市役所新庁舎建て替え計画について

令和4年第2回定例会9月議会(9月15日(木)) 質問2項目め

○議員(丸谷聡子)

2項目めは、市役所新庁舎建て替え計画についてお伺いします。

新庁舎建て替えは、2020年7月に設計受託業者の基本設計概要案が公表されて以降、2020年12月に素案が議会に報告され、その後、パブリックコメントがなされ、2021年3月にその意見が公表されました。しかし、市民への説明は、2020年1月に基本計画(素案)について市民説明会が開かれただけで、2021年1月に予定された基本設計(素案)についての市民説明会はコロナで中止になったまま現在に至っています。2021年4月15日号の広報あかしで紙面2面を使って、新庁舎5つのポイントや庁舎断面のイメージ図や、これまでに出されている意見などが抜粋して掲載されており、10項目の中から、どのような庁舎が理想で優先させるべき項目かを3つまで選ぶという簡単なアンケート募集はしたものの、年4回以上、進捗状況が報告されていた市議会の特別委員会が2021年5月に廃止されてからは、総務常任委員会で先送りスケジュールが報告されることの繰り返しで、計画が一体どうなっているのか市民には分からない状態です。

市役所とは、読んで字のとおり、市民の役に立つ所でなければなりません。新庁舎は、少なくともこの先50年は明石市政のシンボル的施設になり、市民の意思が最も反映されなければならない公共施設です。それであるならば、夢のある新庁舎づくりには市民の参画が欠かせません。しかし、現状では、市民からは全く見えないとの御指摘も多く頂いています。今年度末に基本設計を確定されるなら、あと6か月余りしかありません。早急に市民説明会や意見公募などの対応をとるべきと考えることから、4点質問をいたします。

1点目は、速やかな市民への説明と意見公募について。2年前に公表された基本設計(素案)からは大きく修正されています。現時点での案を速やかに市民に説明、意見公募を行い、最終案に市民の意見が反映できるよう、時間を十分とるべきではないでしょうか、見解を問います。

2点目は、市民と学識者を入れた審議組織の設置について。新庁舎の建設は、明石市制100年の大計とも言うべき一大事業であるにもかかわらず、市民や学識者を交えた審議機関をつくらずに進めてきました。なぜ、今まで設けなかったのでしょうか。基本設計の策定から実施設計に入る重要な時期に差しかかっている現在、新庁舎と市役所業務の在り方について、本質的な議論をする場が必要ではないでしょうか、市の見解を問います。

3点目は、新庁舎建て替え計画の全体構想についてです。新しい市役所及び周辺ゾーンをどのようにしていくかの全体構想の議論が進んでいません。県が管理する港湾地域も含め、一帯の整備構想を並行して進めなければ、市民にとって夢のある新庁舎にはならないと考えますが、見解を問います。

4点目は、ゼロエネルギー、発電する新庁舎への発想の転換について。新庁舎は、現在、ZEB Readyという、庁舎に必要なエネルギーの半減という計画になっていますが、これから基本設計をし、50年先まで使う公共施設が本当にそれでいいのでしょうか。気候非常事態宣言をし、SDGsを市の柱とする本市であれば、当然、100%カバーするZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)を目指すべきだと考えます。自治体がお手本を示すことで、市民と共に持続可能なまちづくりを進める機運につながるのではないでしょうか。さらには、新庁舎で発電した電力を明石の豊かな海づくりに利用するなど、持続可能な明石のまちづくりの象徴として、脱炭素先行地域へのエントリーも視野に入れた発想の転換を、ぜひしていただきたいと考えますが、見解を問います。

○政策局長(高橋啓介)

政策局長でございます。

私からは、御質問の2項目め、市役所新庁舎建て替え計画について順次お答えいたします。

まず、1点目の速やかな市民への説明と意見公募についてでございますが、市役所新庁舎につきましては、令和2年12月に基本設計(素案)を作成し、パブリックコメントを実施いたしましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、予定していた市民説明会を中止せざるを得ない状況となりました。そのため、新庁舎は市民サービスの拠点であり、整備に当たっては市民意見を十分に反映する必要があることから、当初、令和2年度中を予定しておりました基本設計の策定について、一旦延期することとしたところです。策定を延期している間、県の高潮浸水想定の見直しへの対応等について検討を進めるとともに、市民の御意見を幅広くお聞きし、新庁舎の整備内容に反映するため、令和3年4月15日号の広報あかしを用いてアンケート調査を行い、500名を超える方から御意見を頂きました。現在は、基本設計(素案)について、パブリックコメントやアンケート調査を通じて頂いた多くの市民意見を反映しながら、見直し作業を進めているところでございます。基本設計(素案)からの大きな変更点につきましては、今議会の総務常任委員会で御報告する予定としており、その後、12月議会において変更内容を反映した基本設計(素案)の修正版を御報告した上で、改めてパブリックコメントや市民説明会を実施し、幅広く御意見をお伺いしたいと考えております。なお、設計内容に反映するための御意見を頂くに当たっては、まずは、市として一定の案をお示しする必要があると考えております。また、今後お示しする素案の修正版については、これまでに頂いた市民意見を反映したものであることから、現在予定しているスケジュール内で、今後頂く市民意見の反映は十分可能であると考えております。頂いた御意見を踏まえながら、国の財政支援メニューである市町村役場機能緊急保全事業の適用を受けるため、今年度中の基本設計完了に向けて取組を進めてまいります。

