(仮称)あかしインクルーシブ条例の検討状況について

令和2年第1回定例会3月議会(2月27日(木)) 質問1項目め

○議員(丸谷聡子)

丸谷聡子です。発言通告に従い、以下の4項目について質問いたします。

まず、1項目めは、(仮称)あかしインクルーシブ条例の検討状況について。

平成30年8月から始まった(仮称)あかしインクルーシブ条例検討会は、その趣旨を、これまでの障害者施策の取組をまちづくりという幅広いフィールドの中で、より実効性の高い施策へと導くとともに、全ての市民が安心して暮らせるまち明石を実現するために、今後の包括的指針となる新たな条例を制定するとしています。インクルーシブは、直訳すると包括的とか、包摂的という意味になるようですが、明石が目指す包括的、包摂的な社会とはどのような社会なのでしょうか。条例素案の目的には、全ての市民が大切にされ、誰もが取り残されることのないインクルーシブ社会を実現することと書かれています。市民の皆さんからは、インクルーシブという言葉は、ユニバーサル、バリアフリーとどのように使い分けているのか、また、明石市障害者に対する配慮を促進し誰もが安心して暮らせる共生のまちづくり条例、通称、障害者配慮条例とどのように違うのかよく分からないという声をお聞きすることから、以下の2点について質問いたします。

1点目は、条例が目指すインクルーシブ社会とはどのような社会なのでしょうか。この条例ができると何が変わるのでしょうか。障害者配慮条例との違いを市民に分かりやすく伝える必要があると考えますが、市の見解を問います。

2点目は、地域に根差したインクルーシブ社会のまちづくりを実現するためには、市民の理解や参画、協働が重要です。しかし、条例の検討委員会の委員は障害者団体の方々がほとんどで、それに事業者と行政、学識経験者という構成になっています。この条例が、全ての市民が大切にされ、誰も取り残されることのないインクルーシブ社会を実現することが目的であるなら、高齢者、外国人、性的少数者、学校に行きづらい子どもたち、まちづくりに関わる地域の方々など、できるだけ広く市民の声をお聞きするための対話や意見交換の場が必要ではないでしょうか。市の見解を問います。

○福祉局長(野村信一)

福祉局長でございます。

ご質問1項目めの、(仮称)あかしインクルーシブ条例の検討状況について、まず1点目の条例が目指すインクルーシブ社会についてお答えいたします。

平成28年4月に施行いたしました障害者配慮条例は、時を同じくして施行されました障害者差別解消法の実効性を高めるために、具体的な制度運用等について定めた条例で、障害を理由とした差別を解消していくことで、共生社会の実現を目的として制定いたしたものでございます。現在検討中の(仮称)あかしインクルーシブ条例は、障害者配慮条例等に基づいて、これまで進めてきた取組を踏まえまして、福祉分野だけではなく、様々な分野の内容について定めることで、地域生活の中で必要とされる具体的事業を一層推進していくための指針にしようとするものでございます。この条例を市政の包括的な指針として位置づけることで、SDGsの基本理念でもある誰一人取り残さないという方向性に基づき、行政各分野において計画策定や制度設計、具体的事業の推進等が図られるものと考えているところでございます。ご指摘の、市民の皆様により理解を深めていただけるよう、周知の際には広報紙やポスター等に加え、子どもでも分かるように、分かりやすい版条例リーフレットの作成や、出前講座を活用した地域での説明など、より丁寧に分かりやすく周知をしていきたいと考えています。引き続き市民の皆様のご理解をいただきながら、障害のあるなしにかかわらず、全ての人が暮らしやすいまちづくりを進めていくことで、いかなる立場に置かれた人も尊厳が守られ、誰一人取り残されることなく誰もが安心して暮らし楽しむことができる社会、子どもからお年寄りまで暮らしづらさを抱えている人や、その家族を含む全ての人が大切にされる社会を目指してまいります。

2点目の、地域に根差したインクルーシブ社会のまちづくりを実現するためには、市民の皆様のご理解と幅広い市民参画が重要であることは認識をしております。これまで開催を重ねてまいりました条例検討会では、公開形式で市民の皆様にも傍聴にお越しいただき、その後にご意見をいただいているところでもございます。また、条例検討とともに、市民フォーラムや体験交流イベントを実施したほか、出前講座、高齢者大学など地域に出向いて対話を意識した啓発も行ってきたところでございます。さらには、当事者の皆様や支援者の方々と直接お話をする機会も数多くつくってまいりました。今後も、このような様々な交流を対話の機会と捉えるなど、幅広い手法で市民の皆様の参画を得ながら、インクルーシブ社会の実現に向けた理念を、広く分かりやすくお伝えしていきたいと考えております。ご理解賜りますようよろしくお願いいたします。