在宅医療への支援体制について

令和4年第2回定例会12月議会(12月8日(木)) 質問1項目め

○議員(丸谷聡子)

かけはしSDGsの丸谷聡子です。発言通告に従い5項目質問いたします。

1項目め、在宅医療への支援体制について。

高齢社会白書によると、2021年10月1日現在、65歳以上の人口は3,621万人で、高齢化率は28.9%、団塊世代が前期高齢者となる2025年には高齢化率は30%を超え、75歳以上の後期高齢者は13%を超えると予測されています。また、65歳以上の有病率の将来推計によると、2012年は有病率15%で7人に1人であるのに対して、2025年には20%で5人に1人になると推計されており、医療や介護の需要はさらに増えることも予測されています。しかし、高齢者人口が増えても生産年齢人口の減少傾向は止まりません。このような背景から、国は医療を提供する現場を病院から在宅へとかじを切っており、在宅医療の推進が強く求められる現状と未来があります。また、治る見込みがない病気にかかった場合、60歳以上の人の約半数(51%)が、自宅で最期を迎えたいと希望されており、その理由として、住み慣れた場所で最期を迎えたい、最期まで自分らしく好きなように過ごしたい、家族との時間を多くしたい、家族にみとられたいなどが挙げられています。このように、医療や介護が必要な状態になっても、住み慣れた地域でいつまでも自分らしく暮らしていきたいと多くの方が願っていることからも、市民に一番近い基礎自治体として、在宅医療への支援体制が急務であると考え、県内中核市の事例や本市の現状等について調査研究したところ、本市としてまだ取り組めていない課題が多くあることが分かりました。そこで、特に早急に取り組んでいかなければならないと考える3点について質問をいたします。

1点目、在宅医療の推進のためには、まずは、地域の在宅医療資源を的確に把握し、リソースマップの作成、関係機関への情報提供などの支援体制が必要ではないでしょうか、見解を問います。

2点目は、市民への普及啓発について。尼崎市では、尼崎市在宅療養ハンドブック~最期まで自分らしく暮らし続けられるために~を発行し、在宅での療養を支える医療・介護の専門職による支援体制や、在宅療養の例、みとりの実際、エピソードなどを分かりやすく紹介しています。これを読めば、私も在宅療養で在宅みとりを選択肢の1つとして考えたいと思える内容になっています。西宮市でも、在宅療養ガイドブック「望む暮らしをわがまちで」や、本人、家族、医療・介護のスタッフをつなぐ連絡ノート「みやっこケアノート」を作成するなど、在宅療養を始める本人と家族を支える取組が実施されています。しかし、本市は、ハンドブックどころか、ネットで「明石市・在宅医療」と検索しても何も出てきません。早急に、ハンドブックの作成やホームページ等での情報発信など、市民への普及啓発が必要ではないでしょうか、見解を問います。

3点目、医療的ケア児の在宅医療への支援体制について。2021年9月18日、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行され、地方公共団体は、国と連携して医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を実施する責務を負うことになりました。しかし、現状として、こども病院などに入院されている医療的ケアが必要なお子さんが、在宅医療の支援体制が整わず、自宅に帰りたくても帰れないケースがあるとお聞きしています。明石市の医療的ケア児が安心して地域で成長していくためには、まずは実態把握、リソースマップの作成、入院が必要になった場合の市民病院での受入れなど、支援体制の構築が急務だと考えますが、市の見解を問います。

○感染対策局長(違口哲也)

感染対策局長でございます。

御質問の第1項目め、在宅医療への支援体制について順次お答えをいたします。

まず、1点目の地域の在宅医療資源の把握と関係機関への情報提供についてでございますが、高齢化が進展していく中で、在宅でも安心して医療が受けられる体制の整備は急務であり、今後の地域医療を考えていく上で、在宅医療の支援体制の構築は重要な課題であると認識をしております。在宅医療を推進していくためには、在宅療養支援に取り組む医療機関や訪問看護ステーションなどの医療資源の充実が必要であることや、在宅医療が必要な患者を一部の医師により点で支えるのではなく、地域全体でカバーすることによって、面の広がりを持たせていくことが重要であると考えております。そのためには、まずは明石市医師会や明石市立市民病院などの基幹病院、診療所など、関係者間における情報共有を促進し、相互理解を深めるため、医療機関を対象とした研修会の実施や、医療連携会議の開催などに積極的に取り組んでいきたいと考えております。そして、そうした機会を通じて、在宅医療の実態や患者の状況など、情報の的確な把握に努めるとともに、関係機関と連携しながら、基幹病院による診療所のバックアップ体制の構築や、診療所間の連携強化など、在宅医療体制の充実を目指していかなければならないと考えております。また、医療・介護関係者の多職種が連携することにより、安心で質の高いチームケアを提供できる体制を構築していくため、医師会をはじめとする関係団体等との協議や介護・医療関係者の多職種による学習会を開催してきており、引き続き取り組んでまいります。さらに、現在、新型コロナウイルス感染症における在宅療養者への対応として、医師会が患者情報を医療機関や訪問看護ステーション、保健所、消防など、多職種で共有することができるシステムの導入を進めているところであり、今後、このシステムを活用して、関係者間の円滑な情報共有に努めてまいります。

