明石市で安心して出産できる産後ケア施設の体制づくりと 産後ケア事業の改善について

令和4年第2回定例会9月議会(9月15日(木)) 質問1項目め

○議員(丸谷聡子)

かけはしSDGsの丸谷聡子です。発言通告に従い3項目質問いたします。

1項目め、明石市で安心して出産できる産後ケア施設の体制づくりと産後ケア事業の改善について質問いたします。

今回の質問は、今年5月に鳥取県智頭町「女性と子どものサポートセンターいのちね」を視察させていただいたことに始まります。いのちねは、女性の悩みは、その人自身だけでなく、家族、地域、そして、社会環境に深く関わる問題であることから、仕事、結婚、出産、介護など、ライフサイクルの変化に伴う不安や悩みを一人一人に寄り添い、共に考え、一歩を踏み出すお手伝いをする女性と子どものサポートセンターとして、2016年、智頭町の委託を受けて運営が始まりました。さらに、2020年11月からは、智頭町の予算で築100年の古民家をリノベーションして、産前産後ケア施設としての役割も担っています。施設代表の岡野眞規代さんは、助産師教育に携わる傍ら、全国各地で講演をされている助産師で、センター開設に当たり、智頭町が招かれ移住をされました。岡野助産師から、どんなささいな事でも安心して相談してもらい、話をすることで、身も心も軽くなって元気を取り戻し、自分の力で自由に選択して、幸せなお産や育児をしてもらいたいと思っているとのお話を伺いました。同時に、私も今さらながら、自分のお産や子育てを振り返る時間を頂き、霧が晴れたような気持ちになるという体験を通して、病院ではない産後ケア施設の役割の重要性を実感しました。また、本年8月には、通所型の産後ケア施設、三木市のなおみ助産院を視察させていただきました。母乳外来や日帰り型産後ケアを担う助産院と、親子で集えるカフェを併設されており、同じような月齢のお子さんのいるお母さんとの交流や、気軽に助産師に子育ての悩みを相談できる体制ができていました。視察の際にカフェに来られていた、お子さんを2人連れたお母さんから、ここがあったから2人目を産む決意ができたと生の声をお聞きしました。また、そこで働いておられる助産師さんや保育士さんも子育て真っ最中で、まずは、通所型の助産院とすることで、子育てと仕事を両立しながら運営できる、やがては宿泊も受け入れたいとお話をされていました。このことから、子育て中の助産師さんが働きやすいデイサービスのみの助産所を増やすことなどの工夫をすることで、潜在助産師の掘り起こしや、宿泊や出産もできる助産所へのステップアップにつながると思いました。ほかにも助産院を幾つか視察させていただいた結果、明石市にも安心して出産できる産後ケア施設の体制づくりと産後ケア事業の改善が必要だと強く思ったことから、3点質問いたします。

1点目、通所、宿泊ができる産後ケア施設の体制づくりについて。本市は、こどもを核としたまちづくりと言いながらも、周りのサポートがないために産むことを諦めたという残念なお声をお聞きしています。また、本市にも、産後ケアとして通所、宿泊ができる助産所が1か所ありましたが、現在の委託料では経営が厳しく、引き受けてくれる助産師が見つからないなどの理由で廃業され、今は1か所もない状態です。医療機関の受入れも、コロナ禍で十分な体制が整わず、希望したが断られたという市民の声をお聞きしています。一方、神戸市では、2020年度から産後ケアの委託料を増額したことで、2022年9月現在で産後ケア施設7か所、うち助産所5か所が新規開設されています。このことは、工夫次第で産後ケア施設の充実が図れるという先進事例ではないでしょうか。そこで、本市でも、安心して出産し、子育てのスタートをサポートするための産後ケアの受皿として、委託料の増額など、助産所開設の支援や地域拠点整備などの体制づくりが急務だと考えますが、市の見解を問います。

2点目、明石市で安心して出産できる産後ケア事業の改善について。神戸市のように、施設面において十分な体制づくりをした上で、通所、宿泊の利用者負担の減額、利用回数を増やす、ガイドラインどおり対象月齢を1歳までにする、通所形態をフレキシブルにする、積極的な広報で周知するなどの改善を行えば、明石市で出産したいと思う市民を増やすことにつながると考えますが、見解を問います。

