「学ぶ権利」を保障する「夜間中学」について

令和2年第2回定例会9月議会(9月16日(水)) 質問2項目め

○議員(丸谷聡子)

2項目めは、「学ぶ権利」を保障する「夜間中学」についてです。

夜間中学とは、夜の時間帯に授業が行われる公立中学校の夜間学級のことを言います。2019年度、文部科学省の実態調査によると、全国で34校、1,729名の方が通われています。そもそも日本国憲法第26条において、教育を受ける権利がうたわれていますが、現実には戦争や貧困、無国籍など、様々な理由で義務教育を受けることができなかった人や、本国で義務教育を修了せずに日本で生活を始めることになった外国籍の人など、義務教育未修了者は全国で約170万人いると推定されています。現に、明石市においても2010年の国勢調査において、未就学と回答した方が478名もおられました。それに加え、2015年7月の文部科学省通知によって、不登校などにより十分な教育を受けないまま卒業した、いわゆる形式卒業者で、中学校で学び直すことを希望する人について積極的に夜間中学への入学を認めることが望ましいと、不登校等で十分に義務教育を受けることができず卒業した市民にも、門戸が開かれました。そして、2016年12月には、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律が成立し、全ての地方公共団体に夜間中学における就学機会の提供等の措置を講ずることが義務づけられました。さらに、本年実施されている国勢調査においては、夜間中学設置の指標とするため、初めて義務教育未修了者の実態把握調査が今まさに行われており、今後、自治体においては、夜間中学の新たな設置や自主夜間中学等における学習活動への支援など、いつでも、どこでも、誰にでも学ぶ機会を保障することに積極的に取り組むことが求められています。これらのことを踏まえ、以下の2点について質問いたします。

1点目、明石市民には、夜間中学での就学機会は保障されているのでしょうか。夜間中学を設置していない本市においては、設置している近隣市と協定を結ぶなどの連携が必要ですが、対応できているのでしょうか、見解を問います。

2点目、夜間中学に通える道筋ができても、対象となる市民やその支援者に伝わらなければ何の意味もありません。必要な情報が必要な市民に届く、分かりやすい周知の工夫や相談体制の仕組みづくりが必要であると考えますが、見解を問います。

○教育局長(北條英幸)

教育局長でございます。

私のほうからは、御質問2項目めの「学ぶ権利」を保障する「夜間中学」についての1点目、就学機会の保障について及び2点目の夜間中学の周知や相談体制について、併せてお答えいたします。

議員からも御紹介がありましたが、夜間中学は何らかの理由で義務教育を修了していない方、あるいは卒業はしていても、不登校などのために十分に通学ができなかった方にとって、義務教育を受ける機会を保障する学校でございます。現在、兵庫県内におきましては、神戸市に2校、尼崎市に1校の夜間中学がございますが、外国籍の方が多数を占めているという状況になっております。これまで明石市教育委員会にも、外国籍の方から年に一、二件の問合せがございましたが、その問合せの内容は、日本語の習得を目的としたものがほとんどでございました。また、神戸市、尼崎市の夜間中学に就学が可能なのは、現状ではそれぞれの市に在住あるいは在勤の方に限られています。そのため、夜間中学は広域的な取組も必要であることから、兵庫県教育委員会が中心となって、この神戸、尼崎市と協議を行っており、市外在住の方も就学できるよう、各市町からの負担金も含めて、現在、調整されているところでございます。また、夜間中学についての周知及び相談対応につきましては、現在、兵庫県教育委員会が行っているところですが、本市といたしましても十分に連携するとともに、必要な予算について調査検討を行ってまいりますので、よろしく御理解賜りますようお願いいたします。

○議員(丸谷聡子)

2項目めのほうに入らせていただきます。学ぶ権利を保障する夜間中学についてですが、先ほど御答弁ありましたけど、確認なんですが、本市で夜間中学を希望されている方がおられるということでよろしいでしょうか。

○教育局長(北條英幸)

教育局長でございます。

確かに本市におきましても実際にそのようなお問合せを頂いたことがございます。

○議員(丸谷聡子)

本当は御相談があった段階で、しっかり考えて、この方をどうするか、必要な措置を講じなければならないということが法に定められていますので、例えば今、県や神戸市、尼崎市で調整されてますけど、県や神戸市から、どうぞうちに来てくださいって言われる前に、明石市のほうから、こういう市民の方がおられるのでどうですかということで、まずはお願いに上がるのが筋だと思うんですけど、いかがでしょうか。

○教育局長(北條英幸)

教育局長でございます。

議員がおっしゃるように、明石市には現在、夜間中学は設置されておりません。法の中でも対策を講じるというふうになっておりますが、現実、中学校を設置するとなりますと、当然、教員の手配なり、その辺りですぐにできるものではございませんので、県としましても、広域的な取組が必要であるということで、県が中心になって設置されている2市と協議されているところですし、いわゆる西播磨のほうにつきましても、ニーズ把握のために夜間中学の体験会などを開いてニーズ把握に努めるというふうに聞いておりますので、現在、2市との調整につきましても、2市は前向きに検討されているという情報も聞いておりますので、その辺りしっかりと情報は取っていきたいと考えております。

以上でございます。

○議員(丸谷聡子)

当然、情報は取っていただいたらいいんですけど、明石市民の方で希望されている方がいるということを、県や近隣の設置市にお話しをして、調整するというのを積極的に、やっぱり明石市から行動を私は起こすべきだというふうに思うんですね。特に高齢者の方の場合、1年待つとか2年待つというのは、もう下手したら学習の機会を奪ってしまう可能性もあるわけです。ですから、実際に希望されている方がいるんですから、やっぱりすぐにアクションを起こしてほしいと思うんですね。明石市で夜間中学を設置するのは難しい、今すぐにはできませんから。近隣市でお世話になることに関しては、先ほど答弁にありましたように事務費の負担金、また交通費等を上乗せした就学援助費が必要になってきますので、その辺は予算措置が必要になります。そこで予算編成権のある市長に伺いたいと思うんですが、誰ひとり取り残さない、SDGsを推進する本市として、近隣市に通えるように早急に予算措置をして、そして協定を結ぶように、明石のほうからお願いをしていただきたいと思うんですけど、いかがでしょうか。

○市長(泉 房穂)

丸谷議員からの、いわゆる夜間中学に関する再度の質問でございます。私、市長になる前に弁護士をやっておりましたので、若干、夜間中学と連絡を取ったりして、そういった相談を受けてつないだこともあります。現に市長になった後も、ちょっとプライバシーありますが、戸籍のない方で学校に行っておられない年齢40代の方がおられましたので、神戸の夜間中学に連絡を取り、来てもらっていいですよと言われたことはありますが、結果的にはその方は行かれなかったわけですが、在勤、在住要件はありますけど、そこは柔軟に対応する形で受入れしますというふうに言われた記憶はございますので、実際はかなり運用上、柔軟にやっているのかなというふうに受け止めております。

議員の御質問に関しましては、まさに明石市として独立したそういったものをつくること自体は、いろんな関係からすぐには難しかろうと思いますが、現に、お隣の神戸にもございますので、しっかり情報共有化しながら適宜適切にちゃんとおつなぎするということをやっていきたいと思いますし、県との関係もしっかりと調整をして、負担金は当然、負担すべきだと考えておりますので、しっかりと予算措置も含めて対応するつもりでございます。

以上でございます。

○議員(丸谷聡子)

しっかりお願いしたいと思います。