第6次長期総合計画の策定について

令和元年第1回定例会6月議会(6月17日(月)) 質問3項目め

○議員(丸谷聡子)

3項目めは、第6次長期総合計画の策定についてです。

本市の長期総合計画は、2011年に策定された現在の第5次計画期間が2020年で終了します。次期、第6次計画の策定に向けては、本年3月4日に開催された総務常任委員会で取り組みの方針等が報告されましたが、その際、今後の取り組みとして実質的には2020年度の1年間で現行計画の検証と、次期計画の策定をするというスケジュールになっていました。長期総合計画は本市の将来を決める最上位の計画であり、2030年までの10年間の本市の方向性を示す重要な計画です。さらに自治基本条例が2010年に施行されてから初めての長期総合計画の策定になります。自治基本条例第26条には、市長は市政を総合的かつ計画的に運営していくための基本となる計画を、市民参画のもとで定めなければならないと規定されており、その逐条解説には、市民参画の仕組みについては、本条例で別途定めるところですが、総合計画の重要性に鑑み、市民参画のもとで策定されるべきことをあえて規定していますと明記されていることからも、長期計画における市民参画が特に重要であることがわかります。

次期総合計画の策定に当たっては、自治基本条例を遵守し、10年前よりも前進した市民参画手続が実施されるべきであると考えます。市民が当事者意識を持って、市民みんなでつくり上げる計画にするためには、時間を十分にかけて熟議を積み重ねる丁寧な市民参画のプロセスが必要です。また、次期計画にはSDGsを反映させるとのことですが、SDGsとはサスティナブル・ディベロップメント・ゴールズ、すなわち持続可能な開発目標と言われるもので、世界が抱える問題を解決し、持続可能な社会をつくるために国連で採択され、世界各国が合意した17の目標と169のターゲットのことを言います。17の目標には、貧困問題を初め、気候変動や生物多様性、エネルギーなど、持続可能な地球をつくるために世界が一致して取り組むべきビジョンや課題が網羅されています。そもそもSDGsはローマクラブが資源と地球の有限性に着目し、マサチューセッツ工科大学のデニス・メドウズを主査とする国際チームに委託して取りまとめた研究で、成長の限界として報告され、人口増加や環境汚染など、現在の傾向が続けば100年以内に地球上の成長は限界に達すると警鐘を鳴らしたことに端を発しています。すなわち、産業革命以降、急激に活発化した人間活動により、経済・社会の基盤である地球の持続可能性が危ぶまれていることを明らかにしたものです。

さらには、その後、1987年に環境と開発に関する世界委員会による報告書、我ら共有の未来で、持続可能な開発の概念が提唱されたことがSDGsの根底にあります。つまり、SDGsは豊かさを追求しながら地球環境を守るため、17のなりたい姿と、その達成するための169の具体的な達成基準が設定されているというものです。それにもかかわらず、本市のSDGsはその本質である環境問題について前向きに取り組む姿勢が見受けられません。市の西部においても、田畑やため池が減少し、計画性のない宅地開発が行われ、本年3月に完成した、明石の大切にしたい生きものリストに上がっている希少種は消滅の一途をたどっています。今後は、明石の環境をどのように未来につないでいくのか、鳥の目で俯瞰し、コンパクトシティとしてゾーニングしていくような政策展開が必要であると考えることから、以下の3点について質問いたします。

1点目は、策定に向けたスケジュールとプロセスについて。市民参画、市民意識調査の実施のプロセスだけでは不十分であると考えますが、市の見解を問います。2点目は、より多くの市民が参画できる工夫や仕組みについてです。自治基本条例に定められている市民の市政への参画や協働のまちづくり、情報の共有をどのように実現していくのか。計画策定は明石市民のまちを愛する心、シビックプライドを高めるよい機会でもあることから、若者から高齢者まで多くの市民が参画できる工夫や仕組みが必要であると考えますが、市の見解を問います。

3点目は、次期計画の方向性としているSDGsの反映について。SDGsは経済、社会、環境の統合的向上の実現を目指したものであり、CO2削減や再エネ推進、資源循環、生物多様性なども重要な目標です。次期計画にSDGsを反映させるとするならば、当然、豊かな自然環境を未来につなぐまちづくりを重点施策に盛り込むべきであると考えますが、次期計画におけるSDGsの位置づけと認識を問います。