3点目、ひよっこひろばの役割と再開について。産前産後サポート事業のデイサービス型として開設をしていた「ひよっこひろば」は、生後4か月までの母子が予約なしで参加でき、お母さん同士が気軽に知り合える場として、2018年度は24回実施で1,342名の参加、2019年度は22回実施で1,097名の参加と、多くの利用がありました。新型コロナウイルス感染症により中止となり、2021年4月からは、子育て支援センターの事業に移行したとお聞きしましたが、なぜ変更されたのでしょうか。ひよっこひろばの役割や意義をどう捉えているのか、今までと同じ目的の事業として実施できているのか、こども健康センターとの連携はできているのか、コロナ前のような体制に戻すことはできないのかなどについて見解を問います。

○子育て支援部長(長田一夫)

子育て支援部長でございます。

私からは、御質問1項目めの明石市で安心して出産できる産後ケア施設の体制づくりと産後ケア事業の改善について順次お答えいたします。

1点目の通所、宿泊ができる産後ケア施設の体制づくりについてでございますが、本市の産後ケア事業につきましては、母親が産後ケアを利用する目的や状況によってサービスを選ぶことができるよう、宿泊型、通所型、訪問型にて令和2年度から事業を開始し、産後の母親の心身の回復を図るよう努めております。通所型と宿泊型では、助産師などの育児方法の支援に加え、乳児を預かることで母親の休息を図ることを目的とし、市内、市外の産科医療機関11か所、助産所4か所に委託しております。施設の特徴として、産科医療機関では、分娩からの継続した利用が可能で、助産所では民家を利用した施設など、温かい雰囲気でのケアを受けることができます。助産所につきましては、市内に施設がないため、市外に委託先を広げ、それぞれの施設の特徴に応じて利用していただけるよう御案内をしています。また、訪問型では、授乳方法の指導などには助産師を、育児に関することには保健師や保育士をというように、母親の利用目的に応じた専門職を派遣しております。通所型及び宿泊型の利用につきましては、母親の希望施設や日程をお聞きし、できるだけ希望に沿うよう調整しておりますが、施設の空き状況により、御希望に添えない場合につきましては、別の施設や日時を紹介するほか、訪問型を案内するなどにより、母親の困り事が解消できるよう、寄り添った支援に努めております。今後につきましては、通所型や宿泊型を利用しやすいように、市内外の産科医療機関や助産所に働きかけて、委託先を増やすよう努めるとともに、市内での産後ケア施設となる助産所の開設支援につきましては、関係機関と連携を図り、他市の状況を調査して検討をしてまいります。

2点目の明石市で安心して出産できる産後ケア事業の改善についてでございますが、産後ケア事業における利用料金、利用回数、対象月齢等につきましては、国のガイドラインや他市の状況を参考にして決定しております。利用料金につきましては、できるだけ多くの方に御利用していただきたいという思いから、本市では、訪問型の1回無料のお試し券がついた産後ケアの案内を、対象者全員に個別に郵送して利用促進に努めております。利用回数につきましては、通所型と宿泊型を合わせて7回、訪問型を5回としておりますが、母親の状態によって必要な方には回数を増やして利用していただいております。利用時間の短縮や延長につきましては、母親の意向に応じて可能な範囲で対応しているところでございます。また、利用できる期間につきましては、事業開始当初はおおむね4か月までであった対象月齢を、令和3年4月から、通所型と宿泊型では産後おおむね5か月まで、訪問型は産後1年までと拡充をしております。これまでも、利用者アンケートなどを参考に利用回数や利用期間の見直しを図ってきたところでございますが、今後につきましては、他市の実施内容や利用していない方の意見も聞くなど調査を行い、安心して出産していただくことができるよう取り組んでまいります。

3点目のひよっこひろばの役割と再開についてでございますが、ひよっこひろばは平成29年度から、生後4か月までの第1子を養育する保護者同士の交流を図ることを目的に、こども健康センターで実施しており、予約することなく自由に参加していただき、保育士が体遊びなどの時間を設け、必要に応じて助産師が育児相談を受けておりました。コロナ禍において、感染対策の観点から、自由に参加していただく形態での開催が難しく、中止とさせていただいておりましたが、子育て支援センターにおける親子のイベントやプレイルームにおいて保護者同士の交流が図れることを、新生児訪問の際に御案内しております。また、子育て支援センターで受けた育児相談などにつきましては、必要に応じて、こども健康センターと連携し、保健師等が個別に対応しているところでございます。今後につきましては、こども健康センターと子育て支援センターとがこれまで以上に相互の連携を図り、情報を共有し、子育て支援センター等で月齢の早い時期から保護者同士が交流できる事業を検討してまいりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。

