ひきこもりの実態調査と支援策について

令和元年第1回定例会6月議会(6月17日(月)) 質問1項目め

○議員(丸谷聡子)

丸谷聡子です。発言通告に従いまして、以下の3項目について質問いたします。

まず、1項目めはひきこもりの実態調査と支援策についてです。

本年3月29日、内閣府が2018年度に実施した生活状況に関する調査において、半年以上にわたり趣味の用事やコンビニなどに出かける以外に外出しない人をひきこもりと定義し、40歳から64歳のうち、ひきこもりが全国で推計61万3,000人いるとの調査結果を報告しました。このうち7割以上が男性で、ひきこもりの期間が7年以上という方が半数を占めており、さらに30年以上ひきこもりの状態にある人が6%と、ひきこもりの高齢化、そして長期化が明らかになりました。ひきこもりになったきっかけは、退職したが最多で36.2%、人間関係がうまくいかなったと病気がそれぞれ21.3%、職場になじめなかったが19.1%、就職活動がうまくいかなかったが6.4%で、上位の5番目までを占めました。特に40歳から44歳の層では就職活動の時期にひきこもりが始まった人が多く、家の生計を立てているのは父母が34%、悩み事に対しても誰にも相談しないという回答が4割を超えているという結果から、若者とは違った支援策が必要であることがわかります。2015年度に内閣府が調査した15歳から39歳の推計54万1,000人を合わせると、その総数は115万4,000人となり、全国で100万人以上の人がひきこもりと言われる状態にあることが明らかになりました。この推計から考えると、本市においても3,000人程度の方が対象となるということがうかがい知れます。

そのような折、川崎市の事件の報道等により、ひきこもりへの偏見が懸念される中、親がひきこもり傾向のある我が子を殺めるというショッキングな事件が起こりました。この事件により、ひきこもっている本人だけでなく、支える家族や兄弟も苦しんでいるという現状が浮き彫りになったと言えます。さらに、ひきこもりと犯罪を結びつける報道や風潮は、今まで以上にひきこもりの家族がいることを周囲に伝えたり、助けを求めたりしにくくなってしまい、隠せば隠すほど家族だけが課題を抱え、孤立してしまうことにつながります。ひきこもりの問題は、生きづらさを感じている人に生きてやり直せる社会、失敗してよい社会、明石市が目指しているやさしい社会をつくることが必要であり、まさに社会の課題として重く受けとめなければなりません。本市としても行政施策として、しかるべき支援策が必要ではないでしょうか。

現実に本市においてもひきこもりがちの子どもを持つご家族の方から、相談したいがどこに相談すればよいかわからない。親が80歳という高齢で子どもが50歳、これから先が不安であるという8050問題と言われる現状を示唆する切実な声を多くお聞きしています。その課題解決のためには、ひきこもり専門の相談窓口の設置など入り口の明確化と、行政がコーディネーター役となり、専門家、当事者会、親の会、サポーター市民など、多様なネットワークを構築しながらの支援が急がれると考えることから、以下の3点について質問いたします。

1点目は、ひきこもりの現状について。本市におけるひきこもりの実態把握はされているのでしょうか。また、どのような支援がなされているのでしょうか。その現状について市の見解を問います。

2点目は、(仮称)明石ひきこもり支援センターの設置について。ひきこもっている家族のことを相談したいが、どこに相談すればよいかわからないという切実な市民の不安を解消するためにも、ひきこもり専門の相談窓口を常設し、当事者や家族に寄り添う支援が急がれると考えますが、市の見解を問います。

3点目は、ひきこもりサポーター等の養成についてです。より身近な地域での早期発見、適切な支援へとつないでいくためにも、市民対象のひきこもりサポーター養成が必要だと考えますが、市の見解を問います。

○福祉局長(野村信一)

