設置したところでございます。

本プロジェクトチームにおいては、史跡保護と自然環境との調和、陸上競技場、野球場などの在り方などのテーマについて検討を進めており、現在、まずはレーン幅の問題で来年度末で公認が切れる陸上競技場の問題など、対応が急がれるものから関連団体へのヒアリングを先行して行っているところでございますが、議員御指摘の樹木伐採についても重要なテーマだと認識しております。今後、順次、議員の御質問にもありました複数の団体を含め、自然環境や歴史史跡、造園の各関連団体などにヒアリングを行い、様々な視点での御意見もお聞きし、提言に反映させてまいりたいと考えております。

次に、2点目の兵庫県との連携についてでございますが、4月に市長が齋藤知事と面談した際に、明石公園に係る諸課題について、お互いに連携していくことも確認しております。本プロジェクトチームといたしましても、現在、県が設置準備を進めております県立都市公園のあり方検討会のスケジュールに合わせて、適宜提言を行ってまいりたいと考えております。今後も、県と随時情報共有をしつつ、必要な要望・提言をすることで、明石公園が市民にとってよりよいものになるよう取組を進めてまいりたいと考えておりますので、よろしく御理解賜りますようお願いいたします。

○議員(丸谷聡子)

最後に、3項目めの質問、市長にお聞きしたいと思います。

このあり方検討会では、部会を設けて地域住民や自治体、有識者等の幅広い意見を反映するというふうに県のほうはされていますけれども、いまだにどのような方が検討会のメンバーなのか、あり方検討会はどのように開かれるのか、私たちには全く分からない状況です。あり方検討会を開いても、ただ意見を聞きましたというのでは意味がないと思います。また、実質的な参画の検討会ができるかどうかというのがすごく試されているんじゃないかなと私は思っておりまして、1年中断したけど未来は全く変わらないでは意味がないんですね。今回のことは、国からお金がついて伐採しかできないから、剪定せずにどんどん伐採してたという問題もありますし、この92種も絶滅危惧種が、明石公園の生態系を守るために、市のプロジェクトチームがしっかり役割を果たしていただくことを大いに期待しております。

4月3日のシンポジウムで、自然と歴史と人が共生する貴重な公園として次世代につないでいくということが重要であるということを確認しましたので、ぜひ今回声を上げた複数の団体の声をしっかり聞いていただいて、それをもって県としっかり連携していただきたいと思います。こういう声を上げられた方々にとっては、今や明石のこのプロジェクトチームが頼みの綱だと思っておりますので、その辺りまだヒアリングもされていないということですので、しっかりお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○市長(泉 房穂)

明石公園に関する再度の御質問であります。市民の関心も強い状況ですので、私の方からも現状御説明申し上げたいと思います。

もう既に答弁申し上げましたが、明石市としてはプロジェクトチームを立ち上げて、様々な方々からの御意見など賜っている状況で、整理をしている途中です。県のいわゆるあり方検討会はこれからで、情報としては7月中旬ぐらいからスタートすると聞いており、明石市としてもそこのメンバーに入る予定にしているところでございます。詳細はまだ聞いてはおりませんが、一応、前半部分と後半部分に分けて、最初の段階で、いわゆるスポーツ施設、陸上競技場や野球場のこと、そして樹木の伐採のことを議論したいと聞いております。後半部分で、PFI方式も含めた民間活用とか、それに併せて市民図書館の跡地も含めた利用の問題を後半やりたいとは聞いておるところで、今のところ、その辺りです。状況としては、明石市としては、さきに明石市体育協会のほうからも、野球場、陸上競技場は廃止ではなくて、存続の方向でという決議も上げられておられますし、もっと急ぐのは陸上競技場のレーン幅の問題がありますので、この2つはしっかりとお伝えしたいと思っております。

加えて、樹木の問題は本当に何度もお伝えしたバランスの問題ですから、史跡も大事ですけど、自然も大事ですし、人の憩いも大事ですから、その辺り幅広い皆さんの意見を確認しながら調整を図っていくべきものだと思っております。いずれにしても、これからですので、今日の時点で軽々に、何か方向性を言える段階ではありません。ただ、明石市民にとって重要な公園ですから、しっかり県のほうと連携を図っていきたいと考えております。