不登校児童生徒への切れ目のない支援について

令和元年第2回定例会9月議会(9月13日(金)) 質問4項目め

○議員(丸谷聡子)

4項目めは、不登校児童生徒への切れ目のない支援について。

私は、不登校児童生徒の支援について、本市における重要課題の1つと考え、本会議や委員会において幾度となく質問をし、改善を求めてきました。しかし、不登校は減るどころか増加している現状があります。なぜ明石の不登校率が高いのか。どうすれば誰一人取り残さない教育ができるのか、その答えを求めてこの間も何人もの不登校状態の児童生徒、保護者、支援者の方から直接お話を聞いてきました。その中には、不登校対策の本質や多様な学びに対する認識について、学校現場とそごがあると思われる事例も見られ、学校の対応次第では不登校にならなかったかもしれない、こんなことがあったら私だって不登校になると思うケースもあり、愕然としました。誰一人取り残さない教育、ワンチャンスを逃さない体制づくり、自治体として新しい発想で多様な学びの場づくりをしなければならないとの強い思いから、以下の4点について質問いたします。

1点目、本市における不登校児童生徒の現状について、平成30年度の現状をお聞きします。

2点目、不登校児童生徒に対する支援のあり方について。本市が導入している不登校支援システムA-TASSは、不登校3日目には学校長から教育委員会に書類が提出されることになっているそうですが、十分に活用され、不登校初期段階で防ぐことができているのでしょうか。また、適応指導教室の検証や改善は行っているのでしょうか。利用者の声は反映されているのでしょうか。今後は教育支援センターや夜間中学の設置など、新しい視点で支援の幅を広げていく必要があると考えますが、市の見解を問います。

3点目は、教育機会確保法に対する周知について。義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律、いわゆる教育機会確保法は、文科省から出ている不登校児童生徒への支援に係る通知は、学校現場において周知徹底されているのでしょうか。不登校児童生徒が多く在籍する場合は教員を加配するなど、学校現場における環境整備はできているのでしょうか、市の見解を問います。

4点目は、多様な学びを保障する支援や居場所づくりについて。不登校問題を抱える家族や当事者、支援者から、経済的理由でフリースクールに通いたくても通えない、適応指導教室の指導が合わないので通いたくない、学校に行けないのに小学校の敷地にある適応指導教室には通いづらい、中学卒業後の支援がないなど多くの課題をお聞きしています。また、性的少数者LGBTに対する理解が得られないために不登校になるケースもあるとお聞きしています。これらの課題解決のために、さらには3項目めで質問したひきこもり状態になることを未然に防ぐためにも、大阪市の助成制度のような経済的支援や、生きる力を育む公的な居場所が必要だと考えますが、市の見解を問います。

○教育局長(北條英幸)

教育局長でございます。

私のほうからは、ご質問4項目めの不登校児童生徒への切れ目のない支援について、順次お答えいたします。

まず、1点目の本市における不登校児童生徒の現状についてでございますが、不登校児童生徒とは、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくてもできない状態にあるために、年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的理由によるものを除いたものと文部科学省の実施する調査において定義されております。本市におきましては、平成30年度の小中学校における不登校児童生徒の割合は、過去最も高い数値となっており、小学校で0.51%、中学校では4.51%となっております。特に中学校での不登校の割合は全国平均を上回る状況が続いており、本市の教育課題の1つとなっております。

次に、2点目の不登校児童生徒に対する支援のあり方についてでございますが、不登校児童生徒への支援につきましては、学校に登校するという結果のみを目標とするものではなく、児童生徒がみずからの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要がございます。児童生徒にとっては不登校の時期が、休養や自分を見詰め直すなどの積極的な意味を持つことがある一方で、学業のおくれなど社会的自立へのリスクもあると考えることから、教育委員会といたしましては、本格的な不登校になる前の早期段階における対応に重点を置きましたA-TASSの活用を初め、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの学校配置を行い、心理的、福祉的な面からの支援を行っているところでございます。また、学校外の学びの場としまして、教育支援センターの役割を担う適応教室、もくせい教室の運営を行っており、年々、通所生が多くなる状況を踏まえまして、今後はもくせい教室の施設拡張や、スタッフの増員等について検討を図る必要があると考えております。加えまして、もくせい教室のほか、一般生徒の参加も可能な校外の体験活動、もくせいサテライト教室の実施や、県立清水が丘学園、県立但馬やまびこの郷などと連携を図るほか、フリースクール等についても情報提供を行うなど、教育委員会と学校とが連携を図りながら、個々の児童生徒に寄り添いつつ支援に当たっているところでございます。