以上、3項目についてご答弁よろしくお願いいたします。

○政策局長(横田秀示)

政策局長でございます。

私からは、ご質問の3項目め、第6次長期総合計画の策定についてお答えいたします。

まず、1点目の策定に向けたスケジュールとプロセスについて及び2点目の、より多くの市民参画ができる工夫や仕組みについて、合わせてお答えいたします。

次期計画となる第6次長期総合計画は、2021年から2030年までの10年間のまちづくりの方向性を定めるマスタープランとして、来年度中に策定することとしております。市民参画につきましては、まずは第一弾として、現行の計画策定時よりも4カ月程度早いタイミングで、現在、市民意識調査を実施しており、加えて今月からタウンミーティングの実施を計画しているところでございます。市民意識調査におきましては、前回の計画策定時の3,000人を上回る5,000人を対象に無作為抽出により実施中でございまして、いわゆるサイレントマジョリティーを含め、幅広い市民の皆様から、まちへの愛着度や住みやすさ、定住の意向など、まちづくり全体に対する評価や、今後強く推進すべき分野など、今後のまちづくりへの考えをアンケート形式でお聞きしております。調査結果は、現行の長期総合計画やまち・ひと・しごと創生総合戦略の推進状況の検証に活用するとともに、今後の重点的な施策展開の検討に生かしてまいります。さらに、市内5地区で開催いたしますタウンミーティングにおきましては、市民の声をしっかりとお聞きし、今後のまちづくりを進めていくため、市長が直接地元の皆様と意見交換を行ってまいります。各地区の課題のほか、現行の長期総合計画に基づき、これまで重点的に進めてまいりましたこどもを核としたまちづくりへのご意見や、今後のまちづくりとしてSDGs未来安心都市・明石の実現を掲げ、今年度から進める、いつまでも、すべての人に、やさしいまちづくりについてのご意見やご提案などをいただく予定といたしております。なお、今後も自治基本条例の趣旨を踏まえ、十分な市民参画の機会を確保していく考えであり、より幅広い方が参画できるよう、現在、さらなる市民参画につきまして、効果的な方法や実施時期を検討しているところでございます。市民参画条例で規定されておりますパブリックコメントの実施や、長期総合計画審議会の開催を初め、まちの未来を担う若い世代や各種団体等からもご意見を聞く場を設けるなど、さまざまな機会を確保していく考えでございます。長期総合計画の全体的なスケジュールなどにつきましては、9月議会でご報告させていただきたいと考えております。

次に、3点目の次期計画の方向性としているSDGsの反映についてでございますが、SDGsは2015年9月に国連サミットにおいて全会一致で採択された持続可能な開発目標であり、2030年までを計画期間として、誰一人取り残さない社会の実現を目指し、国際社会全体で取り組む17の目標を掲げております。国におきましては、政府一体となってSDGsを推進しており、全国的な展開に向けて、地方自治体においても積極的な取り組みが求められており、総合計画を初め各種計画の策定や改定に当たっては、SDGsの要素を最大限反映することが求められております。本市におきましても、これまで重点的に推進してきたこどもを核としたまちづくり、誰にもやさしいまちづくりの方向性はSDGsの持続可能、誰一人取り残さない、パートナーシップという理念と一致しております。また、SDGsでは社会、経済、環境という持続可能な発展の3側面について統合的に取り組むことで、一体的に解決することを目指すとされております。こうした社会・経済・環境面での相乗効果により、持続可能な発展を目指す考え方は、本市の目指すまちの好循環の拡大に合致するものとなっており、今後のまちづくりの推進に当たっては、SDGsの理念を一層反映していく考えであります。次期長期総合計画においても、基本構想や目標にSDGsの3側面へ統合的に取り込む理念や、対応する17の目標などを位置づけ、持続可能なまちづくりを進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくご理解賜りますようお願い申し上げます。

○議員(丸谷聡子)

では、3項目めの第6次長期総合計画の策定についてお聞きします。答弁から、再度確認なんですけれども、市民意識調査や今回開催されるタウンミーティングを、市民参画と捉えておられるというふうに受け取ってよろしいでしょうか。

○政策局長(横田秀示)

政策局長でございます。

今ご質問ありました市民意識調査、タウンミーティングについても、市民参画の1つというふうに考えておるところでございます。

○議員(丸谷聡子)