○議員(丸谷聡子)

それでは、再質問させていただきます。

1項目め、1点目の通所、宿泊ができる産後ケア施設の体制づくりについてですが、御答弁の中では、市内市外の産科医療機関11か所、助産所4か所に委託しているというふうに言われました。一見たくさんあるように思われるんですが、現実はコロナで受入れをストップしている病院とか、それから、自院出産のみ受け入れているという病院とか、あと、助産所もお産を受けている所はお産が優先になりますので、希望したときになかなか受け入れてもらえない。ぐっとそういう施設は少なくなっているというのが現状です。しかも、先ほど申し上げたように、明石市内には助産院が1か所もないという現状です。神戸市では、2年前に委託料を増額されたら、それがだんだん効いてきて、今年、特にたくさん助産所が新しく新設されまして、全体で医療機関も合わせて7か所も増えているということです。明石は、この辺りがちょっと弱いんじゃないかなというふうに思いますので、来年の予算に向けて、委託料の増額はもちろんのこと、助産施設が開設できるような支援であるとか、それから、答弁になかったんですけど、例えば、地域支え合いの家の産後ケア版みたいなような、地域拠点の整備などの体制づくりが必要だと思いますけど、いかがでしょうか。

○子育て支援部長(長田一夫)

子育て支援部長でございます。

母親の希望に沿うため、通所型、宿泊型の産後ケア施設を増やすにはどういったことができるのか、そちらにつきましては、先ほども答弁しました産後ケア施設となる助産所の開設の支援でありますとか、地域拠点の整備とか、様々多岐にわたって調査検討してまいりたいと思っておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。

○議員(丸谷聡子)

今の段階で神戸市と明石市とでは、1回の宿泊で1万円の差がありますので、そこはしっかり検討していただきたいなというふうに思います。

2点目なんですけど、明石市で安心して出産できる産後ケア事業の改善についてなんですが、産後ケアというのは、専門家の方にお聞きしたところ、かなり悪くなる前に予防的に使うことがすごく大事だというふうに教えていただきました。ですから、できるだけハードル低くしたほうがいいですし、国のガイドラインが、もう訪問も、通所も、宿泊も1年まで使えるとなっているのに、明石だけは産後、通所と宿泊は5か月まで、訪問だけが1年に延長されたということなんですが、その辺、神戸市さんなんかは、市としての間口は1年にして、それぞれの施設で事情があって、うちは半年まで、5か月までというところはちゃんとそれを市民の方にお示しをして、選んでいただくというふうな方法を、やっぱりとるべきかなと、ガイドラインに合わせるべきかなと思います。

それと、回数もですね、近隣市にお聞きしましたら、宿泊と通所、それぞれ7回ずつ使えるんですけど、明石の場合は合わせて7回なので、使用回数としては他市に比べて半分なんです。それはやっぱり少ないんじゃないかなと思いますので、少なくとも7回、7回に、ガイドラインどおりに増やす。先ほどの答弁で、しんどい方には追加をすると言われていましたけど、それは表面上は分からなくて、それしかないと、はなから出産しないお母さんは分からないわけですから、そういう明石が手厚いことをしているかどうかというのは分からないので、そこは明確に分かるようにしていただきたいですし、また、鳴門市さんなんかでは、通所は52回までというふうに書いて、すごく手厚くされていますので、そういった7回にこだわらず、もっと回数増やすようなことも明石市として検討していただきたいなと思うんですが、その辺りいかがでしょうか。

○子育て支援部長(長田一夫)

子育て支援部長でございます。

利用月齢につきましては、月齢が5か月を過ぎる頃から、子供の心身の発達が活発になり、本市が委託している施設では、安心・安全な子供の預かりが難しくなるということで、対象を5か月児までとしている所が多いことから、市としておおむね5か月というふうにさせていただいております。利用回数、それから、利用月齢につきましては、今後、産後ケア事業の委託先を拡充する中で見直しも検討してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。

○議員(丸谷聡子)