次に、2点目の市民と学識者を入れた審議組織の設置についてでございますが、新庁舎の整備に当たっては、平成29年度に、都市計画、都市防災、地域政策などを専門とする学識経験者で構成される市役所新庁舎整備検討に関する有識者会議を設置し、整備場所や整備に当たって重視すべき項目等について御意見を頂きました。その後、新庁舎の設計業務を委託する事業者を選定する際には、有識者会議に御参加頂いた複数の学識経験者にも選定委員を務めていただき、事業者からの提案内容について、有識者の視点から御意見を頂きました。選定の結果、庁舎整備の実績が豊富な事業者に設計業務を委託し、民間の知見やノウハウを生かすとともに、有識者会議で頂戴した御意見や、近年、新庁舎を整備した他市事例等も参考にしながら取組を進めているところでございます。また、設計業務を進めるに当たっては、先ほど御答弁申し上げたパブリックコメントやアンケート調査等による市民意見に加え、庁内各部署へのヒアリング調査の実施や窓口関係課職員によるワーキンググループの設置など、職員意見も取り入れております。

なお、市民や学識経験者を入れた審議組織の設置については、他市の事例を見ましても、基本計画などの構想段階が多く、現在取組を進めている基本設計については、構想段階で定めた理念や整備方針を踏まえて案を作成した上で、パブリックコメントや市民説明会を実施して御意見を頂く方法が一般的となっております。新庁舎と市役所業務の在り方については、これまでの意見募集の中で、市民センターで手続できることを増やしてほしい、家族が亡くなったときの手続を1か所でできるようにしてほしいなどの御意見を頂いており、現在、関係部署と連携を図りながら、新庁舎の窓口業務の在り方等について検討を進めているところです。

また、バリアフリー・ユニバーサルデザインの導入について、明石市障害当事者等団体連絡協議会の方々と定期的に意見交換を行っており、今後、他市の新庁舎の共同視察を行うことも検討しております。これらの新庁舎の窓口機能やバリアフリー・ユニバーサルデザインの方向性については、基本設計(素案)の修正版の中でお示しする予定としており、具体的な内容や導入システム・設備等については、次年度から予定しております実施設計と合わせて検討を行い、新庁舎が市民にとってよりよい庁舎となるよう、引き続き市民意見を取り入れながら取組を進めてまいりたいと考えております。

次に、3点目の新庁舎建て替え計画の全体構想についてでございますが、現庁舎敷地と県が所有する明石港東外港地区との一体的な開発については、本年4月に市長と齋藤知事が協議を行った際に、本年11月に開催される第41回全国豊かな海づくり大会兵庫大会以降に改めて協議を行っていくことを確認したところでございます。なお、現在、暫定利用を行っている東外港地区については、全国豊かな海づくり大会終了後の12月1日から令和6年3月31日まで暫定利用を継続することを先日、県が発表しております。暫定利用終了後の計画については、現時点では未確定であり、新庁舎を含む一帯が市民にとってより魅力あふれるエリアとなるよう、当該土地の利活用について、引き続き県と協議を行ってまいりたいと考えております。

最後に、4点目のゼロエネルギー、発電する新庁舎への発想の転換についてでございますが、新庁舎につきましては、基本計画において、持続可能なまちづくりに貢献する庁舎を基本方針の1つに掲げ、再生可能エネルギーの活用について検討することとしております。基本設計においては、雨水をトイレや散水栓に再利用する雨水再利用設備や、地中熱を取り入れた空調システム等の再生可能エネルギーの導入に加え、建物の屋上に太陽光発電設備を設置し、新庁舎で使用する電力の一部として利用する予定としております。しかしながら、当発電で新庁舎全ての電力を賄うのは難しい状況であり、御質問の発電電力の新庁舎以外での活用には、庁舎外での発電設備の設置スペースの確保や、設備の設置に要する多大な費用といった課題が生じてまいります。このことから、新庁舎につきましては、庁舎に必要なエネルギーの半減、いわゆるZEB Readyを目指して取組を進めているところでございます。今後も費用対効果を検討しながら、さらなる可能性を探ってまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。

○議員(丸谷聡子)

それでは、2項目めの新庁舎のほうに行かせていただきます。

先ほどは新庁舎について、市民説明会を1月になっても大丈夫かという中で、十分直せるというふうに御答弁があったと思うんですけど、例えば、1月にパブコメをして、その後、市民説明会をした場合、市民からは設計そのものに影響が出るような重要な意見が出ても、それは対応可能なんでしょうか。