まず、市民の意識調査というのは、市民の声を聞くことはできると思うんですけれども、参画するということにはならないと思うんですけれども、これ単なる市民のニーズ調査ですから、市民参画のための必要な情報とか材料にはなると思うんですけど、これそのものが市民参画ではないと私は思うんですけど、いかがでしょうか。

○政策局長(横田秀示)

政策局長でございます。

市民意識調査の中の調査項目としまして、今後のまちづくりで推進してもらいたいこと、それからこれまでどんなことがよかったかというようなこともお聞きしておりますので、そういった意味では、きちっと市民の声を聞いて参画していただけるような1つかなというふうに考えております。

○議員(丸谷聡子)

定員100名で、それならば来られた方全員に意見をいただくような工夫は何か考えておられますか。

○政策局長(横田秀示)

政策局長でございます。

今回のタウンミーティングの進め方につきましては、当日ご参加の方からアンケートなどを事前にその場で提出いただいて、それに対してご意見を踏まえて、答えるところは答えるといいますか、ご答弁していきたいというふうに考えております。

以上です。

○議員(丸谷聡子)

私が申し上げたいのは、大事なことは市民参画をどう考えていくか、捉えていくかということなんですね。何でもかんでもパブリックコメントでも意見いただくだけで市民参画みたいに、市民参画という言葉をある意味利用するのはよくないというふうに思うので、いま一度、市民参画のプロセスって何かというのを、ぜひ考えていただきたいと思います。

さきにも述べましたけど、自治基本条例が施行されて初めての策定になるわけですから、施行前であった前回と同じでよいわけはないと思うんです。情報公開とか、情報共有も含めて、前の策定のときよりは前進していかないといけないと思いますけど、そのあたりの認識をお聞かせください。

○政策局長(横田秀示)

政策局長でございます。

市民参画については、大変重要であるという認識は当然持っております。前回と同じではなく前進することということでございますが、その点、どういった形で、どういった時期にやるかということを、より効果的になるような進め方はどういったものかということで、今、検討を進めているところでございます。

○議員(丸谷聡子)

まずは、第5次の検証から始めることが大事だと思うんです。その上で、検証した上で審議会の開催とかになるのではないかなというふうに考えますので、できるだけ早い時期にそういった検討を始める。検証ですね、まず検証を始められて、そして審議会では検証結果をもとに、総合計画づくりのあり方という検討のところから始めるべきではないかと思いますが、そのあたり9月議会でスケジュールを報告されるということでしたが、かなり時間も必要ですので、スピード感を持ってやらないと、時間的制約が優先して、議論がおざなりになるのではないかなと思いますが、そのあたりはしっかりスピード感を持ってやっていただけるんでしょうか。

○政策局長(横田秀示)

政策局長でございます。

今の第5次の検証につきましては、推進会議のほうで随時検証もしておるところでございます。今後につきましては、スピード感ということでございますが、その辺も適時適切に進めてまいりたいというふうに考えております。

以上でございます。

○議員(丸谷聡子)

ここはぜひ市長のお考えをお聞かせいただきたいんですけれども、これ10年に1回しかない、まち全体を総合的に市民とともに考える、またとない機会だと思うんです。ですから、ぜひ市民総参加のプロセスというのを目指してもらいたいなというふうに思います。市民の学びの機会、市政は身近であることに気づく機会であるとか、目の前の課題をあれこれ出すんじゃなくて、まち全体の見通しが立てられるような、そういう視野の広い市民を育てるというのも、この長総をきっかけにできることかなというふうに思ってますし、そういった課題解決を一緒にしていく中で、職員も力をつけていくんじゃないかなと思っているんですね。だから、これからの市政運営は、市民と協働でなければやっていけませんので、ぜひこの長総策定を機に、いま一度市民参画のあり方というのを問い直していただきたいですし、市長ご自身も10年前の長総の策定のときには、公募委員として審査会に入られていたというふうに記憶しておりますので、そういった思い入れは強いと私は思っておりますし、ぜひ時間をかけて明石の未来を我がこととして考える市民をふやす機会にしていただきたいと思うんですが、市長のお考えをお聞かせください。

○市長(泉 房穂)

