子どもの虐待通報への対応について

令和元年第1回定例会6月議会(6月17日(月)) 質問2項目め

○議員(丸谷聡子)

2項目めは、子どもの虐待通報への対応についてです。

児童福祉法第25条の規定に基づき、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した場合、全ての国民に通告する義務が定められています。平成29年度の全国児童相談所における児童虐待相談対応件数は、速報値として13万3,778件、前年度比1万1,203件増と公表されました。これは過去最多で、統計をとり始めた1990年度から27年間連続で増加しています。子どもの心身の成長に大きく影響し、時には命にかかわる虐待を早期発見することは大変重要なことです。本市においても、4月に明石こどもセンター、いわゆる児童相談所を開設し、虐待通報においての迅速かつ的確な対応が求められています。効果的にその業務を遂行していくためには、専門的知識だけではなく、子どもの目線に立って事実を見抜く経験や、他部署、他機関との連携、第三者アドバイザーによる検証などが必要です。また、通報の真偽については見きわめるプロセスや、誤報であった場合、通報された側の精神的なダメージをどう和らげるのか、子どもの人権をどう保障するのか。名実ともに市民から信頼される、困ったときに相談してもらえるこどもセンターになるために、真摯な対応が必要だと考えることから、以下の3点について質問いたします。

1点目は、こどもセンターへの虐待通報状況について。本年4月に開所してからの虐待通報状況について、市の現状をお聞きします。

2点目は、通報後の対応についてどのように行っているのでしょうか。虐待が判明した場合の子どもの保護、保護者への対応、緊急ではないと判断したケースのその後の対応等について、市の見解を問います。

3点目は、通報が誤報であった場合の対応についてです。通報の真偽について、どのようなプロセスで見きわめるのか。もし通報が誤報だった場合、誰がどのように対応するのか、市の見解を問います。

○こども局長(佐野洋子)

こども局長でございます。

2項目め、子どもの虐待通報への対応について、お答えをいたします。

まず、1点目、明石こどもセンターへの虐待通報状況についてでございますが、本年4月の明石こどもセンター開設以降、多岐にわたり非常に多くの相談が寄せられています。中でも児童虐待に関する通告につきましては、窓口である児童相談所が市民に身近な基礎自治体である市が設置したことに加え、昨今の児童虐待根絶への市民意識の高まりもあり、関係機関からだけではなく、市民の皆様からも数多くいただいております。この4月、5月の2カ月間で、これまでかかわりのなかった新たな虐待の通告は80件余りあり、明石こどもセンター設置前に市で受けていた年間の件数と比較しても、非常に多くなっております。

2点目、3点目の、明石こどもセンターにおける児童虐待等の通報後の対応についてでございますが、法律上、児童虐待防止法第6条においても、虐待の事実が必ずしも明らかでなくても、一般の人から見れば主観的に児童虐待があったと思うであろうという場合であれば、通告義務が生じます。これは、子どもの命に直結する事案について、より幅広く相談を受けることにより、そのかすかな痕跡すら見逃さず、確実に対応していくためであり、通告内容が必ずしも明確でなくとも、虐待の通告に対しては漏れのないよう、全て適切に対応していくことになります。明石こどもセンターにおいては、このような児童虐待が疑われるような相談等があった場合は、虐待等の初期対応を専門的に対応するチームである緊急支援課が対応をしています。緊急支援課は、ケースワークを行う児童福祉司を初めとして、法的支援ができる弁護士職員、子どもや家庭に心の面から寄り添って支援する児童心理司、警察官のOB職員など、高度な知識や技術を持つ専門職員で構成されています。原則的な対応としては、通告や情報提供をいただいた方に、できるだけ詳細を確認した上で、関係機関とも連携しつつ、緊急支援課の職員が個別訪問等を実施します。その際、保護者に対しては、丁寧に訪問理由を説明の上、まずは必ず子どもに会って確認をし、保護者から状況を聞かせていただくこととしています。その上で客観的な基準に照らし合わせ、子どもの安全を早急に確保する必要があると判断した場合は、速やかに子どもの保護等を行っていきます。ただ、これらの過程において、こどもセンター職員による訪問を不快に感じる方もおられることを十分認識し、対応させていただくことも大切なことと考えております。

一方で、最近の全国で発生する痛ましい児童虐待事案等を踏まえると、たとえどのような相談であっても楽観視せず、徹底的に調査を行い、わずかな兆候を見逃さず支援につなげていく一定の厳しさを持つことは、子どもの命を守る最後のとりでである児童相談所としての最も重要な責務であるとも考えております。さらに、明石こどもセンターでは、子どもを一旦家庭から保護した後にも、子どもや家庭に対し、適切に継続した支援を行うことにより、子どもができるだけ住みなれた家庭や地域に戻り、安心して暮らすことのできる環境を整えるなど、一貫した取り組みをしっかりと行います。そこで、専門的な知識等を持った職員が相手の立場に立ち、直接お顔を合わせて丁寧に接していくとともに、抱えておられる子育て等の不安や悩みを相談していただけるよう、寄り添いの支援により相互の信頼関係の構築に努めてまいりたいと考えております。また、一人一人の子どもの状況や気持ちに寄り添った適切な支援を行っていけるよう、これらにかかわる職員の専門性の向上に常に取り組むとともに、外部の専門家やアドバイザーに、子どもの処遇等についての意見を聞くことも、積極的に行ってまいります。全ての子どもの命を守り、全ての子どもの幸せを実現するためには、保護者を初めとして市や学校、警察など関係機関、地域、企業など子どもを取り巻く関係者全てが同じ方向を向き、それぞれの役割への理解を深め、互いに力を合わせて取り組むことが大切です。

