ひきこもり相談支援課の取り組みについて

令和元年第2回定例会9月議会(9月13日(金)) 質問3項目め

○議員(丸谷聡子)

3項目めは、ひきこもり相談支援課の取り組みについてです。

私は、本年6月本会議において、ひきこもり専門の相談窓口の設置などの入り口支援の明確化が必要であることについて質問をいたしました。そして、7月1日から、あかし保健所内にひきこもり相談支援課が新設されました。6月議会でも申し上げたとおり、ひきこもりというのはその状態を指しますから、扱う問題も年齢も幅広く、専門的な知識や経験が必要です。また、心を開いてお話しできるまでには、かなりの時間がかかるケースも多いとお聞きしており、専門職の人材確保が重要であると考えることから、以下の3点について質問します。

1点目は、新設されたひきこもり相談支援課についてです。業務内容、職員体制、7月1日から2カ月余りの専門相談の実施状況について現状をお聞きします。

2点目は、ひきこもり状態にある当事者や家族からの専門相談事案から見えてきた、本市におけるひきこもり支援の課題について、市の見解を問います。

3点目は、ひきこもりの出口支援についてですが、大きく医療、福祉、就労の3つを考えての出口支援体制が必要です。しかし、そこに至るまでには行政がコーディネーター役となり、専門家、当事者、親の会、サポーター市民など、多様なセクションの連携協力体制の構築が重要になってくるのではないでしょうか。また、出口に行くまでの中間的な役割として、支援と核となる居場所が必要だと考えますが、市の見解を問います。

○福祉局長(野村信一)

続きまして、3項目めのひきこもり相談支援課の取り組みでございます。1点目から3点目まで、合わせてお答えいたします。

ひきこもりに関する問題は、ひきこもりが長期化して、ご本人が高齢化するとともに、親も高齢で働けなくなって困窮してしまうという、いわゆる8050問題がクローズアップされるなど、社会的な関心が高まる中、本市においては7月1日にあかし保健所内にひきこもりに関する相談に総合的に対応する専門部署、ひきこもり相談支援課を新設したところでございます。ひきこもり相談支援課では、現在、専門相談としてひきこもり専門相談ダイヤル、ひきこもり専門ウエブ相談を設置し、精神保健福祉士や保健師など、兼任を含む8名の職員が電話やメール、面接、家庭訪問により、お一人お一人の多様な状態に合わせた、できるだけ丁寧な相談を実施しているところでございます。7月設置以降、8月末日までの2カ月間の相談件数は、延べ248件、実人数は105名でございました。相談者はひきこもりのご本人とご家族からそれぞれ約4割、そのほか支援者等からが約2割となっており、ご本人の年齢は40歳代が最も多い状況となっております。7月に開設した当初は、5年未満の比較的ひきこもりの期間が短い方からの相談が多かったのですが、8月以降、徐々に10年以上ひきこもっている方からのご相談がふえてきています。相談内容は、就労を含む将来に向けての不安などが多いことから、障害福祉課や健康推進課などの関係部署のほか、ハローワークや若者サポートステーションなどの就労支援機関との連携のもと、継続的な支援を行っているところでございます。

ひきこもりは障害でも疾病でもなく、生きづらさがあらわれた状態であります。このためお一人お一人の状態やニーズの個別性に応じた支援が必要となると考えております。こうした個別性に柔軟に対応できるよう、今ある制度や仕組みを最大限活用し、円滑につないでいくことが、現在の課題と認識をしております。今後、誰一人取り残さない丁寧な支援を実現するため、庁内関係部署及び関係機関との連携強化を図り、また地域とも協働しながら、ひきこもりのご本人とご家族への支援をさらに強化をしてまいりたいと考えております。

以上、ご理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。

○議員(丸谷聡子)

では、3項目めの、ひきこもり相談支援課の取り組みについての再質問をさせていただきます。今のご答弁から、2カ月間で相談の延べ件数が248件、実人数105名、当事者と家族からの相談が4割以上と、私自身も予想以上に多いなというふうに驚きました。それだけ何とかしたいと思っている当事者の方とか家族の方がおられたということのあらわれだと思うんですね。専門相談窓口ができて本当によかったなと思っています。

今後はやっぱり入り口ができたら出口支援というのは必要だと思うんですけれども、そのあたりはもう少し具体的に、出口支援をどのように考えておられるかお聞きしたいと思います。

○福祉局長(野村信一)

