子どもの声を聴き、子どもの権利を守る「子どもアドボカシー」の導入について

令和2年第2回定例会9月議会(9月16日(水)) 質問3項目め

○議員(丸谷聡子)

3項目めは、子どもの声を聴き、子どもの権利を守る「子どもアドボカシー」の導入についてです。

子どもアドボカシーとは、子供の声を聞き、子供の権利を守ることができるよう支援することを言います。子供たちが自信を持って自分の気持ちや願いを話せるよう、励まし、支援する人をアドボケイトと言い、子どもアドボカシー先進地であるイギリスでは、子供のマイクになることと言われています。また、ノルウェーの初代子どもオンブズマンのマルフリードさんは、子供は無力だから代弁してあげようという姿勢ではなく、子供は自分で考え、意見をまとめ、発言する力を持っている、その力を信頼して支援するという姿勢が重要であると指摘しています。アドボカシーの実践には、信頼関係の構築、権利に関する教育、子供参加の促進、傾聴、個別アドボカシー、権利侵害への対応、制度改善の7つがあると言われており、子供の最善の利益を実現することを目的に、明石市こども総合支援条例を策定し、児童相談所を設置する本市ですが、子供自身の意見表明権を保障する仕組みがまだまだ足りてないと考えることから、以下の3点について質問いたします。

1点目、明石市こども総合支援条例に規定されている、第10条、相談支援体制の整備、第21条、こどもへのわかりやすい情報提供、第22条、意見表明や社会参加の促進、これらはできているのでしょうか。本市の取組状況について見解を問います。

2点目、本市の子供に関わる者はアドボケイトのスキルを身につける必要があると考えますが、見解を問います。

3点目、本年3月に策定された明石市社会的養育推進計画に基づき、明石こどもセンターにおいては、特に専門性の高い第三者による子どもアドボカシー制度の導入が必要であると考えますが、見解を問います。

○こども局長(前田 豊)

こども局長でございます。

私からは、3項目め、子どもの声を聴き、子どもの権利を守る「子どもアドボカシー」の導入について、順次お答えいたします。

1点目の、本市の取組状況についてでございますが、明石市こども総合支援条例制定後の主な取組といたしまして、まず子供自身が相談できる機会として、こども相談ダイヤルを平成30年6月に開設いたしました。家や学校のこと、友達や自分の体のことなど、悩みや困り事を安心して子供自身が話せるよう、心理士や保健師等の専門職員が24時間体制で対応しております。また、新しい取組といたしましては、今年度から開始しました高校進学を応援する給付型奨学金がございます。子供自身の進学を希望する意思を尊重して、親の意思や家庭の経済状況などにより諦めることなく高校進学がかなうよう支援するもので、奨学生に対しては経済的な支援だけでなく、高校を卒業するまで一人一人の子供に寄り添う専門的相談員を配置し、いつでも相談できる環境を整えます。子供が社会の一員として意見表明できる機会としましては、今年2月に開催した、あかしSDGs推進審議会の委員として高校生に参加を頂いております。また、あかしこども広場内にありますユーススペースでは、中高生の自主的な活動を支援しており、これまでに高校生による募金活動も行われ、社会貢献を実現しております。そのほか、地域団体等で運営頂いておりますこども食堂においては、参加している子供たちの意見や希望を聞いて食事メニューを作ったり、困っていることはないかなど、常に子供の不安や心配事を酌み取り、支援につながる気づきの拠点として安心できる居場所づくりをされております。このように、様々な機会を捉えて話しやすい環境づくりの下、子供にしっかりと寄り添い意見を聞き、共に考え行動していくことで、こども総合支援条例にございますこどもの最善の利益を実現することを目指しております。

続きまして、2点目の子どもの声を聴く「アドボケイト」の養成について、3点目の専門性の高い第三者による子どもアドボカシー制度の導入について、併せてお答えいたします。子供の立場に立って子供の声、意見をしっかりと酌み取ることや、そのための多様な機会を設けることは、子供のためになる支援を行う上で欠かせないものと考えております。本市においては、社会的養育を受ける子供について、明石市社会的養育推進計画の中で子供の意見を聞くという基本姿勢を定めております。これに基づき、明石こどもセンターでは子供との関わりが始まる際は、必ず子供に直接会って気持ちや意見を聞くこと、また子供の処遇等を決定する場合においても、子供の意見を聞いた上で決定することを徹底しているところでございます。また、保護した子供や施設入所、里親委託となった子供につきましては、原則として児童福祉司や児童心理司等の職員が複数担当者としてつき、子供の生活を支援する者、子供の相談をじっくりと聞く者など、子供本位の役割分担をして、子供のニーズに対応しているところでございます。さらに、施設入所、里親委託となった子供に対して、子供の意見表明権を含む子供の権利の内容や、困ったときの連絡先を記した子どもの権利ノートを作成しております。子供たちには、権利ノートの配付の際に職員が詳細な説明を行うことで、子供たちが自らの持つ権利を理解し、その権利に基づいて相談しやすい複数の窓口に自らの気持ちを伝えられる取組を行っております。この取組の中で、実際に子供からのSOSのサインを受け取るなどの成果を得ているところでございます。そして何より、その聞き手となる職員の、しっかりと子供の声を聞き取って支援するスキルを強化していくことが重要であるという認識の下、西日本こども研修センターあかしや内部研修などを通じて、アドボカシーについての理解を深めることで、職員のスキルの向上を図りたいと考えております。今後につきましては、これらの取組の一層の充実が必要と考えております。第三者による子供の意見を酌み取る多様な機会と、その意見を適切に支援に反映できるよう、実効ある仕組みの構築を検討していくこととともに、まずは何よりも、明石こどもセンターだけでなく、子供に直接関わる職員全てが子供の年齢、障害や発達等を踏まえて適切に子供の意見や意思を引き出し、受け止める技術を向上させることを目指してまいりたいと考えております。御理解頂きますようお願いいたします。