令和2年にせっかくガイドラインが改正されていますので、最低でもそのガイドラインに合わせていくというのはやっていただきたいと思うんですね。そこをしっかりチェックしていただかないと、今回も例えば、お母さんと子供が離れている場合は、明石は利用できなかったんですけれど、ガイドラインには利用できるということが書かれていて、そこは改善されるというふうに聞いていますけれども、ぜひガイドラインにあるものは早急に改善していただきたいと思います。これは意見として申し上げます。

3点目ですね、ひよっこひろばの役割と再開ですけど、まず、ちょっと確認なんですが、私、この質問をするに当たって担当課の方とお話をさせてもらったときは、ひよっこひろばというのは子育て支援センターの事業に移行したというふうに説明を受けたんですけど、今の答弁では、子育て支援センターで実施している親子イベントとかプレイルームがありますよということを新生児訪問のときに案内していただけで、事業を移行していたわけではないということなんでしょうか、ちょっと確認させてください。

○子育て支援部長(長田一夫)

子育て支援部長でございます。

ひよっこひろばの中止の後、ひよっこひろばをどうしたのかというところでございますが、子育て支援センターへの事業移行は行っておりません。今申し上げましたように、乳児家庭の孤立防止のため、乳幼児と保護者が気軽に立ち寄って、保護者同士の情報交換、仲間づくりができる交流の場として、子育て支援センターの事業を御案内させていただいているというところでございます。

以上でございます。

○議員(丸谷聡子)

分かりました。でしたら、このひよっこひろばの事業については今後どうなるのかお聞かせください。

○子育て支援部長(長田一夫)

子育て支援部長でございます。ひよっこひろばのように、4か月児までという月齢の早い段階での交流というのは、母子にとって大切なことだと考えております。今後につきましては、子育て支援センター等でひよっこひろばの代替となるような、月齢の早い時期からの保護者同士の交流が図れるような事業を行うことを検討してまいりたいと考えております。

○議員(丸谷聡子)

今の御答弁では、今後は、こども健康センターではなく、子育て支援センターでやっていくということですけれども、どういう形でやっていくのか、もう少し具体的に教えていただけないでしょうか。

○子育て支援部長(長田一夫)

子育て支援部長でございます。

例えば、現在、あかし子育て支援センターでは、同じ目的で生後4か月、5か月の子供の保護者を対象とした子育てわいわいトークという事業がございます。例えば、その対象を生後2か月、3か月など、月齢の早い段階の子供の保護者に広げるというようなことは、まず取り組んでいけるんではないかなと考えております。

以上でございます。

○議員(丸谷聡子)

ぜひそのように枠を広げていただきたいということと、それから、ひよっこひろばのよさというのは、やっぱり保健師さんとか助産師さんが立ち会ってくださっていて、相談につながりやすいということがすごく魅力的だったと思うんですね。ですから、ぜひ、ひよっこひろばと同じような事業を子育て支援センターでやっていくのであれば、しっかり相談につながるように、今までどおり、保健師さん、助産師さんに立ち会っていただいて、より効果のある形でお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○子育て支援部長(長田一夫)

子育て支援部長でございます。

事業の実施に当たりましては、単なる保護者の交流だけでなく、その場で育児の相談などにも対応できるような体制を整えてまいりたいと考えております。御理解賜りますようよろしくお願いいたします。

○議員(丸谷聡子)

私がなぜこんなにひよっこひろばにこだわるかというと、やっぱり利用されてきたお母さんからお話を伺っていて、すごくよかったと。コロナで今はちょっと難しいかもしれませんけど、予約なしで気軽に参加できたり、訪問してくれた助産師さんや保健師さんがおられたり、すごくああいういい場はなくしてはいけないじゃないかというお母さんたちからの声をお聞きしていますので、本当にこんな評価が高い、よい事業を、こども健康センターの皆さんが積み上げて、つくり上げてくださったと思いますので、簡単に手放すのではなくて、子育て支援センターの事業として実施するのであれば、できる限り今までやっていたものが継続できるような、同じような形でぜひ進化させていただきたいというふうに思います。今後は、コロナの収束次第だと思いますけれど、開催場所なんかを工夫していただいて、今までどおり、予約なしで気軽に参加できるような体制に戻しておくことも含めて、今後の対応をよろしくお願いしたいと思います。