次に、3点目の教育機会確保法に対する周知についてでございますが、平成28年12月に公布されました同法につきましては、平成29年2月に学校に周知して以来、校長会や学校訪問、研修会等で繰り返し趣旨や内容等について浸透を図ってまいりました。不登校児童生徒が学校で安心して教育を受けられるための環境整備として、不登校指導の担当教員の加配を県に申請し、現在、6名の加配教員を6中学校に配置するほか、市費で生徒指導相談員を全中学校ともくせい教室に配置しております。また、中学校の校内適応教室や小学校の保健室や相談室、図書室等の別室等の環境整備を進めるなど、さらなる支援の充実を図るための対策を講じてきております。今後は中学校加配教員の増員をさらに県に働きかけるほか、教室に入りづらい児童生徒が安心して学習を行える適応教室や別室の環境整備にも努めてまいりたいと考えております。

4点目の、多様な学びを保障する支援や居場所づくりについてでございますが、学校以外の多様な学びの場、居場所づくりとしまして、本市では適応教室、もくせい教室の環境整備と支援の充実を図るとともに、校外での体験活動を目的としました、もくせいサテライト教室の内容の充実、加えてフリースクールなどとの連携やICT等を活用した学習活動を行った場合の積極的な対応について、校長会や研修会等で周知を行い、学校以外の場における支援の充実を図ってまいります。さまざまな状況に置かれている児童生徒の課題を解決するための多様な学びを保障する支援や居場所づくりにつきましては、その必要性を教育委員会としましても十分認識しているところではございますが、まだまだ検討が必要であると考えております。今後も学校や関係機関との連携をさらに深め、不登校児童生徒の社会的自立に向けた切れ目のない支援を、より一層充実させてまいりたいと考えておりますので、よろしくご理解のほどお願いいたします。

以上です。

○議員(丸谷聡子)

それでは、4項目め、不登校児童生徒への切れ目のない支援について再質問させていただきます。

国よりも不登校率が高いということで、しかも年々ふえていると。A-TASSという早期に不登校を防げるような、そういう仕組みもシステムも入れてるという中でふえてるということなんですけれども、私がいろいろお聞きする中で、せっかく登校したけれど、そのときに上手に何か対応することで、ずっと引き続き登校できるような体制ができていれば、何か随分変わったんじゃないかなと思うようなお子さんのお話を多く聞きます。せっかく行ったけど、何か自分は必要とされてないんかなとか、対応できないから帰ってと言われたケースも聞いています。なので、そういったワンチャンスを本当に逃さない体制づくりをしっかり学校で根づかせてほしいんですね。学校がきちっと本当に子どもたちの安心・安全な場所になった上で、さらにさっき市長が言われたように、学外での多様な学びも保障していく必要があるので、まずはそういう学校の先生方の意識、学校の教職員みんなで全ての生徒に向き合うという体制づくりをつくっていただきたいなと思うんです。そのあたり、ちょっと教育長のお考えをお聞きしたいんですけれど、いかがでしょうか。

○教育局長(北條英幸)

教育局長でございます。

議員のご指摘のとおり、やはり生徒のわずかなサインですね、そういったことを見逃さないということは、これは重要だと思います。やはり、これは不登校に限りませんけれども、先生方お一人お一人、子どもたちをきめ細かく見ていただくということは、これは大事なことだというふうに思います。