次に、2点目の市民への普及啓発についてでございますが、在宅医療等に対応可能な医療機関の情報につきましては、医師会の病医院検索システムや、兵庫県の医療情報システムにより、往診や在宅医療が可能な医療機関を市民が検索できるようになっております。また、在宅医療の必要性、重要性を市民に理解してもらうため、これまで医師会などと連携しながら、かかりつけ医の推進啓発を行うとともに、先般、医師会が主催をした明石市民フォーラムにおいて、保健所の医師が「終のすみかはどこですか?」というテーマで、医療と介護について講演を行ったところでございます。今後とも、市民が人生の最期のときまで安心して暮らし続けることができるよう、ホームページや広報紙などを活用した情報発信や、医療資源のリソースマップや普及啓発のためのハンドブックの作成などについて、医師会等と協議してまいりたいと考えております。

3点目の医療的ケア児の在宅医療への支援体制についてでございますが、まず、本市の医療的ケア児の実態でございますが、小児慢性特定疾病の医療受給者証の保持者のうち、重症認定または人工呼吸器を装着されている方の数は、令和4年11月末で約50名、また、障害児の福祉的支援の中で把握している医療的ケア児の数は約10名となっておりますが、医療受給者証をお持ちでない方や、障害福祉の支援を受けておられない方などについては数に含まれておらず、医療的ケア児の全数把握や医療提供状況の詳細把握は難しい状況でございます。

医療的ケア児への医療支援でございますが、医療技術の進歩に伴い、今後も医療的ケア児の増加が見込まれており、患者とその家族の負担を軽減し、身近な地域で医療が受けられる体制の整備が急務であると認識をしております。本市におきましては、18歳以下の子供に対して医療費の無料化、難病患者に対する医療受給者証の交付など、経済的負担の軽減を図るとともに、市民病院においては、家族の負担軽減のためのレスパイト入院の受入れを行うなど、医療支援に取り組んでいるところでございます。

今後につきましては、まずは、庁内各部署をはじめ、医師会や関係医療機関等との連携を密にし、医療的ケア児が受けている医療、療育の状況や、その家族が抱える課題など、実態把握に努めてまいりたいと考えております。あわせて、市民病院や協力医療機関、医師会等に対して、小児の在宅医療体制構築の必要性を周知し、関係者間の医療的ケア児への理解を深めながら、さらなる病病連携、病診連携の強化やレスパイト入院の受入れ促進、小児科医や訪問診療を行う医療機関に対して小児在宅医療への参加を促すなど、切れ目のない小児在宅医療体制の構築を目指して取り組んでまいりたいと考えております。よろしく御理解賜りますようお願いいたします。

○議員(丸谷聡子)

それでは再質問をさせていただきます。

1項目め、在宅医療の支援体制についてなんですが、今は、県内のほかの中核市と比べると、少し出遅れているなというふうな分野かなというふうに実感しております。ただ、答弁は今後は前向きに進めていくということを言っていただいていると思いますので、ぜひそこはしっかりやっていただきたいんですが、もう少し具体的にお聞きしたいと思います。

1点目のところで、医師会さんが今導入を進めておられる多職種で情報共有できるシステムを活用するという御答弁だったんですけれども、この共有した情報を誰にどこまで公開するかというのはすごく重要だと思うんです。例えば、長年、市内で活動してくださっている患者会の方などに情報提供できるのかとか、そのあたりは行政としてしっかり、まず、医師会さんとお話しする前に考え方を持っておくことが大事だと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。

○感染対策局長(違口哲也)

感染対策局長でございます。

医師会に導入しているシステムのお尋ねでございますが、システムについては、この12月から運用しているというふうに聞いております。現在、登録医療機関が18、看護事業所が9というふうに聞いております。情報の扱い等については、今のところは関係者間で情報共有をして、より適切に迅速に医療につなげるというふうなことが目的でございますので、議員が今おっしゃられたような団体等にどこまでそういった提供ができるかどうかにつきましては、今後研究してまいりたいというふうに思っております。

○議員(丸谷聡子)

市民啓発も進めていく中で、市民の方も知りたい情報というのが出てくると思いますので、そのあたりもぜひお願いしたいと思います。

もう1つ、在宅医療の先には、在宅みとりがあると思うんです。今現在、市のほうで、在宅でのみとり数とか、みとり率を把握されているのか、また、今後、在宅みとりが増加していった場合、市としてどうしていくのか、その辺の方向性、もしありましたらお聞かせください。

○感染対策局長(違口哲也)

感染対策局長でございます。

在宅でのみとりの御質問でございますが、市内のみとりの件数とか率につきましては、市としては把握は今しておりません。ただ、議員からありましたように、令和元年度の内閣府の調査で、60歳以上の方が51%、それから、令和2年度に民間の調査があるんですけども、これについては67歳の方に調査をしたら、58.8%の方が在宅でのみとりを希望されているというふうなことで、今後、高齢化が進展していく中で、さらに在宅でのみとりの希望が増えてくるものというふうに認識をしております。市といたしましては、今後、先ほどの情報発信をさらに進めるとともに、本人が御意思のとおり容易に選択ができるような、医師会とか関係機関と引き続き情報共有を図るとともに、連携強化してまいりたいというふうに思っております。

以上でございます。

○議員(丸谷聡子)

今後、市民にも情報発信したり、啓発をして、在宅療養とか在宅みとりを望む方が増えていくと思います。高齢者も増えていきますし、そういう中で、体制が整ってないと、もう何ともなりませんので、先ほども申し上げましたように、行政としての考え方をしっかり持っていただいた上で、ここは医師会さんとやっぱりしっかり連携していただかないと進まないことだと思いますので、その辺、本当に丁寧にお話をして、役割を分担してやっていただきたいと思います。今回は課題の一部を質問させていただきました。まだまだ課題は多くあると思いますので、今回の3点については、ぜひとも早急に取り組んでいただけたらというふうに思います。