明石こどもセンターでは、保護者、地域、関係機関とのしっかりとした関係を構築した上で、ご理解、ご協力を得ながら、子どもの視点に立った支援を、職員一同、全力で取り組んでまいりますので、何とぞご理解賜りますようお願いいたします。

○議員(丸谷聡子)

では、2項目めですね、子どもの虐待通報の対応についての再質問をさせていただきます。3点目の、通報が誤報であった場合の対応について、誰がどのように対応するのかというのを、具体的にもう一度お聞かせいただけないでしょうか。

○こども局長(佐野洋子)

こども局長でございます。

調査の結果、虐待の事実がないというふうなことが、判明をしっかりとされるというふうなことが必要だと思うんですけれども、子どもを保護するような状況でない場合については、こども支援課という課の地域を担当するケースワーカーが担当させていただいて、何かお困り事がないか、何か相談事がないかという、支援の形でかかわらせていただくということになっております。

以上です。

○議員(丸谷聡子)

本当に子どもたちの命を守るためには、確かに誤報もあるかもしれませんが、きっとしつけのレベルなんだと考え、通報にためらったりしないでくださいというふうに、子ども虐待防止に取り組むNPO法人のホームページなんかにも書いてあるんですけれども、逆に子どもを育ててきた経験のある私自身としても、ちょっと大きな声で怒ってしまったり、それからホームページなんかに書いてあるお母さんの声であると、出産後、別の病気で入院したのですが、母親がいない寂しさから上の子が暴れ出すようになり、壁に頭をがんがんぶつけたりするので、マンションの住人から通報されたとか、学習障害のある長男に毎晩大きな声で勉強を教えていたら、児童相談所の人が来られてショックを受けたとか、そういった事例があるんですね。実際、誤報であったとわかった場合、やっぱり通報された側も、すごく心の傷がありますし、お聞きしたら外に、きっと近所の方が通報されたので、もう外に顔を出せないとか、近所づき合いができないとか、そういった悩み事もあるように思いますので、そういった通報された側の精神的なダメージをどう和らげるのかというのは、子どもの人権を保障するということもあると思いますし、誰一人取り残さないという明石市であれば、もう少しここのところに丁寧に取り組むことも必要かと思いますけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

○こども局長(佐野洋子)

こども局長でございます。

私どもの支援が、やはり反対に子どもの人権の侵害であったり、親御さんの精神的な負担になるということは、かえって悪いことでもございますので、やはり子どもに対しては、専門職である児童心理司がきちっと対応して、子どもさんの気持ちを十分に聞く、また親御さんに対しても、私ども、緊急支援課とは申しておりますけれども、そういった国が言う介入と支援というふうな立場ではなくて、とりあえず調査に入らせていただく場合も、親御さんの支援のため、相談のため、何か困り事がないかという立場で、しっかりとそういう思いを持って職員が対応することが、やっぱり一番必要かというふうに思っておりますので、そのような対応をこれからも心がけてまいりたいというふうに思っております。

○市長(泉 房穂)

丸谷議員からの大変重要なテーマについてのご質問でございますので、私のほうからも、少しだけ補足の説明をさせてください。

せんだって5月21日、国会の衆議院厚生労働委員会に呼ばれまして、参考人として、明石市の取り組みの説明をしてまいりました。そのときにも同様の説明をさせてもらいましたが、今のテーマの、いわゆる支援と介入という悩ましいテーマでございます。えてしてこれまで児童相談所がかかわると、それは介入であって、不名誉なことであるとか、子どもを取られる的な発想が言われてまいりましたが、明石市としては、そういった単純な構図ではなくて、やはり今の丸谷議員の出された事例も、やっぱり支援の必要な状況だと思います。つまり、こどもセンターとしては、さまざまな家庭、子どもや親御さんに対して寄り添って支援を申し上げていくという立場で考えております。

そういう意味では、明石市ではこの4月に立ち上がった児童相談所の一時保護所におきましても、そこからそれまでどおり小学生や中学生の子どもも、もとの学校に通えるような状況をやっております。すなわち子どもを奪ってしまって隔離する発想ではなくて、お母さん、お父さん、疲れているんであれば、少しお預かりさせていただいて、少し気持ちを落ちつかせていただいて、改めて仕切り直していただくと。そういった観点からすると、それは介入的にも見えますけども、ある意味、一時保護というのは親御さんに対する支援でもあると思います。非常にここは重要なポイントでありまして、明石市のこどもセンターが、介入一本やりの懲らしめるようなスタンスじゃなくて、あくまでも子どもに寄り添い、親御さんの大変な状況にしっかり寄り添って支援申し上げるという観点で対応しているつもりでございまして、今、佐野局長のほうからも話がありましたが、うちは緊急支援でありまして、基本的に介入して親を処罰する、懲らしめる的な発想ではなくて、しっかり支援をしていくという観点でやっておりますので、ぜひご理解よろしくお願い申し上げたいと思います。

○議員(丸谷聡子)

市長のお言葉と、それから先ほど局長が丁寧に寄り添い、支援においては相手の方と信頼関係を構築するというふうにおっしゃいましたので、その言葉、信じさせていただきますので、しっかりそういった意味で明石の子どもたちやお母さんも、保護者の方をサポートしていただきたいと思います。