気候非常事態宣言後の具体的な取組について

令和2年第1回定例会6月議会(6月15日(月)) 質問2項目め

○議員(丸谷聡子)

2項目めは、気候非常事態宣言後の具体的な取組について。

この4月27日、28日、ドイツとCOP26議長国のイギリスが主催し、日本を含む約30か国の閣僚が出席して開催された、ペータースベルク気候対話において、感染症によってダメージを受けた社会・経済を、パリ協定とSDGsの考え方を軸に、脱炭素で災害や感染症に強靭な社会・経済にしていくことや、生態系と生物多様性を保全するグリーンリカバリー、緑の回復を推進することの重要性について議論がなされました。また、世界の多くの研究者が、近年の感染症のほとんどが人間、動物の種を超えて感染するウイルスによるもので、こうした病原体の出現の速度は急速に増しており、それは人間活動や気候変動による生態系の破壊など、環境の変化に起因すると指摘しています。このようなことからも、コロナ後の社会と経済は、元のありように戻るのではなく、脱炭素社会に向けて待ったなしのシフトチェンジをしなければなりません。そこで2点、質問いたします。

1点目、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、気候非常事態宣言に関する具体的な取組を次年度以降に延期するとしています。なぜ非常事態の取組を延期するのか、市の見解を問います。

2点目、本市が気候非常事態宣言後の取組のスタートとしている地域循環共生圏構築において、コロナを経験した今、確実に前に進めなければならない最重要課題は、地産地消、すなわち食料の自給と生物多様性の保全、すなわちグリーンリカバリーと言われています。本市において、食料の自給は農業・漁業という第一次産業を持続可能にしていくために具体的な施策を進めていくことですし、グリーンリカバリーは、森林がほとんどないのですから人為的にCO2の吸収率を上げる仕組みをつくるしかありません。そのためには市内の事業所さんにも御協力頂き、新しい発想で緑の在り方についても議論をしていかねばなりません。未来を見据えた、トータルでの地域ビジョンが必要です。気候非常事態宣言は、宣言しただけでは意味がありません。このような状況下だからこそ、どのような地域循環共生圏構築を目指して、先進的で具体的な取組を展開していくかが問われているのだと思います。これらの課題に対して、市はどのように取り組んでいくのか、認識と見解を問います。

○環境部長(石角義行)

環境部長でございます。

私のほうからは、御質問第2項目め、気候非常事態宣言後の具体的な取組についての1点目と2点目について、順次お答えいたします。

まず、1点目の本年度の取組を延期することについてでございますが、市といたしましては、気候非常事態宣言後の取組を全て延期するのではなく、新型コロナウイルスの感染リスクを伴うものについては、実施時期を延ばすこととしたものでございます。このため、今年度予定しておりました家庭用燃料電池及び蓄電池設置への助成、周知のための啓発イベント等については延期することといたしました。気候非常事態宣言は、市議会の全会一致で採択していただいており、市として重く受け止めているところでございます。コロナ禍においても気候非常事態が変わるものではなく、宣言後の取組は市としても重要な位置づけをしておりますので、進めていくものと考えております。また、政府は6月12日に閣議決定した2020年の環境・循環型社会・生物多様性白書において、初めて気候危機という言葉を使用するなど、危機的状況を国民に発信しております。これらのことから、今後の推移を見極めながら、このような状況においてもできることは先送りすることなく、その方策について検討し、宣言に掲げた目標達成に向けまして取り組んでまいります。

次に、2点目の地域循環共生圏構築の考え方についてでございますが、地域循環共生圏は自立分散型社会の形成と地域特性に応じた資源を補完して支え合うことによって、地域の活力が最大限に発揮されることを目指すものでございます。地域循環共生圏の構築によりまして、環境、経済、社会の統合的な向上が図られるとともに、気候非常事態宣言の最大の目標である脱炭素の実現においても、有効な方策と認識しております。今後、食料の自給や緑の回復も含め、明石の地域特性に応じた地域循環共生圏の構築について、関係課と連携を図りながら検討を進めるための準備をしてまいりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。

○議員(丸谷聡子)

2項目め、気候非常事態宣言後の具体的な取組についての再質問をさせていただきます。

先ほどの答弁で、感染リスクを伴うものについては次年度以降に延期するという御答弁だったと思いますけれども、この家庭用燃料電池や蓄電池の設置は、感染リスクを伴うような事業なんでしょうか。

○環境部長(石角義行)

環境部長でございます。

感染リスクを伴うものかどうかということですけども、この電池の助成につきましては、今、申請ができる人も、コロナで困っていて申請できない人にも公平となるよう、助成金の申請のスタートラインをそろえまして延期したものでございます。それと、申請においては密になるというようなことも考えられますので、それらを考慮いたしまして次年度に延期とさせていただいたものでございます。

