環境行政について

令和元年第2回定例会9月議会(9月13日(金)) 質問1項目め

○議員(丸谷聡子)

丸谷聡子です。発言通告に従い、4項目について質問いたします。

まず、1項目めは環境行政についてです。

世界の人口は70億人を超え、2050年には98億人に達すると予想されています。人間活動に伴う地球環境への負荷はますます増大し、人類の生存基盤である地球環境は存続の危機に瀕しています。こうした背景から、2015年に持続可能な開発目標、SDGsとパリ協定が採択され、世界は持続可能な社会に向けた大きな転換期を迎えています。国においても2018年4月に閣議決定した第5次環境基本計画には、目指すべき持続可能な社会として、私たち日本人は自然に対して畏敬の念を持ち、自然と共生する知恵や自然観を培ってきた伝統を踏まえ、経済成長を続けつつ、環境への負荷を最小限にとどめ、循環共生型の社会を目指すなどの方向性が記されています。このような国の動向と本市の平成30年度決算を踏まえて、以下の4点について質問いたします。

1点目は、循環型社会形成のための取り組みについてです。平成30年度は資源循環、ごみ減量対策においてどのような努力を行ったのでしょうか。特に使い捨てプラスチックについては、さきの議員の質問にもありましたが、取り組みが進んでいないと認識していますが、どのような対策を進めてきたのでしょうか。既に京都市ではレジ袋廃止とともに、プラスチックごみ対策としてマイボトルを推進する取り組みを進めています。本市における平成30年度の取り組みを踏まえ、今後の取り組みについて見解を問います。

2点目は、新ごみ処理場建設に対する取り組みについてです。新ごみ処理場建設について、平成30年度はどのような取り組みが進められたのでしょうか。私は、平成29年9月の本会議一般質問において、多額の費用がかかる事業だからこそ、透明性、信頼性を高めるために、早い段階で専門家や第三者が入った検討会を設置するなど、検討過程の見える化をし、市民にも情報を公開していくべきだと申し上げました。専門家を含めた検討会はいつ設置されるのでしょうか。一日も早い設置が必要だと考えますが、平成30年度の取り組みを踏まえ、今後の方針を問います。

3点目は、明石市地球温暖化対策実行計画(事務事業編)についてお伺いします。平成30年度の環境基本計画推進事業として、明石市地球温暖化対策実行計画(事務事業編)が作成されていますが、この成果をより実効性のあるものにするためには、本計画が基本方針とする公共施設の省エネ、再エネ導入推進を全庁的に進める必要があると考えます。市長が事務事業に対する温暖化対策を総括する環境管理総括者となっているカーボン・マネジメント体制についてどのように推進していくのか、同計画に対する認識と今後の取り組みについて、市の見解を問います。

4点目は、生物多様性あかし戦略の推進についてです。同じく平成30年度の環境基本計画推進事業の成果として、明石市の大切にしたい生きもの~明石市レッドリスト~がようやく完成しました。このリストができたことにより、明石市が施策として大切にしなければならない生き物と、その場所がはっきりわかるようになりました。この成果をより実効性のあるものにするためには、リストを活用し、神戸市などのように開発事業に対する適切な保全措置の制度化や市民への啓発等の取り組みが必要です。自然豊かな明石市を持続可能にするために、重要施策として展開していかなければならないことから、生物多様性あかし戦略推進に対する認識と今後の取り組みについて、市の見解を問います。

○環境部長(石角義行)

環境部長でございます。

私のほうからはご質問第1項目めの環境行政について、順次お答えいたします。

1点目の、循環型社会形成のための取り組みについてでございますが、平成30年度の資源循環、ごみの減量化対策につきましては、市民と行政をつなぐ地域の指導者として活動いただいておりますごみ減量推進員の会議や、ごみ減量推進協力員の研修会を開催するなど、ごみの減量化等に向けた意見交換や説明会を行うほか、明石クリーンセンターにおいて市内の小学校4年生を対象にした施設見学による環境学習や、一般施設見学者の案内を行うとともに、地域に出向いて環境講座を開催するなど、市民の皆様の環境に対する意識啓発に努めてまいりました。資源物の分別収集量の成果につきましては、資源ごみ2,776トン、紙類・布類1,849トン、廃食用油48キロリットル、小型家電34トンを回収しており、前年度と比べ増加傾向にございます。また、地域で取り組まれている再生資源集団回収活動では、古紙・缶・瓶などが5,688トン回収されリサイクルされております。プラスチックに関しては、海洋ごみが海洋生態系に大きな影響を与えるリスクが増大しており、国際的にも喫緊の課題として実効性のある対策が求められております。本市では、市民のライフスタイルや事業者のビジネススタイルが環境に配慮されるものとなる地道な取り組みとしまして、平成24年度より飲食料品スーパー等の事業者及び消費者団体と、レジ袋の削減に関する協定を締結し、レジ袋の無料配布の取りやめやマイバッグの利用を呼びかけております。今後のプラスチックごみに関する取り組みにつきましては、国の動向を注視しながら、先進市の事例を参考に、新たな取り組みを検討してまいります。