市民参画という極めて重要なテーマについての、改めてのご質問でございます。今、議員のほうからもご紹介いただきましたが、まさに現時点における第5次長期総合計画、私自身が市民公募委員の1人として、その長期総合計画づくりにかかわらせていただきまして、まさに市民参画的な立場から発言をさせていただいた経験もございます。そういった観点で、私自身は市民参画というキーワードは極めて重要だと考えておるつもりでございます。

加えて、議員のほうからもご紹介あったSDGs、17の目標の最後のまとめの最後はパートナーシップでありまして、まさにみんなでまちづくりをしていくというのが、まさにSDGsの極めて重要な理念の1つだと思っておりますので、そういった観点からの重要性は認識している立場だと思っております。

もっとも悩ましいのは、市民参画のあり方という部分につきまして、例えばこの場も議会でございまして、市民の代表である議員の皆様方と情報を共有しながら、丁寧に熟議、まさに議論を重ねながらまちづくりをしていくという観点も大変重要でございまして、直接民主主義的な、ダイレクトに市民の声を反映させるのがいいのか、やはり丁寧にやっていくのがいいのかということも、テーマによってかなり違ってこようかと思います。そういった意味で、まさに長期総合計画につきましても、まさに議会の皆様と相談をしながら、どのような形で進めていくのかということを、しっかりとご相談申し上げたいなと思っております。

なお、私としては、既にこの6月15日の広報でも出ておりましたが、教育委員の公募であるとか、教育推進委員であるとか、例えば子育てモニターですね、登録いただいて意見交換を持つとか、できる限り多くのチャンネルを広げていき、市民がまちづくりに参画できる機会をふやしていくこと、それに加えて、できれば意思決定過程、すなわち方針とか大きな方向性を決めるのに、実質的に市民がかかわっていけるという観点は非常に重要だと思っております。もっとも、繰り返しになりますけども、まさに最たる部分が議会でもございますので、まさにこの市民参画というテーマは、二元代表制の一翼の議会との関係も含めて、どのように位置づけるかという大きなテーマだと思いますので、引き続き議会の皆様方と相談を続けてまいりたいと思っております。

○議員(丸谷聡子)

3点目ですけれども、このSDGsというのは17の目標というのは道しるべだと思うんです。その道しるべの先には目的がありますね。目的というのは、これ地球環境が持続可能な地球になるということが大きな目的で、そのための17の目標だと思うんです。再度市長にお聞きして申しわけないんですけれども、この経済、社会、環境の3面の統合的な持続可能なまちづくりに取り組むのであれば、私は、明石は豊かな自然環境を未来につなぐまちづくりを柱の1つとして、ぜひ重点施策に盛り込むべきであると考えますけど、そのあたりの市長の認識をお聞かせください。

○政策局長(横田秀示)

政策局長でございます。

具体的な計画に盛り込む場合の話ですので、私のほうからご答弁させていただきます。豊かな自然環境を未来につなぐまちづくりを重点施策にということでございますが、先ほどからちょっとご答弁申し上げておりますように、経済、社会、環境という3側面から効果的に取り組むということになっております。また、これまでも第5次長期総合計画におきましても、環境問題につきましては計画の中に既に盛り込んでおるところでございます。また、国におきましても、こういった環境に関する取り組みとして、優先課題に取り組むとして生物多様性、森林、海洋等の海洋保全というのも国のほうでは上げられておるところでございます。こうした今までの流れ、また国の考え方を踏まえまして、本市が進める今の、いつまでも、すべての人に、やさしいまちづくりという方向性と整合を図りながら、次期計画の策定に当たっては、3側面の1つとして環境面についてもよく検討して、反映について考えていきたいというふうに思います。

以上でございます。

○市長(泉 房穂)

改めて、環境は極めて重要であり、明石市、ご案内かと思いますが、既に例えばレジ袋の削減なども、県下で事業所との協定率がトップでございます。国のほうも、いわゆるレジ袋の有料化に踏み出そうとしている報道もある中で、明石市、もちろんやってる面はございます。アカウミガメ、そしてアカミミガメの対策とともに、支援とそして対応をやっている認識でございます。加えて、これからはまさにSDGsの第14番目の海の豊かさ、豊かな海づくりも明石にとって極めて重要なテーマであり、こういった観点も盛り込みながら、ぜひしっかりと議員のご指摘を踏まえながら対応してまいりたいと思います。