以上でございます。

○議員(丸谷聡子)

できる市民の方からやっていただいたらいいんじゃないかなと思いますし、申請においても、こういう時期ですから、電磁的な方法を使えば十分できると思いますので、その辺は知恵を絞っていただきたいというふうに思います。

当初、地域循環共生圏の検討は次年度以降に延期するというふうに所管事務報告のほうで書かれていたと思うんですけど、先ほどの答弁では、延期ではなくって関係課と連携を進めるために準備をしていくというような答弁でしたけれども、この地域循環共生圏の構築の検討については、今年度も進めていくという認識でよろしいでしょうか。

○環境部長(石角義行)

環境部長でございます。

検討という言葉がちょっと誤解を招いたということで、この検討といいますのは、業務の委託を次年度以降に延期するということで、形のあるものとして成果物となりますのは、次年度以降になるという意味でございます。申し訳ございません。今年度は、その業務委託をするにあたりまして、庁内関係課と連携して検討を進めるための準備をしていきたいということでございます。

以上でございます。

○議員(丸谷聡子)

市長にお聞きしたいんですけれども、3月に兵庫県で初めて気候非常事態宣言をされて、すごく注目されています。4月から地球温暖化対策担当課長という職もできて、いよいよこの宣言に書かれているところで具体的な取組を進めていくというふうに、市民の方も大変期待されているんですけれども、こういったコロナの関係で、そのスピードを落とすというのはよくないと思うんですが、市長としてのお考えをお聞きしたいと思います。

○副市長(和田 満)

副市長の和田でございます。

本当にいろんな重要な施策がいっぱいございまして、市としてもそういう施策はしっかりと進めていくわけですけども、やはり職員をそういったコロナの対策にもシフトしたり、この人事異動も6回ほどさせていただいていますけど、そういった形で、今すぐに必要な施策、事業は何かということで、まずはコロナの対策から進めていったわけでございます。そうした中で、止めてるわけではないですけども、やはりちょっとスピード感が落ちている部分もございますけども、そこはまた今後、コロナの状況を見ながら、進めていくものは進めていきたいというふうに考えております。

○市長(泉 房穂)

丸谷議員からの再度の質問でございます。まず、大前提として、私自身の考えとしては、やはり明石市の市長としても、地球全体にしっかりと意識をした対応を取る必要がありますし、まさに明石の市議会においては、気候非常事態宣言も全会一致にて御決議頂いた経緯もございますので、しっかり取り組む、明石市にとっても最重要テーマの1つだという認識は変わりはございません。

今、副市長から少し御答弁申し上げましたが、ただ率直なところ、やっぱりこの3月以降のコロナ対策で、明石市全体の職員の構造も、様々なコロナ対策のところにかなり人事的にも異動したり、対応を取ったりしておりますので、実際のところ職員はかなり異動しておりまして、とりわけコロナ対策で本当に必要な緊急対策に人がたくさん行ってる状況は正直ございます。加えて、物事を進めるには、やはり官民連携、地域の方々やその分野の専門の方々としっかりと意見交換をしながら進めていくべきことが重要だと思うわけですが、まさにこの状況の中で、なかなか多くの方にお集まりいただいたり、密接な意見交換の中において施策展開していく辺りも悩ましい状況があります。そういった中で、幾つかのテーマにつきまして、コロナ対策という状況の中で、スタート時期が少しずれたりとか、やり方についても、感染対策がしっかりできる状況のものから、再度スタートを切り直すとかいうような整理をしているところでございます。繰り返しになりますが、まさに気候変動のテーマは大変重要なテーマであり、本当に短期ではなくて、しっかりやり続けるべきテーマだと思いますので、しっかりやることをお誓い申し上げ、市長としての認識といたします。御理解よろしくお願い申し上げます。

○議員(丸谷聡子)

先ほど、最初の質問でも申し上げましたけれども、もちろんコロナ対策が緊急で大事なことは十分承知しておりますけれども、コロナ危機と、それから気候危機というのは、今、世界の2大危機というふうに言われていまして、2つは非常に密接な関係がありますので、この気候変動に対する取組は、止めてはいけないことだと思うんです。そこはしっかり認識していただきたいと思います。

2050年までにCO2排出量を実質ゼロにするというふうにお尻が決まってますから、やっぱりそれはバックキャスティングで、今何か取り組まなければいけないこと、今しなければ、どんどん大変な状況になっていくということも、しっかり行政をつかさどっている方々には理解していただいて、止めることなく、とにかく進めていただきたいということを強く申し上げたいと思います。