福祉局長でございます。

ご質問1項目めのひきこもりの実態把握と支援策について、順次お答えいたします。

1点目のひきこもりの現状についてでございますが、現在、明石市におけるひきこもりの実態について、対象人数など詳細の把握までには至っておりませんが、ひきこもりに関連する相談件数といたしまして、地域の身近な相談窓口である地域総合支援センターでは、昨年度、延べ920件、あかし保健所では256件が、ご本人、またご家族から市へ寄せられております。あかし保健所では、相談のあった方等への個別支援や家族会との意見交換の中で、ひきこもりの実態把握と課題に対する支援策の検討を行っているところですが、平成28年に全国精神保健福祉センター長会で行われました保健所、精神保健福祉センターの連携によるひきこもりの地域生活支援の状況と課題に関する調査で示されましたように、経済的問題、将来の不安、家族亡き後が心配、自立ができないなど、本人やご家族の高齢化に伴って生じる相談がある一方で、本人の強い拒否により会うことができない、家庭内暴力、暴言など、かかわりの難しさや居場所がないなど、社会資源の不足の課題につきましても、本市においても同じ状況にあると考えております。こうした課題に対応するために、ひきこもりに悩む本人やご家族の実態と希望する支援について現状把握を行い、早急に取り組むべき支援策について検討を行います。また、ひきこもりの方への支援につきましては、どんなことでも安心してご相談いただけるための相談体制の強化に加えまして、保健所や地域総合支援センターに寄せていただく健康相談、家族介護等に関する相談が支援のきっかけとなり、継続した支援につながるケースが多いことから、今後もハローワークや若者サポートステーション、医療機関等の関係機関との連携強化を図り、すき間のない支援に努めてまいりたいと考えております。

2点目の、(仮称)明石ひきこもり支援センターの設置についてですが、ひきこもりという状態に至った本人やご家族が抱える問題はさまざまであることから、現在の相談体制といたしましては、精神保健や権利擁護、あるいは生活困窮といった個々の問題への対応として、関係部署、機関が協働してかかわることで、安心を実感していただける支援に努めているところで、昨年度、本市が実施いたしました、こころのケアプロジェクトの中で発足した関係機関によるネットワーク会議においても、そうした連携強化を主題に置き、相談体制の充実等について議論がなされているところでございます。こうした本市の取り組みをベースに、社会的に関心が高まっているひきこもり状態にある本人や家族の方への支援策として、早期に幅広く、そして専門的に相談に応じられるひきこもり専門相談窓口を、できるだけ早い段階で設置をしたいと考えております。

3点目の、ひきこもりサポーターの養成についてでございますが、兵庫県では、より身近な地域でひきこもりに悩むご本人やご家族を早期に発見し、適切な支援につなぐことができるよう、ひきこもり支援に関心のある方を対象に、サポーター養成講座が実施をされております。市といたしましても地域支援の重要性から、県による養成講座との連携に努め、地域の中で支援者の育成を積極的に進めていく必要があると認識しております。また、ひきこもりの当事者だけでなく、ご家族も同じように社会的に孤立した通常の情報が届きにくくなっている例も少なくないと考えられますことから、出前講座を開催するなど、市民啓発も積極的に行い、生きづらさを抱えておられる方も自分らしく暮らせるやさしいまちづくりを、市民の皆様にご理解、ご協力をいただきながら推進してまいりたいと考えております。

以上、ご理解賜りますようよろしくお願いいたします。

○議員(丸谷聡子)

それでは、ご答弁いただきましたので、再質問させていただきます。

まず、1項目めのひきこもりの実態把握と支援策についての1点目ですけれども、今、国の推計からと、それから地域総合支援センター、保健所の相談で大体の数を把握されているということなんですが、もう少し詳しく実態調査をされるような予定はないんでしょうか。

○福祉局長(野村信一)

福祉局長でございます。

ひきこもりに関しましては、国の発表があったこととあわせて、関連する事案が発生したということで、非常に社会的な関心が強い状況だと認識をしております。そうした中で、実態調査はより市民の方に身近な明石市として、どういう形かは今検討しておりますけれども、早急に実態調査を市として行いたいと考えております。