福祉局長でございます。

出口支援についてのご質問でございますが、まず支援に関しては、やはりひきこもりの方への支援としては、一番配慮すべき点は体の健康と心の安心感を持って暮らしていただけるようにということだと思っています。それに関しまして、先ほどご案内いただきましたけれども、医療・福祉・就労、さらには教育等との連携を総合的に図っていくということが大事だというふうに思っております。ただ、ひきこもり支援に関しましては、支援は急ぐ必要がありますが、出口は決して急がないということも基本だろうというふうに思っております。そうした配慮の中で、前を向いて暮らしていただけるように、ひきこもり相談支援課がこの問題を一元管理をして対応するのではなくて、市として総合的に、先ほど申し上げましたが、障害や疾病ではございませんので特別ではないと、ひきこもりは特別ではないという認識のもとに、今後は総合的に市として多角的にかかわっていく必要があると思います。その中でお話がございましたが、居場所に関しましては、福祉部局の窓口が支援を強化するのは、これはもう当然でございますけれども、それ以外の公共施設についても、このひきこもりの方が何か関心を寄せていただけるように関連づけるといった視点も加えながら、ひきこもりで苦しんでおられる方の、少しでも明るい先というんでしょうか、そういったものを一緒に見つけていきたいというふうに思っております。

以上です。

○議員(丸谷聡子)

これは市長にお伺いできたらと思うんですけれども、今、局長から、出口は急がないというお話がありましたけど、やっぱり出口は急がなくてもつくっていかなければならないと思うんです。やっぱり居場所であるとか、家族支援であるとか、それからやはりいろんな関係機関に丁寧に、例えば明石市内におられる精神科医の先生方とも連携をとっていくためには、訪ねて行ってしっかり関係を構築していくとか、丁寧な取り組みが私は必要かなと思っているんですけど、そういう意味では、今の人員配置だけでは、8人という人員配置で、そのうち半分が従来の仕事と兼務というふうにお聞きしてますので、そういったことも含めて、今後このつくられた、ひきこもり相談支援課、どのようにしていこうと思われているのか、ちょっとお聞きしたいと思います。

○市長(泉 房穂)

丸谷議員からのひきこもりに対する再度のご質問でございますけれども、ひきこもりにつきましては、もうさきの6月議会におかれましても、複数の議員からもご質問もいただいた経緯もありまして、市長としてもこれは大変重要な問題であり、早急にしっかり窓口を設置し、相談しやすい環境整備が重要という観点から、年度途中ではございましたが、ひきこもり相談支援課という形で保健所内にて窓口があることを、しっかり市民にも広報させていただいた経緯がございます。そういった中で、今、議員のほうからもご紹介ありましたが、数多くの方、ご本人からの相談も多うございまして、しっかりとそういった窓口を設置した意味はあったと考えております。

この問題につきましては、非常に重要であり、かつ容易ではないテーマだと思っております。前提として、私の思いとしては、ひきこもりだけではございませんけども、日本社会のいろんな課題の中の1つとして、やはり家族に対する支援が大変不十分でございまして、法は家庭に入らずとか、本人と家族の責任という発想の強い社会でございましたので、なかなか総合的な家族支援がしっかり位置づいているとまでは言いがたい状況でございます。そういった中で、明石市としてはしっかりとご本人とその家族を総合的に支援していくという観点から、この間も取り組んでおりまして、そういう意味では、議員の質問にもございました地域総合支援センターなどとの連携なども大変重要になってくると思っております。

2つ目の課題は、やはり我が社会、多様性に対して非常に不寛容でございまして、ひきこもりにつきましても、ひきこもりが即だめなわけではなくて、ひきこもり状態であっても在宅での仕事も可能かもしれませんし、さまざまな可能性というものを探っていく必要があると。不登校も関係するんですけども、不登校イコールだめではなくて、そういった別の学校以外の学びの場の保障という観点も必要かと思いますので、そういう観点からしても、ひきこもりにつきましては、こうでなきゃいけないではなくて、お一人お一人、そのご家庭ごとの、しっかりそれに即した支援というものを、引き続きしっかりやっていく必要があると強く思っております。

そして、もう1つ大きな課題は、やはり連携不足。縦割り行政とよく言われますが、このあたり、明石市とてまだ過渡期でございます。しっかりと幅広く関係のところはつながっていく必要があると思っておりますので、議員のご指摘、非常にごもっともでございますので、それも踏まえまして、しっかりこれからも対応していきたいと考えております。

以上でございます。