そういう意味では、現行の体制でいえば、1つは県費負担教職員でいうと生徒指導支援加配というのが配置されておりますし、生徒指導相談員というのが市の単独の措置としてやっているということでございます。それに加えて、やはり不登校もそうですし、最近はやはりいろいろ特別な支援が必要なお子様たちもふえてきて、そういう意味では一人一人のお子さんをそれぞれ全ての教員が共有して、きめ細かく対応していくというためには、やはりかなり限界が来ている部分もございます。そういう意味では、やはり何らかのお一人お一人のお子さんをきめ細かく把握して、ケアしていけるためのシステムづくりといいますか、そういうことはこれからの課題なんだろうなと思っております。いずれにしましても、やはり子ども一人一人をきめ細かく見ていくということは、これからも重要なことではないかというふうに認識しております。

○議員(丸谷聡子)

これから、いいか悪いかは別として、AIの力をかりて、いろんな議員が議論されてます統合型校務支援システムとか、そういうことも考えながら、トータルで学校の中で子どもたちの状況が共有できるようになったらいいのかなというふうに、今の答弁を聞いて、教育長の答弁を聞いて思いました。

もう1つ、さっきの答弁の中で何回も出てきたのが適応指導教室、もくせい教室のことだったんですけど、もう何か全てが不登校の対策はもくせい教室でできてるように聞こえてくるんですね。本当に私がショックだったのが、もくせい教室に行かせた保護者の方が、もくせい教室に行かせたことをとても後悔していますと、もくせい教室に行ったことで、余計学校からの距離ができてしまったというような声も聞いていますし、もくせい教室に行くと、学校に戻ることばっかりを勧められるというようなお話も聞いています。今のもくせい教室って学校に戻すことをすごく意識し過ぎているんじゃないかなと思うんですね。だから、戻れ戻れと言わなくても、自分に自信がつけば自然に戻れる子は戻れると思うし、やっぱり戻れない子はいろんな居場所を用意してあげないといけないなと思っているんです。

実際にフリースクールの連携と言われてましたけど、フリースクールも費用がかかりますし、交通費もかかりますから、それが理由でやっぱり行けなくなってしまった、途中でやめたっていうお子さんの声も聞いています。そういう意味では、何度も申し上げますけど、ぜひとも公的な公設の居場所が必要だと思いますし、それから中学生だけでは終わらない、明石はこども総合支援条例で、二十歳の子どもまでしっかり支援するというふうに定義されてますから、切れ目のない不登校支援をするためには、そういったさまざまな施策と知恵を絞っていただきたいと思うんですけれども、そのあたり、市長、お考えを聞かせてください。

○市長(泉 房穂)

教育局長でございます。

いきなりの質問でございますが、既に答弁申し上げましたように、私としては、ひきこもりもしかり、不登校もしかりですが、それは常態的な状況でございますが、それがいけないという価値判断じゃなくて、それも含めて。ただ、もっとも学校に行こうと思っている方は行きやすい環境整備、学校に行きにくい方は学校に行かなくても学びを保障していく観点が重要だと考えております。そういう観点からは、大変悩ましい課題ではございますが、例えば明石市、不登校率が高いという形で全国平均と比べられるんですが、どうしても数字を追いかけますと、その数字を減らしたいがゆえに無理をして子どもに強引な形になりかねない面もございますので、余り数字のみを追いかけるというよりは、一人一人の子どもに即したような学びの場の保障というものを。ただ繰り返しになりますが、学校に行きたいお気持ちの子どもさんには行きやすい状況ですし、もうしばらくしんどい方は、その間にいわゆる勉強がおくれないように、そういう状況であったとしても、社会的ないろいろな部分が学べるような環境整備ですね、それをあわせてやっていきたいと思っております。

また、不登校につきましては、不登校に派生する課題もよく指摘されております。例えば、不登校の期間が長くなりますと出席日数が非常に少なくなってしまいますので、いわゆる内申点などに影響がないとも言えません。そういったさまざまな不登校にまつわる課題につきましても、何か対応可能なことがあるかないか、検討していきたいと考えております。

以上でございます。