以上です。

○議員(丸谷聡子)

推計で3,000人程度というふうに言われてますけれども、やっぱり具体的に3,000人なのか、もっといらっしゃるのかというのは、ある程度把握しながら支援の方向性を見きわめていかないといけないなというふうに思ってますので、ぜひ市としての実態調査をお願いしたいと思ってます。

2点目なんですけれども、私は(仮称)明石ひきこもり支援センターというふうに申し上げて、設置の必要性を言わせていただきましたけども、今、答弁で早急に専門相談の窓口を、できるだけ早い時期に開設したいというような前向きなご答弁をいただきました。本当に必要なことだと思うんですけど、ひきこもりというのは先ほどの答弁にもあったと思うんですけど、多様な、ひきこもりというのは病気じゃなくて状態を言うので、本人に拒否して会えないという場合もあるでしょうし、暴力を振るわれる方、それからいろんな理由があって多岐にわたり、年齢も幅広いですし、かなり専門的な知識とか、経験とか、そういったことが必要だと思いますので、ぜひ専門窓口を開設するに当たっては、そういった経験を積んだ人材を多く確保するということが、まず一番大事なことだと思うんですけども、そのあたり、市長として職員体制であるとか、職種であるとか、それから研修体制なんか考えておられることをお聞きしたいと思います。

○福祉局長(野村信一)

福祉局長でございます。

まず、市長が答える前に、現状を申し上げておきます。ひきこもりを初めとする、心の悩みを抱えておられる方に関しましては、昨年、明石市は近隣自治体での関係事案を受けて、こころのケアプロジェクトというのを稼働をしております。その際、あかし保健所が精神保健を担当しておるということで、あかし保健所が中心になって対応しているところでございますが、専門的な対応といたしましては、精神保健の相談経験のある精神保健福祉士や保健師などが中心となって対応をしているところでございますが、ただ繰り返しになりますが、社会的に非常に関心の高いテーマになっておりますので、より専門性を高める必要性、この観点から限りある職員数、職員の実情ではありますが、人材の配置と育成については、今後、積極的に取り組んでいきたいと考えております。

以上です。

○市長(泉 房穂)

丸谷議員からのひきこもりに関する再度の質問でございます。大変現時点で社会的にも関心の強いテーマであり、明石市議会におかれましても、これまで何度もひきこもりについてのご質問を賜ってまいりました。また、明石市は昨年4月に中核市に移行し、保健所を明石市として設置いたしまして、まさにこのテーマにつきましても、しっかり取り組むべき環境が整ってきたと考えております。

そういった中で、せんだっても保健所の所長とも意見交換させていただきましたが、しっかりと明石市において、このひきこもりのテーマについて、速やかに人的体制の拡充を図り、しっかりとした相談ができる体制をつくっていきたいと。そして、明石市ならではの総合的な連携に基づく支援をしていきたいと考えております。議員のほうからもご指摘ございましたが、ひきこもりというのは状態でございますので、ひきこもりそのものが別にマイナス的な価値判断を伴っているとは、私は思っておりません。既に明石市におきましては、例えば認知症についても、認知症はいけないことという発想ではなく、認知症でも大丈夫だと。認知症のご本人や家族は、認知症を隠さなくてもいいようなまちづくりという観点で進めておりますが、ひきこもりにつきましても同様でありまして、ご本人や家族がそういったことを隠すようなことをするわけではなくて、むしろ早い段階でいろいろご相談をしていただくことによって、しっかりとサポートできることをしていきたいと強く思っておるところでございます。今、早急に検討しておりますので、できるだけ早い段階で、相談にさらにしっかり応じられる体制をつくっていきたいと、そのように考えております。

以上でございます。

○議員(丸谷聡子)

よろしくお願いしたいと思います。そして、行政だけでなく、やっぱり親の会であるとか、家族の会とか、それから市民のサポーターの、そういった支援、やっぱり必要だと思いますので、そういった取り組みもしっかりあわせて検討していただきたいというふうに思っています。