次に、2点目の新ごみ処理場建設に対する取り組みについてでございますが、本市の明石クリーンセンターは、平成11年に供用開始してから今年度で21年目を迎え、これからの手続や工事期間を考慮しますと、一般的な建てかえ時期とされる築後20年を大幅に超える稼働期間となることが確実な状況でございます。このため平成29年度から建てかえに向けた本格的な検討を開始し、同年12月の生活文化常任委員会におきまして、新ごみ処理施設は旧大久保清掃工場を解体し、その跡地に建てかえることが最も現実的であること、また、平成30年3月の生活文化常任委員会におきまして、次期ごみ処理施設建設に向けた明石市循環型社会形成推進地域計画の概要について報告し、一定のご理解を賜ったところでございます。明石市循環型社会形成推進地域計画は、同年3月に国から承認を受けまして、新ごみ処理施設の建設に向けた本格的な事業を開始したところでございます。平成30年度から着手しております生活環境影響調査は、新ごみ処理施設の稼働による周辺環境への影響について調査することを目的としており、建設予定地周辺におきまして気象、大気、騒音、振動、悪臭などについて現地調査を開始し、今年度におきましても継続して実施しているところでございます。今後はこの現地調査の結果などをもとに、将来の周辺環境への影響について予測、分析を行う予定としております。また、今年度からは新ごみ処理施設整備基本計画の策定に着手し、本計画の策定に当たりましては、技術的専門性の高い内容も含まれるため、学識経験者で構成する技術支援会議を本年10月から開催する予定としております。最終的には技術支援会議の助言をもとに、市職員で構成します庁内検討委員会において基本計画の案を取りまとめる予定としているところでございます。

次に、3点目の明石市地球温暖化対策実行計画(事務事業編)についてでございますが、国の地球温暖化対策計画では、2030年度に2013年度比で温室効果ガス排出量26%削減を目標と掲げ、地方公共団体に対し、組織を挙げた取り組みの強化・拡充を求めております。この26%という数値は、産業や家庭など各排出区分全体の平均値で、地方公共団体が属する業務その他部門におきましては、約40%の削減を求めております。これを受けまして、本市におきましても、市の事業活動により排出される温室効果ガスの一層の削減に取り組むため、エネルギーに関する施策を中心としました地球温暖化対策実行計画(事務事業編)を本年3月に策定し、推進体制の強化を図るなど、カーボン・マネジメント事業と位置づけた取り組みを推進することとしております。カーボン・マネジメントとは、カーボンから生じるCO2を中心とする温室効果ガスをマネジメント、いわゆる経営管理することで、温室効果ガスの排出抑制や削減に向けた取り組みを推進することを意味します。温室効果ガスの排出につながる主な要因としましては、エネルギーの使用が挙げられますが、市における電気やガス等の近年の使用状況としましては、設備の老朽化によるエネルギー効率の低下や、中核市移行による施設の増加などもあり、近年は増減を繰り返しながらですが、若干の増加傾向となっております。この増加傾向を減少に転じさせ、計画に掲げる削減目標を達成するには、全庁挙げ、徹底した省エネ施策の推進によるエネルギー使用の大幅な削減が必要となります。組織としての指揮系統を確立するとともに、職員個々の意識改革を進めるなど、カーボン・マネジメント体制の基盤強化を初め、費用をかけずに実施可能な節電対策として、エコオフィス行動の実践や設備機器の運用改善に関する周知、また老朽化等により設備更新が必要な場合は、価格だけを優先するのではなく、環境に十分配慮した上で更新機器の選定を行うなど、省エネ機器の導入促進について関係課への協力要請と協議を進めてまいりたいと考えております。さらには他都市における先進事例など、あらゆる新たな施策の実現可能性につきましても調査を進めてまいりたいと考えております。

最後に、4点目の生物多様性あかし戦略の推進についてでございますが、本市ではこれまで市内の里山・ため池・河川・海岸・沿岸地域を中心に、本市に生息、生育する生き物について、平成16年度から順次、調査してまいりました。平成28年度からは生物多様性あかし戦略推進会議や、明石市環境審議会自然環境部会と協議しながら、本リストの作成に向けた検討を開始し、平成29年度はこれまでの調査結果や既存の文献を集約しまして、市内で確認された動植物種、約2,500種についてデータベース化いたしました。平成30年8月からは、国や県のレッドリスト作成にも関与された経験があり、それぞれの分野において明石の生物多様性に造詣の深い研究機関や団体等の学識経験者による検討会議を開催し、生物多様性あかし戦略推進会議や、明石市環境審議会自然環境部会とも連携しながら、本年3月に完成したところでございます。完成した本リストは、市民に生物多様性を保全する重要性を理解していただくことが重要であると考えており、ホームページへの掲示や出前講座、学校園による環境学習や各種団体が行う自然観察会などで啓発しているところでございます。また、庁内に向けては関係部署へ本リストの内容を反映した自然環境調査データベースを提供し、情報の共有を図り、自然環境の保護・保全の配慮に努めているところでございます。