○政策局長(高橋啓介)

政策局長でございます。

今後の意見の反映についてでございますけれども、既にこれまでのパブコメ、広報あかしでのアンケート等々において意見を頂戴しておりまして、大きな設計部分の重要な部分についての御意見につきましては、既に反映できているんではないかと考えています。また、この後、総務常任委員会のほうでお示しする修正案のほうで反映できているかと考えております。

あと、大きなところはそういった形で反映できておりますけど、それ以外の御意見、また、1月のパブコメですとか、市民説明会で頂いた意見というのも、しっかりと期限内、また、細かい部分につきましては実施設計の中で反映していくべきものもあろうかと思いますので、十分に対応できるかと考えております。

以上でございます。

○議員(丸谷聡子)

この9月議会で総務常任委員会で報告されて、12月の間までに市民説明会ってできないんですか。なぜ、わざわざ1月でないとできないのか。市民説明会、別に今してもいいと思うんですけど、その辺、お聞かせください。

○政策局長(高橋啓介)

政策局長でございます。

大きな変更点につきましては、9月の委員会のほうで御報告をさせていただくところなんですけれども、フロアの変更ですとか出させていただくんですが、細かいところ、現在もまだ作業中でございます。その辺り、しっかり詰めた上で12月議会のほうに報告をさせていただいた上で、その後、パブコメ、市民説明会という形で進めさせていただきたいと考えております。

以上でございます。

○議員(丸谷聡子)

市民の方からも、早く説明会してほしいという声を私、たくさん聞いておりますので、ちょっとその辺もぜひ検討していただきたいんですけど、先ほどからアンケートで市民意見を聞いたというふうに何度もおっしゃっていますが、アンケートというのは聞きおくだけですよね。そういう意味では、私が次に挙げさせていただいている審議会、2点目なんですけど、その審議会とか検討会ということが、実は双方の議論をしながら合意形成をして、1つのものをつくっていくということで、市民参画条例を持っている本市としてはすごく大事なことだと思うんですね。

私、6月議会で無作為抽出の市民委員による審議会とか、検討会の提案もさせていただきましたけど、まさに新庁舎というのはそのような取組をしてもいいぐらいのテーマだと思っています。有識者から意見を聞いたということでしたけれど、最初の有識者会議は市役所の場所の選定が主な議論のテーマだったと思いますし、業者選定に関しては、意見をお聞きしたということで、審議会のような議論を重ねて意思決定のプロセスを踏んでいないと私は認識しているんですが、その辺り、今からでも遅くないと思いますので、市民と学識者が入った審議会組織を設置すべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○政策局長(高橋啓介)

政策局長でございます。

市民参画の手法につきましては、議員御案内のとおり、審議会ですとか、パブコメ等、様々あろうかと思います。本市といたしましては、審議会、少人数で深い御意見を頂くという手法もあろうかと思いますが、本市といたしましては、幅広く多くの市民の方々から意見を頂戴して、それを反映していきたいと考えております。これまでも、もう何度も繰り返しになりますけれど、パブコメですとか、広報あかしでのアンケート、今後もパブコメ、また、市民説明会をやっていきますけれども、これまでにも先ほど御紹介したもの以外に、あかねが丘学園の生徒さんへのアンケートですとか、高年クラブ連合会へのヒアリング、子育て支援センター来訪者へのアンケートですとか、子育てモニターへのアンケート、もろもろ意見のほうは頂いて、それを反映すべく作業を執り行っておるところです。今後も実施設計に入っていっても、御意見のほうはしかるべき意見を反映していきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○議員(丸谷聡子)

何度も申し上げますけれど、アンケートは市民参画ではないというふうに私は思っていますので、その辺、重々分かりながら、もう少し市民と議論するような場もぜひとも考えていただきたいなと思っています。市民の方、議会の特別委員会があったときは、結構そこに絞ってどんどん進捗状況が分かっていたので、分かりやすかったということなんですけど、議会にそういう特別委員会がもう今はありませんので、より丁寧な説明をお願いできたらというふうに思っています。

4点目なんですけど、なかなかゼロ、そしてまた、さらに発電するというのは難しいということですけれど、技術革新もどんどん進んでいますし、いろんな方法が開発されています。あと半年間で決めなければならないのであれば、なかなか難しいのかもしれませんけれど、このZEB Readyというのは50から75%なんですね。だから、50に甘んじないで、75に近い、Nearly ZEBに近づくような、そういう取組は、努力というか、目指していただきたいんですけれど、いかがでしょうか。

○政策局長(高橋啓介)

政策局長でございます。

先ほど御答弁申し上げましたとおり、なかなかに全部を賄うというのは大変難しい状況ではございますが、今後も幅広く、可能性のほうは探ってまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。