さらに現在、生物多様性あかし戦略推進会議により、啓発効果の高いパンフレットの作成を行っているところでございます。パンフレット作成後は、小学校の環境学習、地域まちづくり組織の行事、地元主催行事等、さまざまな活動の場で配布を行い、市民に身近に貴重な自然環境が存在することを知っていただき、保護・保全の大切さを啓発し、推進してまいります。

また、神戸市のように条例で開発事業への制限を行うことにより、自然環境の保護・保全に努めている事例がございます。この場合は私的財産に制限をかけることになってしまうという問題がございます。環境行政においては、環境配慮と経済活動のバランスという大きな課題がございまして、社会情勢等を勘案しながら、保護・保全について考えてまいります。

今後のさらなる取り組みとしましては、生物多様性あかし戦略に基づき、庁内の関係部署、明石市環境審議会自然環境部会、生物多様性あかし戦略推進会議、地権者、地域まちづくり組織、近隣事業者、学識経験者や研究機関等、さまざまな主体と意見を交わしながら、協働して施策を推進してまいりますので、ご理解賜りますようよろしくお願いいたします。

○議員(丸谷聡子)

それでは、再質問させていただきます。

さきの議員の質問への答弁もありましたけれども、まず1項目め1点目の、循環型社会形成のためのプラスチックごみの対策ですけれども、新たな取り組みを検討していくということでしたので、早急にお願いしたいと思います。京都市はいろんなお店とも連携して、マイボトル推奨店みたいなのをやったり、チラシにはちゃんとペットボトルバツというマークを入れたりして、マイバッグと併用でされていますので、そういったこともぜひ参考にしていただきたいと思っています。

1点目と2点目の新ごみ処理場建設の取り組みともつながるんですけれども、徹底的なごみの減量化ですよね、これを本気でやらないと、新炉の計画って立てられないと思うんです。今の現状で大きな炉を建ててしまったら、また今と同じような状態になりますから、ぜひとも徹底的なごみ減量を踏まえた上で、そうすれば建設費もランニングコストもメンテナンスの費用も、今後将来にわたって大きく変わっていくということですので、今年度から学識の会議、技術支援会議というのを計画されているようですので、そこでも話し合う俎上にのせ、徹底的なごみ減量化というのを検討すべきだと思いますけれども、そのあたりはいかがですか。

○環境部長(石角義行)

環境部長でございます。

ごみ処理施設の規模を小さくすれば、経費を少なくすることはできます。それはそのとおりでございますので、その意味でもごみの減量にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

以上でございます。

○議員(丸谷聡子)

徹底的なごみの減量化、そして新炉はそれを踏まえて検討していただきたいという意見をさせていただきたいと思います。

あと、3点目の明石市地球温暖化対策実行計画(事務事業編)ですけど、これとてもよい未来志向の計画ができてるなと思って見させていただきました。この計画を生かすためにも、これから公共施設のCO2を40%減らしていかないといけないんですよね。今や増加傾向にある段階で減らしていくというのは、かなり本気でやらないといけないと思うんですが、これから例えばできる新設の公共施設であるとか、大きな施設改修において、省エネとか再エネの対策というのはどのように進めていかれるのか、お聞かせください。

○環境部長(石角義行)

環境部長でございます。

公共施設の省エネ化は重要課題の1つと考えております。実行計画では建物自体の断熱性能の向上と合わせまして、省エネ機器の積極的導入について、十分検討した上で導入を図ることとしております。そのため、施設担当課や工事担当課などの関係課に対しまして、環境に十分配慮した建物仕様や設備機器の選定を進めるなど、協力の要請を行っていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○議員(丸谷聡子)

もうヨーロッパなんかでは、省エネというよりは、エネルギーゼロというような、そういう対策が進んでいますので、ぜひそういった先進的な志を持って、市役所庁内でしっかり根づかせていただきたいと思います。

4点目の、生物多様性あかし戦略の推進ですけれども、神戸市は市の条例で、開発事業に対する対策を明確にしています。制度化に取り組まれた当時の神戸市の職員さんにヒアリングさせていただきましたけれども、制度化は絶対必要だと言われていました。いろんな考えはさまざまあると思いますが、生物多様性の本質は何なのか。私たちも生物の一員として、持続可能な社会を築いていくために、生物多様性の保全を環境行政としてどうしていくんだということを、しっかり今後、検討していただきたいなと思ってます。そのためには、やっぱり市民の啓発ってすごく大事で、市民の皆さんが大事だと思わないと残っていかないと思いますので、そういう意味で今、つくられている啓発パンフレット、大変期待していますけれども、ぜひ小学校などの環境学習や教科横断的にできるような副読本のようなものを、しっかりつくってはどうかと思いますけど、いかがでしょうか。

○環境部長(石角義行)

環境部長でございます。

副読本の作成につきましては、教育委員会と相談しながら、何ができるか研究しているところでございます。副読本というのは長期スパン、10年とか使うものですので、それに限定せず、小学校などで配布可能な環境学習教材の作成も検討してまいりますので、よろしくお願いいたします。

○議員(丸谷聡子)

しっかり検討して、よろしくお願いしたいと思います。